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第22回 (番外編)「本屋フリペ」いろいろ

本連載では、新刊書店で定期刊行されているフリーペーパーを主に紹介していますが、新刊書店の店頭では、定期刊行物以外にも、多くのペーパー類が配布されています。今回次回と2回にわたり、そうした定期刊行物ではない本屋フリペをいくつか紹介してみたいと思います。

「定期刊行物ではない本屋フリペ」にはいくつかタイプがあります。(筆者の私見による勝手な分類です。)

1)店で開催されているフェアに合わせてつくられたもの
2)特定の作家・作品・ジャンルなどをおす目的でつくられたもの
3)その他

1のタイプは、開催されているフェアの概要・主旨、選書リストや選定者のコメントなどが掲載されているもので、定期刊行フリペ以外だと、このタイプをいちばんよく見かけます。

新刊書店店頭でのフェアは、多くの場合、期間限定、一時的なものですから、その内容や選書は開催時を逃すと後で確認することができません。フェアの内容をまとめたペーパーが1枚あれば、フェアの内容が記録として残ることになります。

お客さんは、フェア開催時には手持ちの都合で買えなかったり、迷って後回しにしてしまったものを、後で確認したり、別の機会に買い直したりすることができます。また、書店・出版関連の仕事をしている人であれば、フェアフリペを、自店・自社のフェア企画の参考資料にすることができるかもしれません。

2は、書店の担当スタッフが、この本を売りたい!、この作家をプッシュしたい!という情熱から、応援ペーパーをつくってしまうタイプ。新刊の刊行記念としてつくられるパタンが多いようです。フェアと連動している場合もありますが、1と違って、フェアの有無とは関係なくつくられているものもあります。

3はそれ以外ということで、どういうものとまとめにくいのですが、たとえば、ぼくが目にしたものだと、開店何周年に合わせてつくった店内外のマップ、SNSで発信している情報を一定期間分まとめたもの、などがありました。

では、実際にどのようなものがあるのか、実例をいくつか紹介したいと思います。数が多いので、今回は主に1のタイプを紹介します。

 

 ※「開催中」と明記したもの、開催期間が示されているもの以外はすべて過去のフェアに関連するものです。ペーパーも入手できないものがほとんどです。
 ※フェアフリペには、書店で作成・発行しているもののほかに、版元によるものもあります。本連載は前者を紹介するものですので、今回も原則として、書店発のもののみとしますが、フリペのなかには作成者・発行者が記載されていないものもあり、内容を見てもどちらによるものなのかがわからない場合があります(選書リストのみのものなど)。これまで同様、入手店への取材はせずに取り上げていますので、もしもお店発行のものでないものが混じっているなどがありましたら、ご教示いただけると幸いです。

 
まずは、東京・吉祥寺のBOOKSルーエ。同店には、5分あればフリペを1枚つくってしまうというフリペ職人、花本武さんがいることは、以前の回で紹介済みですが、その花本さんが雑誌売り場そばのコーナーで手がけているフェアでは、ほぼ毎回、フェア連動フリペが配布されています。

↑「バッタ博士」として昨年大ブレイクした前野ウルド浩太郎さんの選書フェア「バッタ博士をバッタ博士たらしめた20冊『バッタを倒しにアフリカへ』の道」。このペーパーがユニークなのは、表紙にもあるように、著者本人による本書の企画書が掲載されていること。たくさんの本屋フリペを見てきましたが、本の企画書が掲載されているフリペというのは初めて目にしました。

↑同じくルーエから「『この地獄を生きる(のだ)』ための20冊 小林エリコ選書フェア」のペーパー。作家本人による選書コメントのほか、書き下ろしエッセイも掲載。このように、選書コメントやエッセイを寄せるなど、作家本人が本屋フリペに協力する例も最近では多く見られます。

↑「自伝『屈折くん』刊行記念 人間椅子・和嶋慎治 選書フェア in Umeda選書リスト」。大阪・堂島のジュンク堂書店大阪本店店頭で入手したもので、タイトルにも「in Umeda」とありますが、このペーパー自体は、他店も共通なんでしょうか、選書コメントの末尾には「2017.4.20〜5.31ジュンク堂書店池袋本店」とあり、「ホンシェルジェの一部抜粋です。詳細はホンシェルジェのホームページへ」とあって、URLが記載されています。

さらに、その後には、「この夏に読みたい怪談本」というコーナーもあり、コメント付きで数点があがっています。

「ホンシェルジェ」というサイトとの連動フリペだから、ということなんでしょう、発行店・作成者などの記載がなく、また選書コメントも、フェア開催店スタッフによるものなのか、作家によるものなのか(両方のパタンがあります)の明記がなく、末尾の「この夏に読みたい怪談本」とフェア本体・選書コメントとの関係もわからないつくりになっているのが、フリペ好きの目から見るとちょっと残念なところ。

サイトとの連動は、フリペの利用・活用の幅を広げる意味で大いにありだと思いますが、その場合でも、フリペはフリペで、それだけで情報が完結している、それだけを読めば必要なことがひと通りわかる、そんなふうになっているほうがいいのではないかなあ、と新刊書店の本屋フリペを情報ソースとして利用している者としては思います。

↑東京・神保町の東京堂書店で入手した「kotoba「わが理想の本棚」で紹介されている書籍リスト」。集英社の季刊誌『kotoba』の特集に合わせたフェアが同店店頭で開催されていたときに配布されていたものです。選書コメントはなしで書目リストのみになっています。(作成者・発行者の明記がないため、版元作成の可能性もあります。)

東京堂書店のフェアは規模が大きく点数が多いので、フェア開催期間だけではチェックしきれないこともありますから、買わなかったもの買えなかったものを後でチェックできるこういうリストは重宝します。

