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2002-09-28●第一回本屋街オフ会[入門編]
ワタシはこれで入門しました


[2002-10-30公開]

《序》「本屋街のオフ会をやろうではないか」という、そもそもオフ会の趣旨をはき違えるところから始まったこの企画、さらに途中から重点の置き方がビミョーに「一日だけのカフェ・ポット」という方向にずれまくったような気もしますが、なかなか楽しんでいただけたのではないかと思います。結果オーライ。

で、このオフ会では同時開催イベント「ワタシはこれで入門しました」が催されておりました。要は「この本でフラフラとこの世界に迷い込んだんだよね」、というキッカケになった本を持ってきてね、それをサカナに語らいましょう、という企画だったんですね。このイベントの影の目的は、せっかくだからオフ会で本屋街のコンテンツ作っちゃえ、ということだったのですが、事務局の日高がサボりまくっていたのでこんなに公開が遅れてしまいました。

最終的に書誌データをいただけた方の本のみ紹介していますが、もしかしたら漏れているかもしれません。「ワタシの本が紹介されていない!」という方はご一報ください。善処します。

ではではご覧下さい。当日の熱気がいくぶんでも伝われば幸いです。

[2002-11-01追記]種蒔行路さんから追加原稿いただきました。多謝。

 

 ▼中山亜弓(女 30代)の「ワタシはこれで入門しました」

西麻布ダンス教室ー舞踊鑑賞の手引き
著●櫻井圭介/いとうせいこう/押切伸一

桜井圭介、いとうせいこう、押切伸一の3人が授業形式でフォーサイスから土方 巽までを語り尽くす。

これまで、明確に語り得なかったダンスの鑑賞ポイントを、いとうせいこう、押切伸一という二人の素人を生徒に、桜井圭介が言語化してゆく。ピナ・バウシュの指先が描く弧がなぜかくも美しいのか、齢90の大野一雄の舞台を成立せしめているのは何か、などなど、初心者から上級者までが共通して興味を抱くダンスの根源を解き明かす。これを読んだらダンスを観るのが楽しくなります!。
※間違ってもダンスが踊れるようになるわけではありません。

●ジャンル→舞踊
●難易度→☆☆☆
●実用度→☆☆
●書誌データ→1998年08月01日発行/版元 白水社/定価 2600円+税/180×130・298ページ/ISBN4-560-03560-1
●手に入れられそうなサイト→ 白水社のサイトamazon.co.jp


 ▼日高崇(男・30代なりたて)の「ワタシはこれで入門しました」

其の一●Macintoshの理屈
著●冨山 学

「Macを使う」とはこういうことさ

「Macintoshそのもの」に魅入られてしまった人必読。コンピュータを使う人には二通りあって、象徴的に言えば「プログラミングが出来る/出来ない人」に分かれるのですが、この本は断然「出来ない人」に読んでもらいたい。たとえばショートカットの「コマンドキー+Pキー」が『Plain Text』から『Print...』に変更された経緯をめぐり、ユーザーインターフェースについての興味深い考察がなされています。「インターフェースは統一すべきなのか、例外を認めるのか」という二者択一に対して、「動的な方法論の採用こそが重要である」と筆者は説きます。Web制作をはじめとする、システム構築に携わる人にとって、重要な問題が提起されている部分だと思います。
OS Xへのリプレースが着々と進み、Macintosh自体のアイデンティティを問い直す時期に来ている現在だからこそ、「Macintoshを使う意義」を原点から考え直す本書が必要とされている、といっても過言ではないでしょう。(なにを大げさな……。こういう屁理屈を滔々と述べられるようになるのも本書の効用であります。)

●ジャンル→コンピュータ
●難易度→☆☆☆
●実用度→☆
●書誌データ→1995年03月23日発行/版元 アスキー出版局/定価 1980円+税/A5判・320ページ/ISBN4-7561-1066-5
●手に入れられそうなサイト→ アスキーのサイト

其の二●現代チェロ奏法
著●モーリス・アイゼンバーク/訳●三木敬之

ウェルナーに飽き足らない人へ

高校・大学のオーケストラサークル程度では、最初に先輩が楽器の持ち方とか弓の扱いを教え、だいたい教則本として「ウェルナー教則本」というのが与えられて、あとは各自入門曲集などをこなしつつ、いきなりオケ曲を弾かせる……という、かなりテキトーな教え方が主流です。(少なくとも私はそうでした。)
まあ、見よう見まねが上手い人はそれでもかなりの上達を見せるのですが、生来の理屈好きの私はそれに漠然とした不満を感じており、そんなときに出会ったのが本書でした。この本の情報量はものすごく、私が身につけられたのはその一割にも満たないと思うのですが、素晴らしいのは「基礎の基礎の『手の置き方』」から「ヴィルトゥオーゾとしての『力の抜き方』」までを説明しきっている点です。本書のはじめの方に、「ダブルストップ(二絃を同時に弾く)でボーイング(弓の移動)を直角に保つ練習」が出てきたときの「目からウロコ感」は今でも忘れられません。
しかし、その後まったく楽器を触っていないので、肝心の奏法はすっかり忘れてしまっているのでした。しかも、さっきネットを検索したらこんなページまで出来ているし……。時の経つのは早いものです。

