わが社の返品事情
時々、中古本屋で本の小口(本を開く側の断ち口の部分)を紙やすりでこすっている店員の姿を見かける。また、ブックオフではいつも、独自に開発したというごっつい機械で、数冊の本の小口をいっぺんに削っている。かくいう小社も、返品を再出荷する際にはカバーや帯をかけかえ、汚れた小口を紙やすりでこすっているので、ブックオフの機械には常に羨望のまなざしを送っている。
でもこの作業、東京などにある版元さんは専門の業者に出しているそうで、実にうらやましい。そんな業者のいない北海道で活動する小社では、年中、自分たちの手で本の化粧直しをやっている。カバーや帯のかけかえはそうでもないのだが、紙やすりを使って小口の汚れを取るのがなにしろ面倒だ。
どこでついたのかわからないが、返品で戻ってきた本の小口には結構汚れがついている。これが、なかなかきれいにとれない。汚れた部分だけ紙やすりでこすると、汚れは落ちてもそこだけ紙が荒れてしまうため、その小口の全面をこすってなめらかに仕上げるようにしている。この技は、学生時代に木材工芸を少々たしなんだ経験から、木材の表面を紙やすりで仕上げる技術を応用したもの。自分も書店で本を買う時は、その本のコンディションをチェックしてから購入する方なので、仕上げのきれいさについこだわってしまう。
そんな面倒な作業とはいえ、自分で編集を担当した本が再び市場に出ていくのはうれしいことだ。この作業を繰り返すうちに本が売り切れ、ついには増刷になったり、新版になったりするのだから、決してバカにはできない。とはいえ、仕事が立て込んでくるとこの作業時間が重くのしかかってくるのも事実。返品の少ない新刊を出すことは、いろいろな意味でわが社にとっての大きな課題なのである。