元気が一番
『待ってたぞ!美術館』(2022年4月20日)は当初の計画から40年余りの時を経て、昨年2月ようやく開館にこぎつけた大阪中之島美術館の紹介。およそ1年ほど前から「大阪市中之島美術館を考える会」が発足し、その経過を踏まえ座談会やインタビューさらに各界から95名のメッセージが寄せられた。
コロナ禍の折から打ち上げイベントなどは中止のやむなきに至ったが、文化・経済の拠点としての中之島エリアを見直すきっかけともなり、2年後の関西万博も見すえた今後の運営に期待がかかる。
同じく2月に勃発したロシアのウクライナ侵攻は世界中を不安に陥れ、今もなお戦争状態が続いている。かねてから「絶対非戦論」の立場を説いてきた文芸評論家の神山睦美氏が満を持して『戦争とは何か』(8月15日)を出版。夏目漱石、ドストエフスキーの思想を中心にこれまで取り組んできた論考をさらに集約しての一冊となった。書評紙、雑誌、ネットなどでも反響があった。
一方で『東海道五十三次を歩 七十代 私の大冒険』(森本恵子著・4月30日)は古希を過ぎた女性の年齢を感じさせない元気な挑戦旅と豊富な蘊蓄の魅力。著者には多くの同世代の女性たちからの共感、励ましの手紙が寄せられたとのこと。
それに負けず劣らず今年は『喜寿の青春賦 街道歩き4000㎞』(桐原 肇著・2023年1月19日刊行予定)が凄い。累計162.5km 602.9万歩 161日間 278宿場の記録。本文398頁、口絵16頁、細かな資料、地図つきである。著者は喜寿を迎えてもますます元気溌剌、最終校正を終えると颯爽と新たな沖縄~石垣島の旅へと赴いて行った。
いつまでも元気な体を保つこと、この不安な時代を生き抜くためにはそれこそが一番大事、改めて実感する次第。