●ジャンル→音楽
●難易度→☆☆☆☆
●実用度→☆☆☆☆☆
●書誌データ→1986年06月25日発行/版元 音楽之友社/定価 2600円+税(現行のものは3100円+税)/菊倍判・176ページ/ISBN4-276-14480-9
●手に入れられそうなサイト→ amazon.co.jp


 ▼深澤孝之(男・20代後半)の「ワタシはこれで入門しました」

球形時間
著●多和田葉子

虚構のお話の向こうに本物のイザベラ・バードがいた!

物語のなかに時空を超えて現れたイザベラ・バードに導かれて、ワタシは文明開化期における〈外国人の見た日本〉というものに興味を持った……。この小説『球形時間』自体かなり奇妙なハナシだと思うのだが、事実は小説よりも奇なり、とはよく云ったもの。実際のイザベラ・バードは、幼少期・青春期を寝たきりで過ごしながら、中年になってから何かに憑かれたように世界各地へと旅行を開始する。 『ロッキー山脈踏破行』『日本奥地紀行』『朝鮮奥地紀行』『中国奥地紀行』など、タイトルを聞いただけでスゴそうな旅行記をいくつも残した。他に、渡辺京二 著『逝きし世の面影』という本にめぐり合えたことも含めて、この小説は、ワタシの〈イザベラ・バード〉入門、〈外国人の見た日本〉入門の、お役立ち本です。

●ジャンル→小説
●難易度→☆☆
●実用度→☆☆
●書誌データ→2002年06月25日発行/版元 新潮社/定価 1500円+税/四六判・171ページ/ISBN4-10-396102-X
●手に入れられそうなサイト→ amazon.co.jp


 ▼柴原 三貴子(女・34歳)の「ワタシはこれで入門しました」

続・インド花綴り
著●西岡直樹

インドの植物から生活の香りを味わえる一冊

植物のイラストとその植物が登場するお話しや宗教的な位置に加え、著者とインドの人々の関わりから人間と植物の関係までが見えてくる本。それぞれの植物の学術名、英語名、ヒンディー語名、ベンガル語名が書かれていて、言葉の勉強にもなり、ベンガル語とヒンディー語の呼び名の違いが楽しめるという極一部の人への特典も有り。

●ジャンル→植物エッセイ
●難易度→☆☆
●実用度→インドで生活したい人には☆☆☆☆☆、それ以外の人には・・
●書誌データ→1991年06月20日発行/版元 木犀社(もくせいしゃ)/定価 2320円+税/四六判・261ページ/ISBN4-943990-06-1
●手に入れられそうなサイト→ amazon.co.jp


 ▼種蒔行路(男・20代終盤)の「ワタシはこれで入門しました」

其の壱●テレビゲーム 電視遊戯大全
著●テレビゲーム・ミュージアム・プロジェクト編

ゲーム学の古典

おそらく日本で初めて網羅的に編集されたゲーム論。ゲーム史を前史から紐解き、ゲームソフト、ゲームメーカーについて詳細に解説。これらはバインダー形式で上中下段に分かれ、しかもほとんどのページがカラー。他ではまったく見られない凝った装丁にはゲームに関心がない人でも眼を引くこと間違いなし。巻末はクリエーターインタビューと用語集で締めているが、思えば日本で制作者を「作家」として取り上げられるようになったのはこの頃からか。とにかく分量が圧倒的。いまだに本書を超えた、網羅的かつ詳細なゲームに関する資料集はないであろう。
個人的には、「ゲームばかりで勉強しない」という家庭内紛争に対抗する理論的支柱として読み込み、この世界に感化されて業界へ進もうと決意した思い入れ深い本である。しかし、紛争解決にも業界就職にもつながらなかったため、実用度はほとんどなし…。

●ジャンル→遊戯,電子計算機
●難易度→☆☆☆☆☆
●実用度→☆
●書誌データ→1988年05月25日発行/版元 ユー・ピー・ユー/定価 3500円+税/B5判変形・214ページ/ISBN4-946432-31-0
●手に入れられそうなサイト→ Yahoo! Auctions (絶版:人気のため高値覚悟!)

其の弐●別冊宝島EX 図書館をしゃぶりつくせ!
著●能本功生/坪井賢一/杉崎行恭/鈴木康之ほか

税金をとりもどせ!

