版元ドットコム西日本での活動
毎年夏になると湘南の海を見に行く。どうやってそこまで行くか。青春18きっぷを使い、普通、快速などの電車に乗って、8時間で着く。これがさらに湘南から東京までとなると、2時間ほど足して、朝6時ごろに弁当を持って出て、午後4時ごろに到着する。そんなことも慣れてしまうと、意外に近いもんだと思う。
それが私にとっての京都と東京の距離なのだ。東海道を歩いて行き来していた江戸時代なら15日だそうで、それに比べれば200年分のときを経て、こんなに近くなった。
とはいうものの、今やパソコンでインターネットを開けば、世界の情報が瞬時にわかるこのご時勢。私の体感距離などほとんど役には立たず。時と距離をワープしたような京都と東京の間が、当り前のように近いと思うと、やっぱり違う気がする。版元ドットコムに入会して、「あー、その話しが聞きたい」と思っても、「なんだ東京か」と思っている自分がいる。だからといって、その知識が独占されているということではないし、知ろうと思えば、この版元ドットコムという団体、懇切丁寧に、とことん教えてくれるし、考えてくれる。それで十分かもしれないのに、人間の活動というものは偉いもので、ここにいる人達が集まって、「じゃぁ、西日本でまとまってみましょうか」なんて話しになったりする。「東京か」と思っていた自分の距離が少し近くなったような気がする。
さらに、「そんな役に立つ講座なら、関西でもやってよ」という人がいて、そんな風に思う人が何人もいたりすると、それなりの活動になったりする。何事につけ、体のなかに溜め込み、手と足にならないとわからない私の知識は、今やっと版元ドットコムにいるということをわかりかけている。
そうして、版元ドットコム西日本として7月は東京国際ブックフェアに参加した。1社ならば「東京か」と思う私など参加できそうにないが、西日本としてのまとまりのなかで参加させていただき、巨大な会場で天井見てポカンと口を開けていたようなものだったが、よい経験となった。8月は「Google エディション関西説明会」を開催し、参加者も会員会友が21人、会員会友外から23人、合計44人となり、講師の佐藤陽一氏に対してさかんな質疑応答がなされ、有意義な説明会となった。その様子については、簡単な報告文も作らせていただき、版元ドットコム西日本MLに流した。会場では話し足りないことも多く、飲み会でも、佐藤氏の手を引っ張り、わいわい話しをした。おもしろいなと思うのは、こと電子書籍に関しては、表と裏で話が変わる。表では最新の情報を駆使して眉根にしわを寄せてでも難しい話になるのに、裏ではがらりと話が変わる。どちらも知っておきたいが、でも先ほどの私のなかの原則で言うと、傘の形が変わらないのに、本の形が変わるのかと思う。ただ、ここ最近、これほど本の話しをどこでも誰にでもできるときはない。本に対する愛しさが増す今日この頃だ。
さらに9月は先日の14日に日販のオオサカパンパク(大阪日販会出版博覧会)に版元ドットコムとして参加した。法人格をもつ版元ドットコムだからこそ参加させてもらったような次第である。
松籟社の西尾昌也氏から写真を提供していただいたので、どうぞご覧下さい。
同じ業種でも全く規模も違えば、活動の様子も違う出版社の方々と交流させていただき、また数々の書店の方々ともお会いして、とても楽しかった。一応、趣ある大阪中の島の中央公会堂で、取次の方とお話しするときには、「勉強になります」と言わせていただいたが、はっきり言って、楽しかったのほうが勝っている。人に会って、話しをして、動いてというのは快楽なのだなと思う。PRトークもあり、メディアイランドの千葉さんからしっかり版元ドットコムの宣伝をしていただいた。
本が売れなきゃ食べていけないし、何かと不景気なこのご時勢なので、書店さんの本を見る目も大変厳しい。取次の方からの挨拶のなかですら、そんな言葉がもれるのは否めない。それでも、本を通じて人とつながることの楽しさを知ってしまった、近頃の版元ドットコム西日本の活動である。