↑同じく東京堂書店のフェアから。「《特集:〈ポスト68年〉と私たち》フェア冊子」。『〈ポスト68年〉と私たち「現代思想と政治」の現在』(平凡社)の刊行に合わせて開催されたフェアのようです。長文のブックフェア宣伝文と、編著者が選書したという書目の一覧が掲載されています。選書コメントはなし。こちらは東京堂書店の発行である旨の明記があります。

連載第2回で紹介した東京・西荻窪の今野書店では、お店の入り口すぐ脇のスペースでいつも小規模ながら興味深いテーマのフェアが開催されていますが、こちらもそのようなフェアに合わせて発行されたもの。

「柳下毅一郎 ぼくを作り上げた十冊」。フェアに対する本人のコメント+選書一覧というシンプルなもの。選書コメントは、すべてではなく、一部の書目にだけつけられています。
A5判用紙横置き片面と、中身だけでなくつくりもシンプルですが、気になる作家・翻訳家ならばこのわずかな情報だけでもファンにはうれしいもの。つくりがシンプルなのも、フェアで買った本にはさんでとっておくのにはむしろぴったりだったりします。

↑今回紹介するなかではもっとも分量のあるフリペ、というか冊子、がこちら。「岩波文庫創刊90年 三省堂書店スタッフ厳選 永遠の定番 岩波文庫」。

岩波文庫創刊90年の記念フェアは、全国あちこちの書店で開催されていましたが、三省堂書店は、チェーンをあげて取り組んだのでしょう、入手したのは三省堂書店神保町本店の店頭ですが、本冊子には発行店の記載はなく、中を見ると全国の店舗のスタッフ、それこそ店舗担当でない事務方のスタッフまでが選書コメントを寄せています。ナショナルチェーンならではのフリペ活用法ですね。


ジュンク堂書店の利用者にはおなじみですね。池袋本店の1階で開催されているフェア「愛書家の楽園」。

写真は2017年の9月から10月にかけて開催されていたVol.70「アイドル 情熱と冷静のあいだ」のもの。フェアの主旨と、選書一覧+選書コメントが掲載された、フェア連動ペーパーの典型例になっています。同フェア、ぼくはいつも池袋本店でチェックしていますが、ペーパーにはジュンク堂書店福岡店丸善名古屋本店丸善京都本店の店名があがっていて、単店でもチェーン全店共通のものでもなく、グループ内の特定店舗連動フェアのペーパーであることがわかります。

 
お知らせ:
本連載の第17回で紹介した、大阪の本屋さん「本は人生のおやつです!!」発行のフリペ「本おや通信」。

本稿執筆時点(2018年1月)での最新号となる28号が、2017年12月に発行されました。登場しているのは、なんと、わたくし空犬太郎です。2017年11月15日に同店で開催されたトークイベントの内容をまとめたものになっています。ご興味のある方は、「本は人生のおやつです!!」にお問い合わせください。年刊くらいのペースのフリペなので、(ある意味)貴重です(笑)。
 

第21回 教文館「こちわしょ」

東京・銀座の真ん中に、こんなすてきな本屋さんがあることを、それも、一般書だけでなく、洋書・キリスト教書・児童書の専門売り場にカフェやホールまでをそろえた、まさに「本の館」と呼びたくなるような本屋さんがあることを、本屋好きとして本当にうれしく思います。

今回紹介する教文館は、明治創業の老舗書店。銀座に用事のあるときは、必ず立ち寄ることにしている、大好きなお店の1つです。

同店発行のフリペが、今回紹介する「こちわしょ」。同店1・2階の和書部で発行されているので「わしょ」なんでしょうか。ひらがな表記ということもあって、本屋フリペとしてはなかなかにユニークなネーミングと字面になっています。

「こちわしょ」、内容は、店内のフェアの紹介、今月の1冊、店長のひとことと、シンプルなつくり。奇をてらったところのない、本屋フリペの王道といっていいストレートな内容で、デザインも読みやすくまとまっています。

A4判横置き両面で、どのように使い分けられているのかはわかりませんが、3つ折りになっているときと、2つ折りになっているときがあるようです。

写真右下が3つ折りのNo.46(2017年3月号)、他3つは2つ折りの号。

上の写真、右が本稿執筆時点での最新号、No.55(2017年12月号)。クリスマス仕様になっています。昨年もこの時期はクリスマス仕様でしたから(写真左、No.43)、毎年12月は定番なんでしょうか。同店はキリスト教系のお店ということで、この季節はお店全体がクリスマスモードに包まれています。書籍の売り場ではそれぞれ関連のフェアが展開されているほか、9階にあるウェインライトホールでは毎年恒例のクリスマスグッズのフェアが開催されています。

同店は、ペーパーを使った情報発信に力を入れているようで、「こちわしょ」のほかに、「おすすめ本●月」という本の紹介をまとめた書評集のようなフリペもあります。月刊で、●のところには発行月の数字が入り、副題(のようなもの)が毎回添えられています。No.74(2017年12月号)には「おろかなる犬吠えてをり」とあります。「除夜の鐘」と続く、山口青邨のよく知られた俳句の一部ですね。過去の号では、歌詞の一部が引かれていたりするものもありました。セレクトに、選者の好みやセンスが感じられますね。

本の紹介といっても、ひとことコメントのような簡単なものではありません。A4判で4ページ。1ページに2冊を取り上げ、1冊につき、700〜800字ほどを割いて、しっかりと紹介。新聞で紹介された本には新聞書評掲載情報も添えられています。文章を手がけているのは、同店スタッフの伊藤豊さん。

これだけでもけっこうな分量ですから、「こちわしょ」と「おすすめ本」の両方を継続定期刊行していくのは大変なことのはずですが、先日(2017年12月初旬)訪問したときは、店頭で「2017 読書の収穫 話題の本」というフェアが開催中で、そのフェアのペーパーというか冊子まで配布されていました。