これこそ、私にとっては現職につながる、人生を決めてしまった本である。
ライター、編集者、カメラマンが、使い方の極意を見せてくれる。図書館で情報を調べるにはどうすればよいか。図書館司書とはどういう人たちで、どう使うか。図書館にはどのような種類があってどのように使い分けるか。最近でこそ『まちの図書館で調べる』(柏書房)といった普通の人の視点に立ち、普通の書店にも置かれる本があるが、当時は「週刊ダイヤモンド」が時折行う「ビジネスマンのためのツール」特集くらいしかなかった。
また、日本全国の公共図書館を網羅しているのには圧倒される。さすがに、すべてが記述するに足る図書館でもないため、記述の濃さにばらつきがあるが、単なるデータとしてではなく、ここまで全国的にレポートされたものは今にいたっても本書だけであろう。
個人的には、旬を過ぎた本ばかりが開架に並ぶ区立の図書館を60〜70年代本の専用図書館として愛用したり、できる司書は多いのだが辺鄙な場所にあるため利用の少ない図書館を自分専用に使ったり、本書を参考に利用法を会得したことは数多い。
その後、私は300館以上の図書館を見てきた。図書館の蔵書傾向や司書の力量も見分けられるなど、ますます図書館をしゃぶりつくす能力が上がってきたと感じる今日このごろ、いつかどこかで本書の改訂版を自分でつくりたいと思っている。

●ジャンル→図書館
●難易度→☆☆
●実用度→☆☆☆☆
●書誌データ→1993年10月16日発行/版元 宝島社/定価 1165円+税/A5判・221ページ
●手に入れられそうなサイト→ Webcat Plus (絶版:「図書館」の本だから図書館で)amazon.co.jp


 ▼白鹿亭常連(男・20代)の「ワタシはこれで入門しました」

「軌道エレベータ」と関連書●右下から時計回りに「楽園の泉」「軌道エレベータ」「千メートルビルを建てる」「SFはどこまで実現するか」「ふわふわの泉」(画像をクリックすると拡大表示します)

軌道エレベータ 宇宙に架ける橋
著●石原藤夫・金子隆一

いまどき滅多にみられない土建屋万歳な本です。これが今世紀中葉までに建設できるのなら、人類の発展はまだまだ加速度的ということになりそうです。

いまのところ世界唯一であろう軌道エレベータ専門書の本書を「入門書」 といっていいのかわかりませんが、SFマイブーム3期目は、この本によって起こされました。
関連書としては、A・C・クラーク「楽園の泉」、野尻抱介「ふわふわの泉」、先日他界したR・L・フォワード「SFはどこまで実現するか」、あと土建屋つながりで尾島俊雄「千メートルビルを建てる」、谷甲州「火星軌道一九」あたりがあります。

●ジャンル→サイエンスっていうかSF
●難易度→☆☆
●実用度→☆☆☆☆☆(だとおもうんですが、 同意が得られたためしがない)
●書誌データ→1997年07月25日発行/版元 裳華房(ポピュラーサイエンス)/定価 1500円+税/四六判・160ページ/ISBN4-7853-8665-7
●手に入れられそうなサイト→ 裳華房のサイトamazon.co.jp


 ▼むらたゆき(女・25歳+120カ月)の「ワタシはこれで入門しました」

はじめての三線
著●漆畑文彦

昨今の三線ブームはこの本が作った…んじゃないかな

いやあ、本当にいい本なんですって。三線弾かないけど沖縄好きって人にもおススメです。是非!

●ジャンル→音楽/民謡・楽器
●難易度→☆☆☆
●実用度→☆☆☆☆☆
●書誌データ→2000年12月25日発行/版元 晩聲社/定価 2000円+税/A5判・222ページ/ISBN4-89188-299-9
●手に入れられそうなサイト→ 晩聲社のサイトamazon.co.jp


 ▼畠中理恵子(女・40歳)の「ワタシはこれで入門しました」

コーヒー
shikohin world coffee 談別冊

著●佐藤 真

嗜好品としてのコーヒーを語り合うと…

「人間及び社会について語り合うこと」から次世代を生きる「価値観の再構築」を目指す雑誌『談』の別冊。「コーヒーの美味しさ」について、「カフェインの効用」について、「魅力的な矛盾の場、カフェ」についてなど、一味ちがった「コーヒー」へのアプローチ。専門的な入れ方も紹介。

●ジャンル→趣味
●難易度→☆☆☆☆
●実用度→☆☆☆☆
●書誌データ→発行日不明(奥付なし)/版元 たばこ総合研究センター/定価 800円+税/257×145mm・103ページ/ISBNなし
●手に入れられそうなサイト→ 書肆アクセスのサイト


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