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2002-12-13●第二回本屋街オフ会[絵本編]
オフ会直前特集★「絵本とワタシ」談義


[2003-12-13公開]

《序》今回のオフ会のテーマが「絵本」と決まってから、自分のなかの記憶をたどって、絵本と出会ったころを思い出そうと努力しましたが、全然ダメでした。でも最近、絵本は気になる存在なのです。そんなときに、近所の高円寺の街になかなかオシャレな古絵本屋さんができました。そこの店主のあらきさんと、やはり中央線沿線仲間のおもてさん、そしてわたくしの三人で秋の夜長、絵本談義に花をさかせました。

 

あらきけんた☆えほんやるすばんばんするかいしゃ店主 おもてみずえ☆三味線演奏家 ふかさわたかゆき☆ガンダルヴァ店主

 

 ★絵本との出会いと再会について

「ふたりはともだち」
作・絵: アーノルド・ローベル
訳: 三木 卓
出版社: 文化出版局
本体価格: \854
発行日: 1972年11月10日
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「ふたりはいっしょ」
作・絵: アーノルド・ローベル
訳: 三木 卓
出版社: 文化出版局
本体価格: \854
発行日: 1972年11月10日
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「ふたりはいつも」
作・絵: アーノルド・ローベル
訳: 三木 卓
出版社: 文化出版局
本体価格: \854
発行日: 1977年5月15日
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「ふたりはきょうも」
作・絵: アーノルド・ローベル
訳: 三木 卓
出版社: 文化出版局
本体価格: \854
発行日: 1980年8月17日
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ふかさわ:きょうは、「絵本とワタシ」というテーマでたっぷりお話してもらおうと思います。じゃあ、トップバッターはあらきさんから。まず絵本との出会いについて。

あらき:それねえ、けっこう考えたんですけど…。むずかしいですね、出会いって。

ふかさわ:子どものころの記憶って何か残ってます?

あらき:まあ、人並みに読んだってカンジじゃないですか。

ふかさわ:自分で読んだって記憶なのかな? それとも誰かに読んでもらった記憶?

あらき:読んでもらったのは幼稚園のころ。小学校に入ってからはもう自分で読んでた。

ふかさわ:へぇ、自分から読んでた。本好きの子だったんだ?

あらき:ていうか、学校で読まされてた。図書館から一日一冊本借りて読めって。

おもて:えー、すごい。一日一冊って!

ふかさわ:ふーん。アラキさんの在所の熊本の小学校じゃそうだったんだ。

おもて:でも、一日一冊は大人でもタイヘンだよ。

あらき:だから…。なるたけ字が少なくて、絵の多い本を選んで読んでた(笑)。

ふかさわ:では、読んでもらった記憶のほうは?

あらき:それがね、ほとんどない。何か読んでもらったはずなんだけど…。ただ、このお店始めるときに実家から送ってもらった本を見て、思い出したっていうのはある。

ふかさわ:じつはね、今回絵本をテーマにやろうって決めたときも、本屋街にお店出している人たちに聞いてみたの。そしたらね、男の子たちはみんな憶えてない、とか、果たしてオレ読んでたのかな、とか。そんなのばっかし。かくいうワタシもそうなんだけどね(笑)。

あらき:たぶん、そうなんでしょ。だって、お客さん見ててもカップルでやってきて、女の子は興味があってやっぱすぐ飛びつくんですけど、男の人はただヒマそうに突っ立ってますもんね。だから、ぼくもその感覚よく分かりますよ。

おもて:あーそうなんだ。じゃあお客さんの比率も全然女の人が多いんですか?

あらき:うーん、そうですね。まあ男の人がくるとしたら、美術関係とかデザイン関係とかかな。やっぱ資料として使うのかなあ。もしくは、何かプレゼントとか…。おもてさんの場合はどうだったんですか?

おもて:わたしの場合は、ちゃんと憶えているわけじゃないけど、見たら思い出すんですよ。アタマのどっかに記憶があるんでしょうね、きっと。ただ、この歳になると絵本売場とかなかなか行かないですからね。クレヨンハウスにはこのあいだ行きましたけど。児童施設に勤めてる友だちがクリスマス会で紙芝居をやるといって。紙芝居ってちゃんと売ってるんですね。

あらき:紙芝居高いんですよ。でも書店で扱っているのって都内だとクレヨンハウスくらいかな。

ふかさわ:ふーん。で、やっぱり再会した絵本は、自分の手もとに置いておきたくなるものなの?

おもて:だから、「がまくんとかえるくん」は二冊あるんですよ。でも置いておきたいと思うかなー。大きいですからね、絵本…。あんましわたし、部屋に本置いとかないんですよ。

ふかさわ:その「がまくんとかえるくん」は実家から持ってきたの?

