「本づくりはまちづくり」にたどり着くまで

2010-5-26 水曜日

吉備人出版 山川隆之 :http://www.kibito.co.jp/

 新しい地域の本をつくろうと、岡山大学近くの貸しビルの一室で産声を上げたのが1995年春。この春、吉備人は15周年を迎えた。これまで流通を前提にして刊行した本は約360タイトル、70万部を超える。このほか、私家版の自費出版、記念誌、報告書などを加えると、さて何点になるのだろうか。走り続けることに精一杯で、あまり振り返ることがなかった。せっかくの機会なので、この15年を振り返りながら、地域出版の現状と生き残っていくための術を探ってみたい。

978_4_906577_00_2.jpg 最初の本は、『楯築遺跡と卑弥呼の鬼道』(薬師寺慎一)だった。出版社にとって、その一作目は重要だ。その出版社がどんな本を出していくのか、その方向性のようなものが、一作目で見えてくる。
 本書は、倉敷市北東部の吉備路の一角にある日本最大の弥生墳丘墓「楯築遺跡」をテーマに、その被葬者と卑弥呼の共通点を、文献資料を駆使して論証したもの。邪馬台国論争に一石を投じる内容だ。古代史ファンには興味を引く内容だと、初版部数は3000冊にした。なにぶん初めての刊行、販売部数の裏付けや根拠があったわけでなかった。ひょっとしたらという期待(いつも本を出すときには、ひょっとすると…と今でも思う)がなかったわけではないが、初めての本がいきなりベストセラーになった、などと幸せは展開の話にはならなかった。
 しかし、この1冊目がその後の15年を左右することになる。 続きを読む »


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ひとつの国の終わり

2010-5-19 水曜日

めこん 伊藤理奈子 :http://www.mekong-publishing.com

最近、「チャット・ルーレット」という無作為に世界のユーザーとウェブ画像を通じてチャットが楽しめるサイトをロシアの高校生が発明したと、新聞に出ていた。ふっふっふ、似たようなことなら私は子どもの頃からやっているぞ。書棚の前に行き、目をつむって手をのばし、つかんだ本を読んでみる。興味がわく・わかないは関係ない。面白くて一気に読んでしまう、そんな素敵な出会いもあれば、中途で投げ出したくなる、そんな出会いもあった。書店や図書館があればブック・ルーレットで遊べて、本という1人の人間に出会える。

本の集まりである書店は、一つの国だと思う。どこかの町で書店を見つけるとどうしても入ってみたくなるのは、そこに新しいグループ(=その書店が選んだ種類の本の集まり)があるかもしれない、その書店特有の法律や町並み(=売るテーマや特色)があるかもしれないと、新しい刺激やカルチャー・ショックを期待するからだ。人との出会いが一期一会なら、本との出会いも同じに感じる。そのとき買わなければ、もう一度買おうという意思すらなくなることがある。 続きを読む »


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FAX・DMはラブレター

2010-5-12 水曜日

スタイルノート 池田茂樹 :http://www.stylenote.co.jp/

 自ら出版活動をはじめて5年になります。スタートした直後は、いったいどうやって新刊を世間や書店に知らせたらよいのか、まるで手探り状態でした。少ない人数で営業はとても無理だし、ましてや東京近郊以遠は行くための資金すら無い。インターネットで本の情報を載せるのは当然としても、それとて書店さんや読者の人が見てくるのをただ待つだけです。
 昔書店員だったので、書店に版元からFAXが送られてきているのは知っていたし、新鮮な情報という印象を持っていて参考にもしていました。なので、必然的にこちらから情報を発信できるFAX・DMを考えました。ところが、いざ自分が送るとなると、まず書店のFAX番号が分かりません。 続きを読む »


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