「おすすめ本」に似た感じのフォーマットで、A4判で20ページにもおよぶもの。「おすすめ本」と同じく伊藤豊さんのお名前があります。フェアのペーパーがつくられること自体はめずらしいことではありませんが、複数の定期無料紙を発行しているお店で、さらにこのボリュームのものをつくって発行するというのは、そんなに簡単にできることではないはずで、情報発信への力の入れぶりには驚かされます。

同店は、前述の通り、ホールやカフェ、キリスト教書・児童書・洋書などが別フロアにあるマルチフロア型店舗ですので、各フロアの案内をまとめたお店全体の紹介パンフレットもあります。こちらは、ワープロや手描きでつくったものではなく、きちんとデザインして印刷された立派なつくりのものになっています。こちらも、この季節配布のものはクリスマス仕様になっていますね。

フロア・売り場が異なりますが、このほかにも、子どもの本関係のフリペをまとめて紹介した第4回で取り上げた「ナルニア国だより」があります。しかも、6階、児童書売り場の「ナルニア国」では、下の写真のように、店内のイベントや展示の案内チラシにも力を入れていて、お店を訪ねると、入り口のところに、常に、複数のイベント案内チラシが並んでいるのです。

1つのお店、それも非チェーンの単独店で、これだけの種類の無料配布物が常時つくられている例は、全国的に見てもめずらしいのではないでしょうか。

教文館・ナルニア国は、店内を散策しているだけで楽しい気分になれるお店です。それは、棚の高さや角度、棚の配置、本の並べ方などに工夫が行き渡っているから、というのは当然あるとして、それだけでなく、店内のあちこちで配布されている無料紙誌から、情報発信に労を惜しまない同店の姿勢というか熱意というかが自然に伝わってくるからではないかと、そんなふうに思うのです。
 

発行店:教文館
頻度:月刊(「こちわしょ」「おすすめ本」)
 

お知らせ:
本連際第8回では、東京・吉祥寺の書店5店(BOOKSルーエ、パルコブックセンター、啓文堂書店、ジュンク堂書店、ブックファースト)の書店員有志の集まり、吉祥寺書店員の会「吉っ読(きっちょむ)」が作成・発行しているフリーペーパー「ブックトラック」を紹介しました。その吉っ読が、吉祥寺の新刊書店の情報をまとめた地図「吉祥寺書店マップ2018年版」が完成しました。配布店などの詳細は、当方のブログ「空犬通信」の記事をご覧ください。

第20回 メリーゴーランド「メリーゴーランド新聞」/メルヘンハウス「ひろばメルヘン」

「読書の秋」などと言ったりしますが、秋は本関係のイベントが全国各地で開かれますから、本好きにとっては忙しい、そしてうれしい季節ですね。11月3日(金)、4日(土)、5日(日)の3連休、東京では、神田古本まつり、神保町ブックフェスティバル、しのばずくんの本の縁日(3日のみ)が開かれていましたので、これらも気になってはいたのですが、名古屋の地域ブックイベント「ブックマーク」が今年で最後だと聞き、これはぜひ見ておかねばと、名古屋に出かけてきました。

名古屋の書店のものとしては、これまでに、カルロバの「パーマネント」精文館書店の「次読むならこれにしや〜」を紹介済みですが、今回も名古屋で出会った本屋フリペを2つ紹介します。いずれも児童書専門店のものです。
 

まずは、子どもの本専門店メリーゴーランド。開業は1976年。三重県四日市市に本店があり、2007年には京都店ができています。四日市のお店は残念ながら訪問したことがないのですが、京都店は昭和初期に建てられたという古びたビルの中にある、すてきなお店でしたよ。

店主の増田喜昭さんは、書店の経営以外にも、絵本塾・童話塾を主宰したり、児童書関連の執筆・講演活動にも力を入れたりなど、子どもの本の世界を広げることに長年力を注いできたことで業界では広く名を知られている方。『子どもの本屋、全力投球!』『子どもの本屋はメリー・メリーゴーランド』(共に晶文社)といった著書もお持ちです。

「メリーゴーランド新聞」は、同店発行の月刊本屋フリペ。名古屋にお店はないのですが、「メリーゴーランド新聞」はカルロバの店頭でも配布されていますので、同店訪問時に入手してきました。手元にある2017年9月1日発行の10月号には、No.427号とあります。創刊時から月刊ペースだとすると単純計算で35年以上になりますから、開店数年後からずっと継続発行されてきたわけですね。

サイズはB5判で8ページ。一部に写真が使われているのをのぞくと枠線も含めてすべて手描きです。児童書の新刊案内はもちろん、「ひげのおっさん」こと店主のコーナー、グッズやフェア・イベント情報に、4コママンガまで。情報量が多いだけでなく、読んでいて楽しい、読者をあきさせない内容になっています。

名古屋のカルロバ以外に配布店があるのかどうか、サイトには情報がありませんのでわかりませんが、入手ご希望の方はお店に問い合わせてみてください。年会費を払えば郵送による定期購読もできるようですよ。定期購読についてはこちらをご覧ください。


 

もう1つは、名古屋・千種の児童書専門店、メルヘンハウス。1973年の創業で、日本で初めての子どもの本の専門店だとされています。千種駅から数分歩くと、高畠純さんの絵が大きく描かれた、店舗の外壁が目に飛び込んできます。子どもの本好きの方ならば、この外観だけでもうれしくなることでしょう。

同店発行のフリペが「ひろばメルヘン」。この連載では、担当の方が個人的につくっているような、手作り感あふれるタイプのものを取り上げることが多いのですが、この「ひろばメルヘン」はきちんとデザインされ(コピーではなく)印刷されたオールカラーの小冊子です。A5判横置き8ページ。月刊で、手元の2017年11月号にはNo.422とあります。こちらも先の「メリーゴーランド新聞」同様、35年以上続いている計算になりますね。

