近刊情報センター説明会へのお誘い
皆さんは近刊情報をどこで入手しますか?
書店で配っている書協(日本書籍出版協会)の『これから出る本』? 出版社のWebサイト? オンライン書店? それともネットで検索? 雑誌や書籍の近刊予告?
近刊(これから出る本)情報を知るための方法は今でも多々あります。版元ドットコムでも多くの会員社が熱心に近刊情報を登録していますが、それらの情報もけっこうな人数の皆さんにご覧いただけているようです。書店での予約販売も、モノによってはかなり大きな数になり重要さを増しています。
ですが、どうでしょうか、一箇所で全てが済むようなサイトはあるのでしょうか。
残念ながらありません。
この状態ですが、単に不便だというだけでなく、ネットやリアルの情報入手法に長けているヒトだけが情報を入手できる状態、しかもそれはあくまで出版社が提供した非常に限定された情報のみという、なんとも釈然としない状態です。
出版社にとってこの状態が望ましい訳ではありません。一箇所に情報が集まっていないことで情報を届け損なってしまう事態が思った以上に発生しています。要は登録先が多過ぎるんです。その登録先の多くがイチイチ手作業で登録、中にはFAX経由でというところもあります。しかも、登録フォーマットはバラバラ。頑張って登録している社がほとんどですが、もっと簡便に、そしてより多くの方々に情報を届けたい、そう考えている出版社や書店・取次の方々は少なくありません。
そういう意見がひとつの流れになりました。
書協傘下のJPO(日本出版インフラセンター)が音頭を取り、近刊情報集配信センター構想が呼びかけられたのは今年の夏のことでした。7月2日の公聴会には会場を埋め尽くすほどの出版社・取次・書店の方々が集まりました。本を届けるために何ができるのか、今まで以上の真摯さを多くの方が共有されていました。
やがて構想は助走を経て実現へと動き出します。 既に実証実験には多くの出版社・書店が参加しています。もちろん、取次の参加も待望されています。取次の内部の熱も高まっているようです。変化は思ったより早くやってきそうです。
書店と取次と出版社を一箇所でつなぐインフラの整備によるメリットは多々あります。事前予約の徹底による需要の予測。出る以前にしっかりと告知を行うことで確実の欲しいと思う方に確実に届けられる、書店の事前受注に反映することで返品率を抑制できる(かも)等々。特に専門性の高い限られた読者を対象とした書籍を刊行する小さい出版社にとっては読者に刊行を知っていただくための期間が飛躍的に延びることにもつながります。しかも、近刊情報センターの登録フォーマットは国際標準規格への対応をめざすことになりました。日本のコンテンツを世界に届けるためのインフラへの道がつながるかもしれません。近刊情報に書店員のコメントや期待値を付加しようかという夢のような構想も関連の企画として持ち上がってきました。アマゾンの読者リコメンドとはひと味違う書店員によるおすすめのデータベース、なかなか面白そうだと思いませんか。要は使いようだろうと思います。
この実証実験への参加は出版社・取次・書店ともに無料です。出版社は情報を登録・提供する側、書店・取次は情報を取得・利用する側になります。システム開発会社なども参加しており、標準化されたフォーマットの情報を利用した使い勝手の良いシステムの開発も構想されています。
来春には実証実験を終え、近刊情報センターが本稼動します。今まで以上に本の情報を届けていくためにもっと何かしたい、そういう熱意を持ったより多くの出版社・書店・取次の皆様には今のうちに実証実験に参加することを強くオススメしたいと思います。
来週7日には東京で、9日には関西で、書店・取次・出版社を集めた説明会が開催されます。申込がまだの方は是非、ご検討ください。
近刊情報センター説明会(東京12/7 大阪12/9)開催のお知らせ(PDF)
と、ここまで盛り上げておいてなんですが、とても残念なことに、今、日本では既刊書籍と絶版・品切書籍を網羅したデータベースはありません。今回の近刊情報センター構想は既刊のデータベースとどう関わっていくのか。
そのあたりはまた将来の課題ということで。
※JPOの近刊情報センター実証実験に参加するための条件ですが、出版社にはふたつの条件が設定されています。ISBN出版社記号を持っていること。それから、JPOの商品基本情報センターに承諾書を提出済であること。以下のURLから商品基本情報センターの承諾書は入手可能です。まだ提出していない出版社の方はこの機会にどうぞ。なお、書店・取次については日本の企業に限る(現状、海外の企業による利用を想定していないため)という条件のみが設定されています。
http://www.jpo.or.jp/data/data/about_center.pdf (PDF 最終ページに許諾書があります。)
※なんで私がこんなことを書いているかというと、JPO近刊情報センター普及促進サブワーキンググループという集まりのサブリーダーに任命されたからです。4月までにより多くの出版社・書店・取次の参加を期待しております。よろしくお願いいたします。