ゲリラか夜盗か
2001年5月の本欄にこんなことを書いた。
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——略—— 新聞やテレビでは小泉純一郎・新総理の誕生や、教科書問題など、話題に事欠かない。小泉純一郎の言動たるや「フライ級右翼」といった感じでなんとも危なっかしい。
それでも80パーセント以上もの日本人が小泉政権を支持しているという。
「自衛隊容認」「靖国神社参拝」「憲法改定」を主張する首相。しかもそれをバックアップする政権党の幹事長は元・防衛庁長官の名うての改憲論者だ。いったいいつの間にこんなことになっちゃたんだろう。
唯一はっきりしてきたのは、自衛隊が軍隊だという共通認識だ。軍隊は憲法上認められていないから、漸次廃止とするのか、それとも改憲して「普通の国」になるのか——おそらくこの1〜2年で決着がつくのではなかろうか。クラウゼヴィッツの言うように、戦争は政治の一手段にすぎないのだから、「普通の国」は普通に戦争をする。
20世紀の実例を見ても、戦争は常に「防衛」の名目で始まっている。「侵略」を掲げて戦争する国などない。
パソコンの前に座っている若者諸君、これでほんとにいいの? 戦争に行くのは君たちだよ。
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改憲論者の幹事長は女性スキャンダルにまみれて落選したが、小泉の戦争参加の意志は揺るがない。
ちょっと考えてみた。かつて伊藤博文がハルビンで安重根に殺されたとき、安はテロリストとして逮捕され死刑に処された。しかし安重根は現在の歴史書では、テロリストではなく愛国的民族主義者だ。また、日本軍が中国を侵略したときにゲリラ戦で抵抗した民衆を、日本は「赤匪」と呼び盗賊・強盗扱いした。そのときに戦闘を指導したのは毛沢東であり、その戦術的根拠を「持久戦論」に書いた。
米英占領当局に出向していた2人の外交官がイラクで殺されたと、き小泉がまず言ったことは、「夜盗・盗賊のたぐいかもしれない」であり、その後「テロだ」と強調し、「テロに屈するわけにはいかない」と力んでいる。
そうなんだろうか。どうみても、アメリカはイラクを侵略し、ゲリラ戦に巻き込まれて四苦八苦している。かつての日本の姿がここに重なる。
今度の派兵決定に際して、小泉は日本国憲法前文を根拠とした。憲法学者の古関さんの表現を借りれば、まさに「奇想天外」なこじつけだ。
ね、小泉さん、X-JAPANやオペラなんか聞いて司馬遼太郎に感心してる場合じゃないでしょ。もちっと歴史を勉強したほうがいいんじゃないの? 兵士たちは死んじゃうんだよ! 拉致家族が一家四散の憂き目にあっていることだって、あんたの責任なんだよ。どー責任とるのさ。
パソコンの前に座っている若者諸君、これでほんとにいいの? 戦争に行くのは君たちだよ。