内容は、エッセイ、連載読み物、新刊案内、ギャラリー(同店には2階にギャラリーがあります)での展示案内、スタッフの方の日記などなど、こちらも情報量の多い読みでのあるフリペになっています。同店を訪問された方は、ぜひ忘れずに入手してください。
 

すてきなお店とすてきな本屋フリペの紹介だけで本稿を終えられればよかったのですが、同店に関しては、1つ残念なお知らせもあります。メルヘンハウスは来年、2018年3月末に閉店することが決まっているそうです。ちょうど45周年のタイミングだといいます。

閉店までにはまだ数か月あります。名古屋でたくさんの子どもたちに本を届けてきたこのすばらしいお店をまだご覧になったことがないという絵本好き、児童書好きの方がいらっしゃったら、この機に、ぜひ足を運んでみてください。

(*本連載は、お店でフリペを入手して読む、一般読者の立場でフリペを紹介していますので、通常は発行店に取材はしないのですが、今回は、同店の閉店情報に関し、同店に内容を確認したうえで、フリペを本連載で紹介すること、その際に閉店のことにふれることについて、事前に了承を得ています。)


 

発行店:(メリーゴーランド新聞)メリーゴーランド
頻度:月刊
発行店:(ひろばメルヘン)メルヘンハウス
頻度:月刊
 
 

お知らせ:
本連際第10回で紹介したTSUTAYA寝屋川駅前店で発行されていた「ぶんこでいず」。残念ながら休刊になってしまったことは記事でもふれましたが、その「ぶんこでいず」をつくっていたねこ村さんが、フリペの世界に復帰されたようです。

フリペの名前は「えほんでいず」。内容は、絵本紹介とご本人の出産レポという組み合わせになっています。現時点では、継続刊行されるのかどうかはわかりませんが、楽しみですね。詳細は、ねこ村さん名義のツイッターアカウント(@nekomurabook)をご覧ください。

厳密には本屋フリペではないかもしれませんが、本屋フリペをつくっていた元書店員によるフリペで、ねこ村さんの知り合いがいる書店店頭での配布も始まっているようですので、ここで紹介しておきます。


 

第19回 ジュンク堂書店プレスセンター店「JP(ジェイピー)」

東京・内幸町(日比谷・霞ヶ関)の日本プレスセンター内にあるジュンク堂書店プレスセンター店。2014年にはお泊まりイベントが開催され、話題を呼んだお店ですね(イベント名称は「ジュンク堂に住んでみる」。詳細はこちらを)。

お泊まりイベントが好評だったようで、ジュンク・丸善では、その後、何度も同主旨のイベントが開かれていますが、その記念すべき第一号店というのが、ロケーション的にはややお堅いイメージのある官庁街にあるお店というのが、今思うとやや意外な感じもしておもしろいですね。2017年9月には開店15周年を迎えたとのことで、記念のキャンペーンも開催されていました。
 

「JP(ジェイピー)」は同店発行のフリペ。ジュンク堂書店には『書標(ほんのしるべ)』という、丸善・ジュンク全店で無料配布されている、出版社のPR誌と同じ体裁のA5判・月刊の小冊子がありますが、こちらのフリペはプレスセンター店が独自に発行しているものです。サイズはA5判裏表の2ページと、いたってシンプルなつくり。書影をのぞいてオール手描きで、よく見ると、書影の枠線まで手描きになっています。見やすい手描き文字で書かれていて、デザインもいいですね。数こそ多くはないものの、イラストも効いています。

10月に同店で入手した2017年10月号、Vol.44は、表に4点、裏に4点のおすすめ本が掲載されたシンプルな内容。基本的には本の紹介が中心の内容ですが、過去には、ページ数が多い号もあり、開くと中にすごろくが掲載されている号までありました。

このフリペを紹介したいと思ったのは、とにかくシンプルで、必要最小限の情報がきゅっと詰め込まれたミニマルなタイプのフリペとして、とても完成度の高い1枚だからです。

連載過去回では、職人の技としかいいようのない、プロ顔負けのフリペや、紙面の隅々まで作り手の思いがぎゅーぎゅーに詰まっていてあふれ気味になっている、熱量の高いフリペも紹介したことがあります。それらはそれらでもちろんすばらしいし、個人的にも好きなんですが、すべての本屋フリペがそのような、徹底的につくりこまれたものでなくてはならない、というわけではありません。

お店の基本情報、お店からのお知らせ、フェア情報、その月のおすすめ本を、見やすい紙面に、最小限の文章量で、ごくごくシンプルにまとめる。そんなフリペの基本ともいうべきものがあってもいいと思いますし、あってもいいどころか、それこそがフリペの王道なのかもしれません。読み物やマンガや身辺雑記的エッセイなど、本の紹介という観点からは脱線気味のコンテンツが読めたりするのも本屋フリペの楽しみであり、いいところだったりもしますが、こういう飾り気のないシンプルな直球のフリペもいいものです。

この「JP」は、最小限の情報だけでも、読者にとって益の多い、日々の買い物を楽しくしてくれるフリペになりうるのだという好例ではないかと思います。

自分にもできるかも、と本屋フリペに手を出したことのない書店員にも思わせてくれる、そんな敷居の低い(ように見える)フリペですが、この「JP」のすごいところは、先にも書いた通り、必要最小限の情報を、見やすい描き文字でシンプルなデザインにまとめあげているところ。

見よう見まねで実際につくってみるとわかりますが、ワープロや表計算で枠を切ったところに、規定の字数を流し込むといった、定型でできる作業と違い、手描きでこのような見やすい紙面をつくるのは、実はけっこう大変で、センスと工夫とが必要になります。A5判の用紙1枚のペーパーだなどとあなどるなかれ。いろいろな意味で、本屋フリペの奥深さを感じさせてくれる1枚だったりするのです。

