タイトル:「書店でバイトをしています」
一昨年の夏から、地元の書店でバイトをしています。
わたしは、出版人でありながら「ふと書店に立ち寄ってしまう」タイプではありません。車か原付での移動が多いし、買い物や散歩が好きではないせいです。それに加えて、出版業を始めてから「書店に入るとドキドキしてしまう」という弊害が生まれてしまいました。じっくり本を選ぶどころか、営業するべきか悩んだりするうちに自意識過剰に嫌気がさし、結局すぐ出てきてしまいます。
そんなふうだし営業が苦手なので、地元の本屋さんでさえ気軽に入れません。ところがある日、その店からの注文品を取次に納品するという事態になりまして、報告やら直納できるかの確認やらの「用事があるんだから」と意を決して、店長さんを訪ねることにしました。
そこで「アルバイト募集」の張り紙をみつけまして、ひらめいた!
本屋さんの内部に侵入してしまえば、店長は他人じゃなくて「身内」。営業もできるし、企画に関するアドバイスをもらうこともできる。売れ筋もわかるし、本屋さんの気持ちもわかるし、お客さんの観察もできる! (そんなこと、いっぱい書店を訪問したらできるじゃん・・・というのは営業が苦手ではない人の考え方です)
午前中2、3時間を週に1、2回なら仕事に差し障りもなくイケるだろうと見当をつけて店長に探りを入れると、「どうしてもシフトが埋まらない時間帯があってちょうどいい」とのこと。なかなかバイトがみつからないとかすぐ辞めるとか『暴れん坊本屋さん』にも書いてあったけど、本当なんだ!
というわけで「身内作戦」が始まったのですが、当初に目論んだ以上の効果です。売れる本を前もって知ることはともかく、書店側の考え方や他の版元の営業・対応の仕方などなど、日々学んでいます。すごく勉強になるし、楽しくてやめられません。
出版社には以前は書店員をしていたという方も多く、羨ましい限りだったのですが、こちとら現役だ(笑)
ただひとつの難点は、「午前中に取次に納品に行こうとしても、週2日は無理」ということです。先日もある方から「売れる本出したらバイトしてる暇なんかないよ!」と言われたのですが、それならそれでいいじゃないですか。のんびり出版をしているわたしは、「納品に制作に本屋のバイトに忙しすぎ!」なんて言ってみたい気もします。
その経験を生かした新刊を5月に出します。職場でも「いいんじゃないか」と言われた自信作です。
タイトルは「受験を150%人生に活かす本」です。