沖縄観光ブームの根底にあるもの
初めまして、沖縄にあるアクアコーラル企画の屋比久(やびく)と申します。
よろしくおねがいします。
小社は沖縄の亜熱帯という特徴ある気候区分を生かし、その自然に生活する生き物や自然を紹介する本を中心に出版しています。まだ、版元経験も浅く、出版数も数えるほどしかありませんが頑張って出版していきたいと思っているところです。
さて、沖縄は年間観光客が500万人を越え600万人を目標にばく進中です。某放送局の朝の連続テレビ小説で紹介されたことや沖縄出身のアーティストの活躍も大きな理由かと思うのですが、沖縄に来られた観光客の行動(三味線を習ったり、陶芸をしたり、エイサーを習ったりなどなど)をみていると、根底に何か「古きをたずねて新しきを知る!」といった感じのところがあるように思えるのです。
日本の観光の語源は易経にある「国の光を観る。……」という言葉からきていると言われています。ちょっと大げさかもしれませんが、日本が高度経済成長期(沖縄はその当時復帰しておらず体験していない)で失った何か(光)を探しに来ているのでは……と思ってしまうのです。
3月6日発売で『沖縄の方言を楽しむ いちむし』という本を小社から新発売するのですが、身近な動物たち120種余を沖縄のいろいろな地方の方言名で紹介しました。沖縄は面積では小さな島の連続ですが、南北の長さでは本州の長さに匹敵する距離があります。また、島なので海で隔離されて独自の言語が温存されていることもあり、方言はバリエーションが豊かです。
沖縄の方言は本土の方が聞くと意味不明な気がすると思うのですが、意外と平安言葉が文化の吹きだまり現象で残されていたりするのです。有名なのは「おなご」がイナグ、「わらべ」がワラバーとなって残っています。『沖縄の方言を楽しむ いちむし』ではトンボのことを紹介していますが、平安言葉では「あけず」と呼んでいたらしいトンボを、沖縄では今でもアーケージューと呼んでいるのです。また、蝶のことを「はべる」と呼んでいたらしいのですが、ハーベールーやハベルという形で残っているのです。そういうことを考慮していくと沖縄に観光に来られる方々は、忘れかけている日本の何かに引かれて沖縄を訪れる…と、ますます思えて来るのです。
和名:ツマベニチョウ(シロチョウ科)
沖縄方言ではハーベールーと呼ばれている。