ぼくが入手したときは新刊コーナーの棚の中に置いてありました。同店を訪問する機会がありましたら、新刊コーナーのチェックをお忘れなく。


 

発行店:ジュンク堂書店プレスセンター店
頻度:たぶん月刊

第18回 「ひだまり」

本連載掲載書店のGoogleマップが作られたと、版元ドットコム(@hanmotocom)の9/6付ツイートで報告がありました。こちら。書店の場所がマッピングされた便利な地図で、《掲載されたピンから、その書店が取り上げられた記事へ行くこともできるようにしてあります》とのことです。

これはすごいなあ。大変ありがたいマップですが、こうして書店の場所が一覧できるようになると、取り上げている店の地理的な偏りも一目瞭然ですね(苦笑)。

いろいろな地域の本屋フリペを取り上げられるようがんばります……と言いたいところですが、本業は全国あちこちを飛び回るような仕事ではありませんし、旅好きというわけでもありませんから、仕事の用事で一年に何度か行く機会のある大阪をのぞくと、関東圏以外の書店で行けるところというと、どうしてもかぎられてしまいます。

以前、定期的に出版関連テーマのイベントを開催していたころは、出版関係の知り合いがイベントに遊びにきてくれて、そのついでに、各地の本屋さんで入手した本屋フリペをプレゼントしてくれることがありました。貴重な情報ソースになっていたんですが、最近はそのような機会もなくなってしまい、知らないエリアの、知らない本屋フリペを入手するチャンスはなかなかありません。
 

しばらく前に、元東京創元社の戸川安宣さんが、2017年8月北海道に行ったときに寄ったというお店の本屋フリペを届けてくれました。

(ちなみに、戸川さんは、当方が取材・執筆・編集に関わった『本屋図鑑』(夏葉社)をたいそう気に入ってくださり、評価もしてくださった方の一人で、あちこちの本屋さんを熱心に訪ねては、今回のように現地でしか入手できない本屋フリペなどの資料を持ち帰り、おみやげにくださるという、筆者にとっては大変に貴重な本屋好き仲間——と呼ぶには大先輩過ぎるのですが——なのです。)

今回は、戸川さんが届けてくれた、本連載初登場となる北海道の本屋発のフリペを紹介したいと思います。
 

札幌・手稲にある児童書専門店ちいさなえほんやひだまり。1994年の開店で、20年以上の長きにわたって、同地で営業を続けてきたようですが、今年の8月に同じ札幌市手稲区内で移転、リニューアルオープン(元の店舗の老朽化が原因とのこと)となり、現在は、新住所(札幌市手稲区新発寒6条5-14-3)で営業中です。

北海道書店ナビ紹介記事が、また、同店のブログ「ちいさなえほんやひだまりプロジェクト」にもお店紹介の記事があり、店内の様子を見ることができますが、それらを見ると、おそらくは、それほど大きくはないのであろう店内が、子どもの本でぎっしり。

ひとめで本格的な児童書専門店のそれだとわかる品ぞろえですが、外観はまさにふつうの個人宅(児童書専門店にはよくあることで、それほどめずらしくはないことですが)。この店内外のギャップも、お店の中に足を踏み入れたときのうれしいびっくり感を増してくれそうで、なんだかいい感じですね。

同店発行の本屋フリペが、今回ご紹介する「ひだまり」。サイズはB4判で、色紙にスミ1色で印刷されています。両面をフルに使った紙面には、本の紹介、イベント案内、店内のフェアと連動していると思われる作家・作品紹介などなど、児童書関連の情報がぎっしりです。手元のものは2017年8月に発行された322号。月刊だとすると、開店直後からとぎれることなく継続発行されてきたことになります。個人経営のお店発行のフリペとしては、大変な長寿紙だといっていいでしょう。

札幌は、個人的に好きな街で、何度も書店回りをしたことがありますが、残念ながら「ちいさなえほんやひだまり」は訪問したことがありません。次に札幌に行くときはぜひ訪ねてみようと思っています。

なお、営業日が金・土・日・月・祝祭日とやや変則的ですので、訪問される方、とくに遠方から訪ねる方は曜日に注意したほうがよさそうです。
 

発行店:ちいさなえほんやひだまり
発行:月刊

第17回 「本おや通信」

本連載では、主に新刊書店で発行されているフリーペーパーを紹介していますが、古書店にもフリペを発行しているお店はあります。書店情報がぎっしりのムック『本屋へ行こう!!』(洋泉社、2015)に「書店員がつくるフリーペーパーがおもしろい!」という記事が掲載されています。同記事で、当方は、本連載で紹介済みのものを含むおもしろフリペを新刊書店発行のものからいくつかセレクトしていますが、南陀楼綾繁さんは、神戸のトンカ書店他の古書店のフリペもセレクトしています。

古書店の場合、フリペをつくるにあたって、新刊書店に比べると難しい点もあります。基本的に一点ものの古本を扱う古書店では、本屋フリペではおなじみの新刊・近刊情報や売上ランキングなどは、フリペのネタとしては使えません。本を紹介する場合も、その本を常に在庫しておけるとはかぎりませんので、セレクトやタイミングに工夫が要ります。

ただ、定番のネタが使えないからといって、古書店発行の本屋フリペが情報的に劣ったりおもしろくなかったりするわけではなく、むしろ逆で、読み物を中心にした、作り手の個性的が存分に発揮されたおもしろフリペがいくつもあります。今回紹介する「本おや通信」も、そうしたユニークな古書店発のユニークな本屋フリペです。
 
 
利用者には「本おや」の略称で親しまれている「本は人生のおやつです!!」。店の名前には見えないかもしれませんが、「!!」も含めて正式名称です。大阪・堂島(本好きには、ジュンク堂書店大阪本店のある街ですね)にある書籍と雑貨を扱う小さなお店で、書籍は新刊・古書両方の扱いがありますが、メインは古本。雑貨は、複合型のセレクトショップでよく見かけるようなおしゃれ文房具ではなく、一筆箋、ポチ袋など紙ものが多めで、オリジナルのものも扱っています。

