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ペンも剣も、無くなればいいのに。けれど

「この二文字を版元の社名にする人って、一体どんなセンスの人なのかしら?」
ふたり版元を創業してから、名刺を交換するたびに、さまざまな表情に出合ってきました。

きっと、パソコンや電話などの向こう側でも、社名を見たり聞いたりした相手は、同じような顔つきをしていたと思います。
「剣筆」と目に入れば、まず思い浮かぶのが、「ペンは剣よりも強し」という格言でしょうから。
ちなみにこの格言、『日本国語大辞典』によりますと、
「言論は、人々に対して暴力よりも効果がある」
とあり、Wikipediaでは巷間、
「自分のペンによる許可書(令状や命令書などを含む)への署名が、どんな武器にもまさる」
とも解釈されているらしいです。
どうやら、剣を握れば暴力を振るってしまう、筆を取れば権力を振るってしまうのが、人間という存在のようです。
「そんな剣や筆ならば、いっそのこと、この世から無くなってしまえばいいのに」
などと、版元を営む人間にあるまじき思いを抱いてしまうのですけれど、親鸞聖人が仰るには、「さるべき業縁のもよおせば、いかなるふるまいもすべし」が人間の本性とのこと。
結局、人間は剣も筆も無くすこともできなければ、力を振るってしまうことを止められはしないわけです。
せっかく、「捨てる」という意味を含む「舎」を当てて、「剣も筆も捨てる」意味合いとしたかったのに、どちらも捨てられないとは、なかなかに厳しい。
あぁ、人間とは、なんと業の深い存在なのでしょう。
でも、そんな業の深い人間を赦してくれる存在がいます。
そう、言わずと知れた、神仏です。
人間を赦せるのは、神仏しかいないのです。
人間は心の奥から、体の底から人間を赦せないのではないでしょうか。
それもまた、人間の業だからです。
なにをどうしても、「さるべき業縁のもよおせば、いかなるふるまいもすべし」に還ってきてしまいます。
他者から赦されない、他者を赦せない自分を赦せないからこそ、神仏に赦されたいのでしょう。
なんでも、「ゆるす」意味を含む漢字は結構あるようで、そのなかには「舎」という文字も含まれるらしいのです。
そうか、その手がありましたか。
ならば、「剣を握れば暴力を振るってしまう、筆を取れば権力を振るってしまう、それでも剣も筆も捨てられない人間を赦してください。神様仏様」という意味合いを持たせればいいのでは――。
かような思いで、名付けた社名です。
長々とした駄文でした。ごめんくださいませ。

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