羽鳥書店は出版社です
羽鳥書店ってどこの本屋?と思われかねない社名ですが、今年の4月に創業したばかりの出版社です。
この7月には無事3点新刊も刊行できました。
ホームページはこちら http://www.hatorishoten.co.jp/
ちなみに社名の由来ですが、社長が羽鳥だからです。なんのひねりもありません。
版元ドットコムに参加するにあたって「参加会員版元一覧」のページで出版社を紹介する項目に提出した言葉は「法律・美術・人文書を中心に幅広く出版」と
またとらえどころない説明で、これではどんな出版社か想像させ難いし、物語性も感じられません。
小ネタとしては講談社発祥の地のすぐ近くに事務所を構えたというのがありますが、単なる偶然。いずれは音羽にビルを建てられるほどの大きな出版社になるなどという野望ももたず、専門書的には売れることを前提としつつ役立つ、楽しめる本をしぶとく継続的に出版していくことが目標です。
で、創業した出版社に勤務しているということは、当然、転職というものがついてまわります。
白状するほどのことでもないのですが、実は前職は書店員でした。それがいまやまったく逆の立場の出版社営業となってしまい、今まで自分が営業の方に言ってきた偉そうな言葉や心の中で思っていたことが誰にいわれるわけでもないけれど、自分が言った/思った言葉だからこそすべてわが身に受けるという状態になってしまいました。
単店の独自性もありつつも全国的な傾向というものもあり、その中で、その店をわかっている出版社の人が情報をもってくる分にはかまわないどころか歓迎だけど、知らない人から見当違いの本を薦められた時、いろんな意味で無駄だなぁと感じ、「置けば売れますから」といった言葉に心の中で「確かに、置けば何冊か売れるだろうけど、その程度に売れる本を集めていったら、この店の店舗面積2倍3倍でも足りるだろうか」と思ったことも。
その書店の立地を見て、店舗面積を実感し、客層を見て、担当者が一生懸命作り上げた品揃えを見て、この店はどんな傾向の本が売れそうなのか、どんな本を売ろうとしているのか。実際、店舗・売り場を見てみないことにはわからないのに、ファックス1枚・DM1通で、この本を置いてくださいと言ってくるのはどうなのだろうか。その本を1冊置くということは、何か違う本を1冊置かないということであり、その判断は書店員が行うのだから出版社側がそこまでの責任をもつ必要もなく、それよりもこんな本が出版されるという情報を伝え、書店員の判断の可能性をより広げてあげることこそ大切だと思いつつも、書店に来るファックス・DMの量と現場での業務量がわかる身としては、無駄?な情報を送りこむのは書店のことを考えずに自社の本を売ってくれというだけの出版社側の都合で、でも、DMに目を通している・いらないを判断するのは書店員の基本的な仕事でもあるだろうし。
わざと混乱した文章で、創業間際のなにもかも試行錯誤状態を表現してみようと思いました。
下手な文章から注文してもなかなか届かない本まで、この「創業間もない試行錯誤状態」ということで大目に見てもらえれば幸いです。
書店員時代、出版社が売れる本を作ってくれないことには本が売れないのだから、自分がいた店ではどんな本が売れるのかをできるだけ伝えようとしてきました。その出版社になった今、どんなに売れる本を作ったとしても、それを売れる本だと認識してくれる書店員がいなければ本は店頭に並ばず、いつまでたっても売れる本にはならない。(羽鳥書店の本は書店から注文が来ないと店頭に並ばないのです)
書店と出版社(印刷会社や製本会社なども含め)は利益を奪い合う関係ではなく、一緒になって利益を大きくしあう関係だと思っています。
いろいろな営業スタイルがあるでしょうが、自分としては、その書店のことを知り、その上で自信をもって、羽鳥書店の本を営業したいのですが、現実は会社のある東京の書店ですらまわりきれず、それ以外の地域にはまったく顔をだすこともできず、店舗面積や人づてから聞いた情報でこんな店だろうなと想像しながら新刊案内のファックスをばらまき書店からの注文を待つしかできていないという
一歩一歩どころか半歩以下の歩みではありますが、羽鳥書店の本を店頭で見かけたら、その書店ともどもどうか御贔屓にお願いいたします。
まとまりのない文章で申し訳ありませんでしたが、それは法律書から美術書までだすまとまりのない出版社ですから。