同店発行の本屋フリペ「本おや通信」はA4判、(毎回そうなのかはわかりませんが)両面ともカラーで、厚手のしっかりした紙が使われています。紙面は新聞調の3段組で読みやすいレイアウト。店主坂上さんがFacebookに寄せた説明によれば、《さまざまな職業・年齢の方々に、「自分の人生を豊かにしてくれた本」についてお話してもらい、たまーに作っては店内にてお配りして》いるもの。基本的には1枚に1人の方がフィーチャーされたものになっていて、最後にお店の案内が小さく載っているのを除き、他の記事はありません。

過去には、『「本屋」は死なない』(新潮社)の石橋毅史さんや、店主のお友だちだという芥川賞作家の藤野可織さんも登場。現時点で最新号となる2016年3月発行の第27号には、本好きにはブログ「神保町系オタオタ日記」でおなじみの「神保町のオタさん」が登場し、「自分の人生を豊かにしてくれた本」について語っています。

最新号が1年以上前の発行と少し時間が経っていますが、休刊になってしまったわけではありません。店舗営業、古書展出店、自店イベント開催などの合間をぬっての作成なので、なかなか発行できないようですが、しばらく前に店主さんにお会いしたときに「本おや通信」についてうかがったところ、今年じゅうに出したい!と言っていましたから、まもなく最新号を読めるかもしれませんね。

「公開☆本おや通信!」という名称で、「本おや通信」の「公開バージョン!」という位置付けのトークイベントも不定期で開催されています。書店でのトークイベント自体はめずらしいものではありませんが、同店は、お店のサイズと店主の人柄もあって、お客さんとの距離がものすごく近いので、トークイベントも、独特のアットホームさに包まれた、参加者全員が知り合い(笑)とでもいった感じの、居心地のいい空間と時間とになっています。

「本おや通信」は、同店で無料配布されていますが、現在は最新号27号を含め、過去の号の在庫もないようでした。同店のサイト他でのファイル公開もしていませんので、最新号が発行されたときに店頭で入手するようにしてください。

お店自体、とてもすてきなところで、本好きの店主とおしゃべりをするだけでも、本好きならば幸せな時間を過ごせますから、フリペの有無に関係なく、お店を訪ねるのもいいと思いますよ。


 
 
発行店:本は人生のおやつです!!
頻度:不定期刊

●Googleマップ 「本屋フリペの楽しみ方」掲載書店

第16回 「往来っ子新聞」

街歩き好きに人気の高い東京屈指の散歩エリア、千駄木。地下鉄千駄木駅から徒歩数分、千駄木通り沿いにある往来堂書店は、一見ふつうの町の本屋さんですが、その見事な棚作りで全国の本好き、出版書店関係者に人気の高いお店です。同店がすごいのは、そうした玄人に「だけ」愛されるような、敷居の高いお店になっていないこと。地元の老若男女にとってのふだん使いのお店、文字通りの町の本屋さんとしてきちんと機能し、町にとけこんでいるのがすばらしい。筆者も大好きな本屋さんの1つです。

同店で長く発行されてきたフリペが「往来っ子新聞」。紙面は、A4判横置き両面。店頭では3つ折りの状態で、レジや入り口の看板に置かれています。すべて手書きで、新刊やおすすめ本の紹介、文庫などの売上ランキング、フェアやイベントの紹介などの情報が両面にぎっしり詰まっています。

表面の下には、同紙の名物といっていいでしょう、新聞のサンヤツ(一面の下に並んでいる書籍の新刊広告;新聞の段、3段分を使って横に8コマ並ぶことからこう呼ばれます)のように、手書きの広告がずらりと並んでいます。地元のお店の広告あり、新刊広告あり。書影まで手描きのイラストになっています。手書きなので、本文と同じテイストで広告を「読めて」しまうのがおもしろいですね。

創刊は2009年6月。前回紹介した「次読むならコレにしや〜!」も60号超と、長く続いている本屋フリペの1つですが、こちらはなんと本稿執筆時点で通算150号をゆうに超えています。

2013年には、創刊号から109号までをまとめた合本版『往来っ子新聞 創刊号−一〇九号』が刊行されました。税込2,000円。表紙はミロコマチコさんによるシルクスクリーン。1枚ずつ刷ったそうで、いくつか色違いのバージョンがありました。同じスタイルで長く継続して刊行し続けてきたからこそ可能になったものですよね。こちらは完売で、残念ながら現在は在庫がないようですが、また200号記念のときなどにまとめたものが作られるかもしれませんから、ファンの方は要チェックですね。

「往来っ子新聞」は、同店で無料配布されているほか、版元ドットコムでPDFをダウンロードすることもできます。バックナンバーの一覧はこちらをご覧ください。

往来堂書店といえば、なんといっても「往来っ子新聞」が有名ですが、同店にはメルマガ「往来堂ももんが通信」もあります。こちらは週刊で、「本日の一冊」「これから出る本の予定 ピックアップ」「編集後記」などからなっています。まぐまぐで配信されていますので、登録はこちらからどうぞ。バックナンバーはこちらで読めます。

  
発行店:往来堂書店
頻度:(往来っ子新聞)月刊;(往来堂ももんが通信)週刊

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【お知らせ】
往来堂書店のオリジナル文庫フェア「D坂文庫2017」が7/15(土)に始まりました。同店にゆかりのある選者64人が、とっておきの文庫をセレクト。わたくし空犬太郎も選者の一人として参加しています。読み応えたっぷりのフェア冊子(ブックカタログ)は100円で販売されるそうです。フェアは8/31まで(予定)。

