はじめまして!有志舎です
今年から版元ドットコムに参加させていただいています有志舎です。
自己紹介がてら、「版元日誌」に書かせていただくことになりました。
我が社は2名でやっていて、近現代史と国際政治に関する学術書を出版していますが、私・永滝稔が編集・営業・宣伝をやり、もう一人が経理を見ているという零細もいいところの出版社です。
それでも、開業して3年が過ぎました。開業前には、「創業した出版社の6割が3年の間に廃業するそうだよ」という本当か嘘か分からない話を聞かされていたもので、なんとかそういうジンクスだけは免れたとホッとしているところです。
今も、原稿が底をついて出版する本がなくなるかもしれないとか、本がちっとも売れなくて現金が底をつくのではないかいう恐怖感は常にありますが、あんまり先のことばかり考えていると心配事ばかりになってしまうので、あえて真面目に先のことは考えないようにしています(お陰で税理士には「もっと計画的に」と怒られていますが・・・)。
「経営者としては失格なんだろうなぁ」とは思いつつ、「別に経営者になりたくて出版社を始めた訳じゃないし、会社を大きくしたい訳でもないし、自分の出したい本を出して、ささやかに生きてさえいければいいや」と開き直っています。今は、まあ何とか生きていけてるので、こんなもんでいいでしょう。
とはいっても、自分で出したい本というのにはこだわっているつもりです。
それは何と言っても、これまでの常識や思いこみ・通説をひっくり返す本を創っていくということです。とはいえ、もちろん「織田信長は本能寺の変では死んでいなかった」といった「トンデモ本」だとか「最近は歴史の偉人の評価がこんなに変わった」みたいな雑学レベルのじゃなく、きちんと証拠を突きつけて既存の歴史認識や社会制度といった権威に対して改変の異議申し立てをする、そういう本を創り続けていきたい。
あ、でも誤解のないように言っておきますが、異議申し立てといっても、元空幕長の田母神氏みたいな「トンデモ右翼史観」なんかの方向でなく、真逆のベクトルでという意味ですが。
もちろん、歴史をそれなりに勉強した人なら、あんな田母神氏の論文(そもそも論文なんていえる代物なのか怪しいもんですが)は反論するまでもない妄説だというのはすぐ分かるのですが、S新聞などが「(田母神論文は)近現代史の一面的な見方を見直そうという動きが各方面から起きていたが、その象徴的論文といえた」などと、未だに「自虐史観」「東京裁判史観」を正すべきだという守旧的なお題目を立てて応援しているのには、思わず笑ってしまいました(こういう人たちって、未だに自分たちの言っていることが「新しい歴史」だと思っているんですね)。
ただ、お陰で現代日本における自衛隊という軍隊のあり方や、さらにもっと言えば、そもそも現代社会における軍というものあり方を、きちんと歴史をふまえて考え、感情論ではなく冷徹に自衛隊の存廃・改編を具体的に議論しなければならないという事を提起させた事は田母神氏の功績かもしれません。
我が社も、近代軍隊の歴史をふまえた「自衛隊存廃論議」の呼び水になるような本を出版していけたらと思っています。今の時代、改変が許されない「聖域」みたいなものはないわけですし、零細出版社だからこそやれることもあるので、ガンガン無軌道にやっていこうと思ってます。
こんな出版社ですが、ご支援のほどよろしくお願いします。