おもて:実家から一冊持ってきて、もう一冊は買いました。

あらき:あれ、面白いですよね。

おもて:うん、面白い。感動もするし。

あらき:絵本との再会、っていうなら、あの本ですよ、ぼく。

ふかさわ:え、なんか「がまくんとかえるくん」人気だな。

おもて:「きりぎりすくん」もそういえばあったなー。そうそう、「ふたりは〜」シリーズなんですよね?

あらき:うん。「ふたりはともだちシリーズ」

ふかさわ:それって、いま読んでも面白いの?

おもて:かえって、いまのほうが面白いかも。

あらき:あれねえ、子どものころ読んでもあんま面白くないと思う。子どものころはねえ、何かインパクトがうすいんですよ。表紙がね、子どもながらに地味だと思ってた。いまは、それがしっくりくるのね。


 ★絵本の魅力とは?

「星の王子さま」
著: サン=テグジュペリ
訳: 内藤 濯
出版社: 岩波書店
本体価格: \1000
発行日: 2000年3月
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「ぐりとぐら」
作: 中川 李枝子
絵: 山脇 百合子
出版社: 福音館書店
本体価格: \743
発行日: 1967年1月20日
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「ぶたぶたくんのおかいもの」
作・絵: 土方 久功
出版社: 福音館書店
本体価格: \743
発行日: 1985年2月28
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ふかさわ:さっきお客さんって、女の人が多いって言ってたけど、ああ懐かしいっていって買っていくの?

あらき:ぼくが思うに、女の人は何ていうのかな、絵本を手にとった第一印象で決めていきますね。ぼくがこう言っちゃナンですが、絵本といっても、いわゆる“本”という感覚で見ていくと、あんまり面白くないと思うんですよ。だから物体としてのインパクトですよ、勝負は。“あ、可愛い!”それでいいと思いますね。これに対して、男の人の多くは何か絵本から意味を見出そうとしたり、教訓めいたものを求めたがる。小説やマンガにはちゃんとストーリーがあって、登場人物の性格が深く掘り下げられているけど、絵本の場合はやっぱり、絵が9割がた大切だし、そこに一個一個インパクトがあるわけで……。だから、それ以上の深い意味は何にもなくて、まず目にパッと入ってきたものが重要ってことですかね。

ふかさわ:ふむふむ。

あらき:だから「星の王子さま」とか、また違ってくるんですよね。本として見るじゃないですか?

おもて:あれ、あんまり好きじゃないな。

ふかさわ:あら。ぼくはけっこう好きだけど。日がな落日ばかりを眺めて過ごすだなんて泣けるストーリーじゃないですか。

おもて:えー、ぜんぜんつまんなよ。

あらき:(笑)ああいう路線だと、男の人でも読みやすいかも。

ふかさわ:ところで「ぐりとぐら」なんか、たわいない話ですよね。正直ぼくさぁ、何でこれが名作といわれるのか、さっぱり分からないんだけど。

あらき:分からないでしょ? そう、これね、じつは難しいんですよ。何て言うのかな。微妙なバランスがね…。

ふかさわ:あんまりバランスがよすぎてもよくないってこと?

あらき:そうそう。そのね、あやういバランスがね、「ぐりとぐら」の場合はしっくりきてるんですよ。それとね、絵本って、どれ読んでも大体そうなんですけど、何でこうなるの? という具合に結末も無責任だし、なんか正論ではない感じ。正しいことは言っていない感じ。そういうのがずっと普通だったんですよ。

おもて:そうそう。脈絡ないよね。

あらき:ぼくが思うに、子どもにとって絵本でいちばん大事だと思うのは、ト・ラ・ウ・マ。いかにトラウマとして子どもの記憶に残せるかが重要かな。それはストーリーよりも、やっぱり絵の部分。話はけっきょく憶えてなかったりするんですよ、大きくなると。でもね、絵はしっかり憶えてる。

おもて:憶えてる、憶えてる。

あらき:それで、自分のなかで勝手にストーリーの組み立てができること、それが一番大事なんですよ、きっと。だから、絵見て、これコワイやーというふうに憶えていて、たしかこんな話だったというふうに、なんとなく自分のなかで組み立てられる。

おもて:うん、うん。

ふかさわ:おもてさん、何か思い出としてあります?

おもて:あります。あれですよ。「ぶたぶたくん」。これなんて、子どもの教育に悪いような絵ばっかりですよ。特にパン屋さんが気持ち悪い! ハッキリ言って不気味です。

あらき:読めば分かるんですけどね、何ていうこともない話なんですよ。

おもて:何で子どもにこんなもん読ませるーみたいな、絵だってきれいじゃないし。でも、ずっと憶えているのってそういうのじゃないですか。なんか、この納得いかなさみたいなものが子どものなかに残るんでしょうね。

……後半へつづく


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