もう1つ、往来堂書店にも関連のあるイベントを。

7/29(土)に「帰ってきたブックンロール(ブックなし)」を開催します。出版・書店業界関係者による音楽ライヴイベントで、往来堂書店の笈入建志さんが登壇するショートトークのコーナーもあります。荻窪ルースター・ノースサイドにて。詳細は当方のブログの案内記事をご覧ください。
 

第15回 「次読むならコレにしや〜!」

愛知県豊橋市に本社をおく、大正創業の老舗、精文館書店。愛知県を中心に店舗展開をしているチェーンで、関東だと、千葉・埼玉・神奈川には支店がありますが、都内にはありませんので、都内近郊の書店好きにはあまりなじみがない名前かもしれません。

ただ、名古屋市中川区にある精文館書店中島新町店の名を知る書店人・出版人は関東にもたくさんいることでしょう。というのも、同店には、目的地にたどり着けないという、ただそれだけのことを、おもしろサバイバルな文章にまとめて、WEB連載で人気を博し、あげくのはてには単行本にまでなってしまったという名物書店員さんがいるからです。ひさだかおりさん。連載をまとめた本は、こちら。『迷う門には福来る』(本の雑誌社)。

その《「活字に関わる仕事がしたいっ」という情熱だけで採用された妻母兼業の時間的書店員》(本の著者紹介より)、ひさださんが手がけ、同店で発行されているフリーペーパーが「次読むならコレにしや〜!」です。

A4判裏表に、手書きとワープロ文字混在で、主にエンタメ系フィクションの情報がぎっしり。創刊当初から、ひさださんが一人で手がけていますが、途中、児童書を紹介するコーナー「えほんの力」が裏面に掲載されていた時期がありました。同店の児童書担当の方の協力を得ていたようで、絵入りの記事はなかなか楽しく読ませてくれるものでしたが、残念ながら休載となってしまいました。

現在は、またひさださんの一人体制に戻り、あいかわらず裏表に情報がぎゅっと詰まった紙面をすべてひとりで手がけています。

本屋フリペを発行している人の多くが感じているのではないかと思いますが、いちばん大変なのは、発行を続けること。それも定期的に続けることでしょう。本連載で紹介している本屋フリペの多くは一人の書店員さんの手になるもので、しかも、業務時間外に作られているものがほとんどです。正規の業務として認められ、輪番制になっていたり、担当者が変わっても継続発行されたりすることはまれで(ないわけではありませんが)、そのため、担当者の方が異動になったりやめてしまったりすると、フリペも続けられなくなってしまう、ということにしばしばなってしまいます。

そんななか、「次読むならコレにしや〜!」は、本稿執筆時点の最新号が66号。月刊ですから、5年以上継続発行されていることになります。個人発行でこの数字はすごい。現在、ぼくが定期的にチェックしている本屋フリペのうち、個人で出しているものとしては、最長の1つになるでしょう。がんばって続けてほしいなあ。

通常号を出し続けるだけでも大変なのに、ひさださんは、これまでに何度か読書感想文対策用の特別号も発行したりしています。題して「勝手に課題図書新聞」。以前の情報では、年に1回の発行で、過去に発行された号を見ると、表はオススメ本の紹介、裏面は「イケてる読書感想文の書き方」という記事になっていました。

「次読むならコレにしや〜!」は、同店で配布されているほか、ひさださんご本人がPDFにして、書店仲間や当方のような出版関係の知り合いに直接配布もしているようです。お問い合わせは、精文館書店中島新町店店のひさださんまで。

 
発行店:精文館書店中島新町店
頻度:月刊

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【お知らせ】
まもなくこんな本屋本が出ます。『東京 わざわざ行きたい街の本屋さん』(ジー・ビー)。

書き手はBOOKSHOP LOVERのハンドル名で本屋情報を熱心に発信していることで知られる和氣正幸さん。

その和氣さんの本屋フリペに関する取材を受け、わたくし空犬も少しだけ本書に情報を提供しています。本連載で紹介してきたフリペの実物を例に引きながら、本屋フリペのおもしろさについての話をしました。コラムとして掲載されているようですので、本屋さん情報に興味のある方はぜひ手にとってみてください。6/20ごろ発売です。

刊行後には、こんなイベントも予定されているようです。「7/7(金)19:30〜 本屋100連発 本屋の良いトコロをこれでもかと紹介する会@双子のライオン堂」(Peatix)。会場は赤坂の本屋さん「双子のライオン堂」。要予約のイベントです。近隣の本屋好きの方はぜひお出かけください。

第14回 「放課後本屋さん」

当方がふだんよく通っている本屋さんの1つ、東京・吉祥寺のBOOKSルーエ。同店の2階には、常設のフリペコーナーがあるんですが、そこで出会ったフリペが「放課後本屋さん」。表紙には「書店員と元書店員が作るフリーペーパーです」とあります。書店員が所属のお店で作成・配布しているタイプのフリペではありませんが、これも「本屋フリペ」の一種だとしていいでしょう。

2016.7.31発行のVol.1の「おくづけ」によれば、寄稿者のサークル名は「野生の本屋さん」、発行者は「蒲山ヒポ麿」となっています。創刊からまだ1年にならない、できたばかりの本屋フリペですが、創刊以降順調に刊行されているようで、本稿執筆時点で10号(2017.5.4発行)まで出ています。

Vol.1の表紙にはこんな一文が載っていました。《本屋の業務が終わっても本屋をやめてしまっても仕事を離れてなお本と物語を愛し続けるそんな野生の書店員が集まって作ってみたフリーペーパーです》。職場を離れた立場を「野生の書店員」と表現しているのがおもしろいですね。

サイズは文庫判よりひと回り大きいB6判。手描きとワープロの文字が混在で、イラストも多用されています。号によってページ数が異なるようですが、最近の号でみると、「レビュー増量号」と謳われているVol.9、「レビュー微量号」と謳われているVol.10はともに32ページとなっています。

