アジアの国へ伝える「協同組合の役割」
民主党の連立政権が誕生して早2ヶ月が過ぎた。戦後の日本政治をリードしてきた自民党は、ここで一旦小休止、あの手この手(よい意味で切磋琢磨)で再度政権奪取を狙ってくるだろう。
そんな中、10月26日開催の臨時国会で鳩山首相の所信表明演説があった。演説内容については詳しく触れ無いが、歴史的な演説として共感するところが多かった。「抽象的で具体的内容に乏しい」という意見もあったが、「弱者・少数派を大切にする地域共同体の新しいあり方を求めたい」という言葉をそのまま受け止めたい。「友愛政治が原点」という思想は「漁協運動の原点」でもある。「組織や事業の大掃除」「税金の使い方と予算編成のあり方の徹底的見直し」「地域主権」「活力ある農山漁村の再生」「郵便局ネットワークの位置づけ」などに注目したい。漁村は「弱者切捨て的政策」による過当競争の中で疲れ果てているが、「漁業と漁村の再生は新しい地域共同体の中でこそ可能」であることを知るべきである。鳩山首相は演説の冒頭「国民の皆さまが政権交代を選択された」と発言した。オバマ米大統領も言った「変革(チェンジ)」と。
その「変革(チェンジ)」として・・・
弊社では「THE HOKKAIDO FISHERMEN’S LIBERATION MOVEMENT」という英語本を保管、販売しています。この本は、日本の漁業運動の歴史を海外に紹介しようと、1995年に弊社役員がニューヨークで自費出版したもの。内容は、安藤孝俊という北海道の先駆的漁業運動指導者の、その運動の軌跡を辿った内容になっている。時代は戦前戦後の混乱期、社会情勢はもちろん経済的にも混乱期を迎えていた日本。北海道という地域性はあったものの、この指導者は一産業としての当時の水産漁村の復興に力をそそぎ、その活躍の場を全国に広げて、日本の漁業協同組合の基盤を築いた人。漁協運動の原点である。
まさしく「変革(チェンジ)」を成し遂げた・・・
今、この本が、海外(主に東南アジア諸国)から日本へ研修で訪れる方への講習会テキストとして評判になっている。(・・・弊社が関係する系統業界内部だけのレベルですけれど)日本の協同組合の原点や歴史、運動などを勉強するには、まさにうってつけの教材なのだろうか。漁業制度に関しては、世界の中でも日本は別格で整備されている国である。その漁業大国日本から、何かを学び取ろうとやって来た方々が、この本を読んで本国へ帰られるのは嬉しい限りである。活力ある漁村の再生を担って頑張る研修生。
これからが「変革(チェンジ)」なのだ・・・
というわけで、この本をなんとか一般の読者に・・・と考えたあげく「そうだ!版元ドットコムに登録しちゃえ!」という結果になった。そこで著者の了解は当然OKだったが、ニューヨークの出版社との関係はどうなるのか。著者曰く「売れ残った冊数(・・・結構な数にのぼる)を買い取った訳だから問題ない」というのだが、実際のところどうなのだろうか。テキストとして買い上げた分を販売している訳だから問題ないのだろうが、しばらく思案中である。
漁協経営センターと北斗書房。業界に関係する本は前者、一般の読者層にも浸透させたい本は後者で。このような形で使い分けて来たここ数年、順調に売上を伸ばしてきたが、夏場過ぎからやや停滞気味。ここ半年は新刊も出していないのだから、出版部門は休眠状態である。
年度末にかけて、増刷を含め新刊の予定が数点。スタッフ一同、息を吹き返すべく奮闘中。
これからもよろしくお願いします。