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本で遊んでいます

 本をPRするにあたって、著者の講演会が開かれることはよくあります。
 また、東京・中井の伊野尾書店が「書店プロレス」を開催され、ポット出版が「書店落語」をプロデュースされるなど、風変わりなイベントも少なくありません。
 かくいう小社でも、昨年末から本をめぐるイベントのトライアル&エラーを繰り返していますので、いくつかご紹介します。

その1●お笑いと政治の融合
978_4_8074_0906_8.jpg978_4_8074_0907_5.jpg 昨秋の政権交代後、民主党議員を格付けした『ミンシュラン』と、その自民党版『ジミンシュラン』を相次いで刊行。
 そうしたところ、旧知の石倉ちょっきさん(元ニュースペーパー)と再会する機会があり、石倉さんから「この本を使って遊びましょうよ」という提案があった。
 出会った場所が下北沢のライブ・カフェだったもんで、その場で店主に直談判して、石倉さんが麻生前首相に扮して民主党議員を仕分けする、というお笑いイベントが昨年末に実現。
 そして、今月14日には埼玉のブックデポ書楽でも、石倉さんの「政界ひとりコント」が開催された。
 書店内イベントということもあって、今回は入場無料。ブラリと立ち寄ったという感じのお客さんたちは、テレビで見る「芸人」とは違って、政治家をバッサバッサと斬り捨てる石倉さんの芸に目を白黒されている。
 そのかいあってか、公演後の即売会では、著者でもない石倉さんのサインを求める列ができて、書店員さんもびっくり。
 このシリーズ、とどまるところを知らず、4月11日には新宿・職安通りのライブハウス「ネイキッド・ロフト」で第三弾を開催することに(前売り1500円)。

その2●逆転の発想でイベント化
978_4_8074_1000_2.jpg 6月開幕のワールドカップをきっかきに、南アフリカへの関心が高まればとの思いで刊行した『ブブゼラ!』。ですが、岡田ジャパンは予想以上の不振。
 これでは南ア関連本が売れん、と苦悩していたところ、石倉さんのライブを開催するネイキッド・ロフトのスタッフから、「岡田ジャパンの是非を語るイベントをやりませんか?」との提案が。さっそく、『ブブゼラ!』の著者でもある熊崎敬さんに打診したところ、ふたつ返事で「やりましょう」とのこと。
 盛り上がらないなら、それをネタにしちゃえというのは、生粋のイベント屋さんの発想。しかも、このアイデアに「ほい」と乗っかってくれる著者がおられたのは、本当にありがたい。
 とはいえ、当日に会場へ足を運んでくれたのは、岡田ジャパンの不人気を象徴するかのように、わずか10人。肩を落とす私に、店の人が「ネットでの生中継(ユーストリーム)は200人が見てくれたんですよ」と報告してくれた。
 履歴を見ると、確かにすごい数のコメントが付いている。
 「次にやる時は、俺にもしゃべらせろという人が来るでしょう。それでいいんです」と笑顔のスタッフさん。なるほどなぁと思ったしだい。
 ちなみに、『ブブゼラ!』の核心でもある「南アフリカの人たちはワールドカップを待ち望むのか」と題したトークイベントは5月27日に同じくネイキッド・ロフトで開催(料金未定)。
 そのころには、「岡チャン合格!」となっていることを願って…。

その3●著者が売り込んで…
978_4_8074_1001_9.jpg 今月刊行の『歌舞伎町チンピラのココロエ』の著者、中野ジローさんは、暴走族を卒業した19歳から30年間もチンピラ一筋という信念の人。やらかしたヘマも少なくなく、2本しかない小指を3回もツメている。
 そのジローさんが小社へやってきて、「出版記念パーティーをやりたい」という。が、今時そんなパーティーに来てくれる人はいないと諭し、「ジローさんが自分でセッティングされるならお手伝いしますよ」とお引き取り願った。
 すると、その1時間後、歌舞伎町近くにある「ネイキッド・ロフト」のスタッフから電話が。
 「中野ジローさんがイベントをやりたいって言うので、おもしろそうだから、4月11日の夜にブッキングしますね」
 小社を出てからまっすぐネイキッドへ向かって売り込んだジローさん。数年前に「右翼vs暴走族」というネイキッドのイベントに、暴走族代表として出演した経験があったのだとか。
 こうなると、断る理由はなく、「やりましょう」と答えた。が、この日は石倉さんの公演が昼に入っているから、なんとダブルヘッダー。夜の部は、本付き2000円で開催することに決まったが、これでは「第三書館デー」ではないか…。
 
 こういったイベントをしたからといって本が売れるわけではありません(ここまで引っ張っておいて何だよ、とのお叱りの声が聞こえそうですが)。
 しかし、イベント告知をネットやマスコミにリリースすることで、「まだ死んでないぞ」のメッセージを発信していければいいのかなとも思うしだい。
 とくに広告費のない小社のような版元の場合は、「遊ぶ」姿勢や、「売れないこともネタにする」、あるいは「著者さんの我がままに乗っかる」姿勢も必要なのかも、と痛感する今日この頃です。

第三書館の本の一覧

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