版元ドットコム集会報告
2006年6月2日(金)版元ドットコムの総会を開催しました。
今回は版元ドットコムを有限責任事業組合(LLP)を設立して組織改変したということもあり、地方出版社・小出版社 流通研究集会、版元ドットコム会員集会、懇親会と三部構成のなんともスペシャルな会となりました。
最初の研究集会においては「出版流通」における「書籍情報」の重要性が多く語られ、会員集会では版元ドットコムの一年間のLLPの設立を中心としたさまざまな取り組みについての報告があり、最後の懇親会では活気のある議論があちらこちらで繰り広げられました。
総会参加者は
流通研究会 106人
総会 79人
懇親会 84人
「地方出版社・小出版社 流通研究集会」
地方・小出版流通センター 川上賢一さん
「これからの地方・小出版」
地方出版社と言われる出版社の出版物の傾向も様変わりしてきており、今までの地域色が強い内容から、専門性の強い内容へ移行してきている点など、地方・小出版社の移り変わり、現状とこれからを知ることができる内容でした。
ブックサービス株式会社 代表取締役社長 久保田妙子さん
「出版社がブックサービスを効率的に利用する方法」
ブックサービス株式会社は老舗書籍通信販売会社としての認知が高いと思います。今回は新しい取り組みである書店向け客注(おとりよせ)支援サービス『おとりよせ@ブックサービス』についての説明をいただき、版元各社も非常に興味がある「客注」の問題について、出版社の新しいアプローチ方法をご提案いただきました。
(株)図書館流通センター仕入部部長 田辺明彦さん
「出版社がTRCとbk1をうまく活用する方法」
図書館向け取次会社として知られているTRCが、実際、どういった手順で本を各図書館に流通させているのか、書誌情報がどのくらい重要な意味を持っているのかといった意外に業界の皆さんご存知ない内容を分かりやすくご説明頂きました。また、bk1が「本好き」のためのサイト目指すという大きな指針も興味深い内容でした。
吉備人出版 代表取締役 山川隆之さん
「版元ドットコムの使い勝手」
一番最初にお話をいただいた川上さんのお話とも関連する地方出版社の抱える現状の問題のお話から始まり、それらの解決のための版元ドットコムの利用方法の具体例のお話など。特に版元ドットコムに書誌情報を提供することによって限定された地域が主な商圏である地方出版社も全国に本が売れていくお話は書誌情報が流通を活性化する判りやすい具体例でした。
全体を通して「出版流通」において正確な「書籍情報」提供の有効性が実感できる内容だったのではないでしょうか。手前味噌かもしれませんが、版元ドットコムの各所への正確な書誌情報の提供が単にネット上の検索に有効といった次元ではなくインフラとして必要とされていることを強く感じました。
版元ドットコム会員集会
今回は有限責任事業組合(LLP)へ組織改変した始めての集会ということもあり、「会計報告」「経過と報告」「2006年新規参加会員の挨拶」に加え組合員各社の挨拶などもあり最後に来賓各者よりご挨拶をいただきました。
2006年度活動方針として「データベースとサイトシステムの作り直し」が掲げられました。参加社が79社となり登録点数も12,009冊となった版元ドットコムの活動の中心となるのはやはり出版社による自発的な登録によって支えられている書誌情報であることは「経過と報告」の中でトランスビュー 工藤秀之さんのお話からも良くわかります。書誌情報の入れ物であるデータベースが作り直しの段階に来たことは版元ドットコムが順調な成長を歩んでいる証しですね。
昨年度は任意団体からの脱却が大きな課題であったわけですがLLP化により、今まで以上に運営に対して責任を果たすことが可能になりました。本年度は書誌情報、在庫情報の提供という本来の活動を充実させ、より有益な活動を行っていく、そんな所信表明を強く感じる集会でした。
以上で今回の報告を終わります。個人としては、昨年度よりますます多様な人たちが集りに参加されており、「出版業で今、何が起ころうとしているか」を体感できる団体であると思いました。みなさんが参加されて何を各社に持ち帰っていただけたかは私にはわかりませんが、それぞれのみなさんが有効な何かを持ち帰ったのではないでしょうか。
この度は不参加であった皆さんも次回は是非の参加をお待ちしております。
今月6/15.22は版元ドットコムLLP発足記念シンポジウムも開催します。ぜひ、ご来場ください。