内容は、本のレビュー、文芸書・文庫の発売予定など。過去にはテーマ特集の号もあり、これまでに、ガンダム、ポケットモンスター、シン・ゴジラなどが取り上げられています。

この連載では、玄人はだしの画力・レイアウト力をほこる作り手によるフリペも紹介したことがありますが、この「放課後本屋さん」は、いい意味でゆるめのテイスト。レイアウトやイラストに素人っぽさが出ていて、全体に、昔ながらの同人誌、ミニコミっぽい雰囲気になっています(クオリティ云々の話ではなく、あくまで雰囲気、テイストが、です)。自分の好きなもの=本のことをもっと知ってほしいので、こんなのをつくってみました、という感じがストレートに出ていて、読んでいてほっとさせられます。

目を引くのはマンガ、それも数ページにわたるマンガ作品が掲載されていること。4コママンガを載せている本屋フリペは割によく見かけるのですが、9ページものマンガ(10号)、それも身辺雑記タイプではなくストーリーマンガを掲載している本屋フリペはめずらしいのではないかと思います。

フリペの名前や発行人名で検索しても、当方がツイッターで紹介したのが引っかかってくるだけで(苦笑)、公式サイトやツイッターアカウントなどはないようですので、BOOKSルーエ以外にどこで配布されているのか、そもそもよそで配布されているのかもよくわかりません。エリア外の方が簡単に入手できるものなのかどうかちょっと微妙ですので、気になる方は、東京・吉祥寺のBOOKSルーエの店頭をチェックするか、同店に問い合わせてみてください。

配布店:BOOKSルーエ
発行頻度:月刊

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第13回 「ダイワレター」と「BOOKMARK」

新刊書店で独自に発行されているフリーペーパー(=本屋フリペ)を取り上げて紹介するという本連載の趣旨からはちょっとはずれるのですが、連載が延長となったこともありますので、今回は番外編ということで、書店発ではない書店関連無料誌を2つ紹介したいと思います。

まずは、「ダイワレター」。コミックのシュリンク機(コミックは新刊書店では通常、ビニールをかけた状態で売られていますが、あのビニールをシュリンクと呼びます)を手がけるダイワハイテックスが発行している書店情報誌です。

無料の情報誌ですが、A4判12ページでオールカラーと、ぜいたくなつくり。年4回発行で、最新号に記された発行部数は5,000とありました。

新しくオープンとなった店や店頭でユニークな取り組みをしている店を紹介する書店レポートや、書店員インタビューなどの記事が毎号掲載されるなど、まさに書店情報誌としかいいようのない中身になっています。テーマに工夫をこらした特集が掲載されることもあります。過去には、全国の書店員の会や、本屋フリペの特集号もありました。

本稿執筆時点での最新号は50号。祝通巻50号ということで、表紙も赤字に金の水引をあしらった、お祝いモードになっています。過去の号に登場した関西の書店員が集まったトークイベントのレポート、昨年話題を呼んだ文庫Xと覆面BOOKSの特集記事を収録。そのほか、昨年リニューアルオープンとなったTSUTAYA LALAガーデンつくばの紹介記事、広島の中央書店の代表取締役、内藤剛さんのインタビューが掲載されています。

シュリンク機の会社が発行しているフリーペーパーではありますが、話題がコミックに偏ることもなく、シュリンクにまつわる専門的な記事が掲載されるわけでもありません。本屋さんに関心のある人なら誰でも楽しめそうな、新刊書店にまつわる話題が広くカバーされているのが、こうして50号の中身を列記してみるだけでもおわかりいただけるかと思います。

本屋好きには読みでのある内容になっていますので、ぜひ手にとってみてください。ただ、この「ダイワレター」、残念ながら書店店頭では入手はできません。同社のサイトに最新号+全バックナンバーのPDFがアップされていますので、そちらからダウンロードしてご覧ください。

もう1つは、「BOOKMARK(ブックマーク)」。海外文学の紹介に特化した無料小冊子です。本稿執筆時点で、7号まで出ています。発行は、翻訳家の金原瑞人さん。編集に同じく翻訳家の三辺律子さん、イラスト・ブックデザインにイラストレーターのオザワミカさんの名前もあがっています。

CD(のジャケット)と同じサイズの正方形で、24ページ、オールカラー。毎号特集が組まれ、特集テーマに沿った本が1ページに1点、合計で十数点紹介されています。

特徴的なのは、取り上げられているのがすべて翻訳文学であること、さらに、それぞれの本の紹介を、その本を翻訳した翻訳家が担当していること。端正で読みやすいデザインといい、一線の翻訳家がたくさん登場して自らの翻訳作品を紹介する中身といい、とにかく、豪華なつくりになっていて、毎号、手にするだけでうれしくなってしまいます。

毎号のテーマ選定にも工夫がこらされています。4号は「えっ、英語圏の本が1冊もない!?」というタイトルの通り、海外文学の特集で入れずに選ぶのが難しいはずの英語圏のものが1冊もないという特集になっています。最新7号は「眠れない夜へ、ようこそ」。「ホラーの味つけのあるミステリー特集」になっています。

「BOOKMARK(ブックマーク)」は、全国の書店、公共図書館などで配布されているようです。こちらに配布リストがありますので、入手を希望される方は、お近くで入手できるところがあるかどうかを確認する際の参考にしてください。

以上、いずれも厳密には本屋フリペではないのですが、書店愛にあふれる書店情報誌、書店で配布されている本関連の小冊子ということで、紹介しました。次回からは、また通常の本屋フリペ紹介に戻ります。

「ダイワレター」
発行:ダイワハイテックス
頻度:年4回

「BOOKMARK(ブックマーク)」
発行:金原瑞人
頻度:年4回

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