いまだに失敗続き……のスタイルノートです
先日、スタイルノートの17冊目の新刊「スコアメーカーFX2公式ガイドブック」ができあがってきました。昨日、各取次さんに見本出しをしてきたところです。今回の新刊はピアノなどで有名な河合楽器製作所が開発している楽譜をつくるソフトの解説本。見本出しも終わって、あとは、各取次からの新刊委託数が出るのを待つばかりの静かなひとときとなるはずだったのですが今回はちょっと違っていました。
製本所に印刷物が入った頃。すなわち、発売予定日がだいぶ近づいてきたある日。スタイルノートの直販サイトである「スタイルノート・ネットストア」に次々と注文が入ってきました。ここには滅多に注文が入ることはありません。たまに「やはり産地直送に限る」という粋なお客様が注文してくださる程度の小さなストアなのです。そこに、1時間に1回程度、1年近く前の既刊「これで安心 スコアメーカーFXイチからガイド」の注文が入り始めました。
「はてな?」と首をかしげるまでもなく想像がつきました。「公式ガイドブック」と名乗っているほどですから、当然、ソフト発売元のカワイさんも応援してくださってます。そう、カワイさんの公式メルマガに本のことが掲載されたのです。それをご覧になった方が、スタイルノート・ネットストアにお越しくださりお買い求めくださったのですが、インターネット書店の悲しさ。店員さんである販売プログラムはお客様の言う通りの受注をしてしまうのです。その時点で新しい本は出ていない(というか掲載していなかった)ので、古いバージョンの本をお買いになってしまった方多数という状況になってしまったのです。
もっとも、発送は昔ながらの伝統の手法、手作業発送ですので販売プログラムと違って間違いに気づきます。不幸中の幸いは、本の価格が同じだったこと。そのため、お客様に確認するだけで済みました。
さて、本が製本所から届く日です。当初は、朝から製本所に見本分だけをもらいに行って、その足で取次に見本出しに行くというプランを立てていました。ところが前日に製本所から「もう製本が仕上がったので明日朝着で送りましょうか?」との連絡。直販サイトへの注文分もあるし、それは願ったりかなったりでお願いしました。
午前早めに着くので、いつもよりも早く会社に到着して準備をします。直販の方に送る納品書や宛名シールなど準備していたのですが荷物が届きません。製本所に問い合わせると、とある有名な運送業者に頼んだとのこと。そろそろ不安になってきて、運送業者の営業所にも電話をしてみました。調べて折り返すとのこと。すると製本所から連絡が入りました「悪い知らせで申し訳ありません」と恐縮しきりな様子。なんと、その見本を積んだトラックが途中でエンコして止まっちゃったんだそうです。急いで、応援のトラックが向かって荷物を積み替えていくので「昼過ぎには何とか行けます」だそうです。そりゃそういうこともあるだろうけど、よりによって……。まぁ、ひっくりがえって本が道路にばらまかれちゃったとかいうんじゃなくて幸いでした。
おかげで届いたあとは大騒ぎ。少ない人数でやっているので、夕方までに発送できるように、荷物を開いてチェックして、慌てて荷造りです。こんな日に限って、スタッフの一人は取材に出てたもんで、僕ともう一人とでアワアワと作業。発送関係の残りの作業は任せて、僕は取次に出す見本を持って出発。これが重いのなんの。なにせ分厚いから肩にずっしりきます。
見本だしのルートは毎月決めていて、自分なりに効率のよいと思う順序にまわっていきます。途中の取次さんで初音ミクの話題で長話しなんかをしちゃって、気づいたら3時過ぎ。?・?・?。そっかいつもよりスタートが遅かったんだ。どこもそうなのか、取次の新刊受付は午後4時まで。あと2社は互いに近いのでタクシーで行けばまあ間に合うな、とか考えていたところへ、取材に行ってたスタッフから連絡が入り合流することになりました。
ところが、慣れない場所から慣れない場所への地下鉄移動を強いられたスタッフが、なかなか待ち合わせ場所に現れないのです。地下鉄なので連絡もつかず。時間はどんどん経っていく。一人で行けば良かったと思っても後の祭り。荷物を持ってもらえるとどこかで思ってた罰があたったのか、やっと落ち合えたのは予想外に4時が目前に迫っていました。そこで、1社ずつ手分けして駆け込むことに。
タクシーの運転手さんに取次の名前を言うと知っているとのこと。いままでではじめてでした。が、夕方の渋滞がはじまったのか、幹線道路は案外な混みようです。そこで裏道をスイスイと走るタクシー。さすが知ってる人だと楽だなぁと喜んでいると「はい着きました」と着いた場所が、なんと取次の裏口でした。裏口にははじめて来ました。こんな風になっているのかぁと感心している場合ではありません。
社名の書かれている小さなドアをあけて入ると、そこは搬出の作業場。こっちのドアを開ければ、ロビーにつながってるに違いない……と開けたら、守衛さんの休憩所でした。古い建物だけに旧型の石油ストーブがあったりなんかして和むなぁ……じゃなくて表に行きたい。もう一度外に出ると地下駐車場の入り口を発見。ロープがはってありましたが、そんなものは飛び越えます。向こうからは、ちょうど帰社時刻の営業車か次々とクルマがやってくる。みんな「なんでこんなとこ歩いてんだ?」と疑惑のまなざし。それを無視して地下から上がっていくと、やっといつもの見慣れた風景が現れました。そこから二手に分かれてギリギリ4時数分前に窓口に到着。
なんだか、大冒険をしたような気分も味わいつつ、しかしまぁ間に合ったのだからよかったと、夕闇迫る文京区を後にしました。
その翌日。昨日見本出しをした取次の担当者さんから電話です。「あのぉ、スリップの値段が間違ってます……」。ガーーーン。さんざん見直したはずなのに。坊主のところにつけてあった値段だけがデータを流用した先月の新刊の値段のままだったのです。ショック!と落ち込んでいる時ではありません。「予定通りの搬入できますか?」と聞かれて、印刷所と製本所に連絡。なんとか初回配本分のスリップ差し替えには間に合うことになりました。日頃、印刷所や製本所、倉庫などとギスギスした関係でなく、互いのミスを認め合う付き合いのできる相手だとこういう時にすごく助かります。って、ミスするのはいつもウチなんですが。
とまぁ、やっと17冊目が出るスタイルノート。やっぱり、まだまだ17冊なのかもしれません。こんなミスからはそろそろ抜け出さないといけません。そして、来年はもっと余裕をもったスケジュールにしないとダメですね。まだまだ初心者出版社であることを再確認させられた日々でした。