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キャンペーンの告知をしようと思っていたんですが書店でのメモ書き及びデジ万の件が気になって気になって……、

私は出版社の営業になる前は都内某書店でアルバイトをしていました。その頃、店内にコピー機が置いてあったんですが、売り物の本をコピーしようとしているお客様を見かけることがたまにありました。アルバイトなのであまり強くも言えませんが、いちおう「売り物なので」とお断りすると大抵のお客様がすんなり引き下がってくださいました。多分、お客様にも「ちょっとまずいかなー」という気持があったんだと思います。が、中には「なぜ?」と不思議な表情をされる方もいらっしゃいました。私が直接ではありませんが「コピーを取らせたくないなら店内にコピー機など置いておくな」というお客様もいらしたそうです。
コピーほど極端ではないにしても、店内の雑誌や書籍などをメモされるお客様もいらっしゃいました。これも「売り物なので」と声をおかけするのですが、こちらは「どうしてメモしちゃいけないの」というお客様が意外と多かったのを覚えています。
書店員ではなくなってから随分経ちますが、最近はメモの代わりにケータイのデジカメで撮影してしまうお客様も多いと聞いています。いわゆる「デジタル万引き」という行為ですが、メモ書きよりもさらにお手軽なようで最近は「店内での携帯電話の使用禁止」という書店もよく見かけます。それだけ皆さん辟易しているということなんでしょう。

別に偉そうにどうこう言うつもりは全くありませんが、書店に並んでいる本や雑誌は売り物です。必要な情報がごく一部だけだからといってメモ書きで済まされては「商売あがったり」なんじゃないでしょうか。出版社も全く一緒です。売れないことには何も始まりません。自費出版で本を出す方を除けば、ほとんどの著者も「売れて欲しい」と心の底から思っている、はずだと思いますがどうなんでしょうか。

つい最近、ベストセラーになっている本の中で「雑誌や書籍は買わずにメモ書きで済まそう」といった趣旨の記述があり、ネット上で話題になっているようです。著者は無駄遣いを戒めるぐらいの軽い気持で書いたのかもしれません。そういう本のようですから。でも、編集者は何とも思わなかったんでしょうか。いや、もしかしたら「そうそう、雑誌って読み終わった後捨てるの大変だし」とか思ったのかもしれません。

それだけ取り上げるとどうにでも解釈できますし、理があるように思う方がいてもおかしくないかもしれません。ですが、出版社、特に広告収入のある雑誌ではなく販売収入がメインの書籍に頼っている出版社にとって「本屋で売る」というのはまさに「稼業」です。その出版社が「買わずにメモ書きで」という記述を見逃してしまうのはどんなもんなんでしょうか。

私にはこれは単なるモラルの問題ではなく商業出版という仕組みの根幹に関わる問題のような気がし
てなりません。

この問題はネット上のあちこちの掲示板で取り上げられているだけでなく、新聞の投稿欄などにも掲載されたようです。当該の著者のWebサイトにあった掲示板は賛否入り混じった書き込みとともに閉鎖されてしまいました。

この問題はポイントカードや割引販売の問題とは根本的に質が違います。ポイントカードや割引販売は少なくとも「もっと売りたい」という気持につながっています。が、今回のこの問題の先にあるのは「商売としての出版」に対する絶望(とか言うと大げさですが)のみです。

自分の出版社でもしこういうことが起こったら、どういった対応を取れるのかどういった対応を取るべきなのか、自分には答はわかりません。だから偉そうなことは言えません。もう少しこの事態を見守っていきたいと思っていますが、とても歯痒く思っています。

追記■今回のこの枠では弊社がWebサイトで開催中の『iPod miniが10名様に当たるプレゼントキャンペーン』をお知らせするつもりでした。音声教材をMP3ファイルにしてダウンロード販売しているんですが、それの告知を兼ねてのキャンペーンです。是非、ご応募下さい。なお、書店様には別途キャンペーンのポスター掲示をお願いしております。ポスター、貼っていただけませんか? こちらの趣旨についてもWebサイトで告知を行なっています。是非、ご協力ください。よろしくお願いいたします。

語研のWebサイト http://www.goken-net.co.jp/
書店さん向けのポスター掲示趣旨説明 http://www.goken-net.co.jp/sp/poster.htm

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