版元ドットコム

探せる、使える、本の情報

文芸 新書 社会一般 資格・試験 ビジネス スポーツ・健康 趣味・実用 ゲーム 芸能・タレント テレビ・映画化 芸術 哲学・宗教 歴史・地理 社会科学 教育 自然科学 医学 工業・工学 コンピュータ 語学・辞事典 学参 児童図書 ヤングアダルト 全集 文庫 コミック文庫 コミックス(欠番扱) コミックス(雑誌扱) コミックス(書籍) コミックス(廉価版) ムック 雑誌 増刊 別冊

「企画の話」

 ポットに入社して約半年。編集で入ったものの、まだ一冊の企画も出してません。ちょっと焦っているところに、先日、ほぼ僕と同い年で出版社勤務の Fさんが企画を売り込みにポットに来社。社長の沢辺といっしょに応対しました。夜9時ぐらいに来て、終わったのは午前4時ぐらい。そのままFさんと僕はポットに泊まるはめに。Fさんと僕は相当沢辺からやりこめられたけれど、Fさんからはその後、とっても爽やかなメールが到着した。そう遠くない日に、ポットのサイトで連載してるんじゃなかろーか(とプレッシャーをかけときます)。 

 ポットに入るまでに、2社、出版社を経験してきました。一社は文学系の研究書を中心にした出版社。もう一社は社会科学系の大学教科書を扱う出版社。不満があったのは、企画が出るシステムがすでに存在していて、その枠組みから飛び出すことがとても大変なことだったから。というと、自分を美化しすぎだ。力不足を隠しているみたいで。

 最初の会社の編集長Hは、いつかああなりたいと思わせる人で、まだ彼の影響下から脱していないかもしれない。吸い寄せられるような魅力のある人ってやっぱりいて、彼もそんな人で、清も濁も何でも飲み込んでいっちゃう感じ。企画も、黙っていても入ってきた。要は持ち込みなんだけれど、それがかなりの打率でその分野の重要なもの。その会社を辞めたのは、編集長Hの作ったシステムはすでに古くさいんじゃないかと、ゴーマンにも考えたからだ。当時ひつじ書房の松本さんが書いた『ルネッサンス・パブリッシャー宣言』を読んで、ひどく衝撃を受けたせいもあったかもしれない。でも、人のふんどしで、相撲をとりつづけたくない、という思いが一番強かった。今も、それはそうだ。
 企画は、なんだかんだ屁理屈をぶっこいても、結局は編集者次第。
 Fさんと話しながら、当たり前のことを、当たり前に思い返した。

 最近ポットにその最初の会社の編集長Hから電話があった。ポットの本を買いたいという電話で、でも実は無駄話をしたいからということに違いなく、本は特に何をとは決めてなかったんで、みつくろって2冊送った。相変わらず疲れている感じだったけれど、うれしかった。
 たぶんこういうことが出来るから、みんな慕ってあつまるんだろーな。社員には逃げられっぱなしだけれど。

このエントリーをはてなブックマークに>追加