出版界に一つの共有データベースを
2005-12-7 水曜日
10月より会友になりましたJPOの大江です。
簡単に自己紹介とJPOの仕事について書かせていただきます。
1969年から東京大学出版会で編集・営業・システム・その他雑用もろもろの仕事を経験してきましたが、この9月末で定年退職となり、10月から日本出版インフラセンターの事務局で働いています。かねてより書協のデータベース委員会やJPOの在庫情報整備研究委員会、出版関連業界電子タグ標準化委員会、日本図書コード管理センター・マネジメント委員会などにかかわっていたので、すんなりと今の仕事に入れました。情整研では沢辺さんと一緒させていたたき、東大出版会ホームページのリニューアルを日高さんにお願いするなどの過程で版元ドットコムに関心を持っていましたので、お誘いいただいたこともあって会友にさせていただきました。
日本出版インフラセンター(JPO)は、主として「出版流通の改善を図り読者の顧客満足度を高め、出版情報および出版業界システムの基盤整備により業務の共同化・標準化等を進め、業界内の効率化を図る」ことを目的として、2002年4月に日書連・取協・書協・雑協・図書館協会を設立社員として設立された有限責任中間法人です。
現在は設立社員・一般社員(会員)あわせて34企業・団体で構成されています。総会・理事会・運営委員会のもとに、ビジネスモデル(特許)研究委員会・ICタグ研究委員会・在庫情報整備研究委員会と日本図書コード管理センター・商品基本情報センターという形で活動を行っています。業界全体のインフラ整備をめざしていることから、テーマに応じて社員外(書協の会員でない出版社や日書連の会員でないアマゾンなどの書店)の方にも参加していただくよう、運営の公開性と透明性を重視しているのが大きな特長だと思っています。
詳しくは http://www.jpo.or.jp
私は主に商品基本情報センターの仕事、とくに当面は5000を超える出版者に送付した「商品基本情報センターについて」の文書と承諾書の回収にあたっています。この事業についてはすでに沢辺さんがメールニュースに書いていただいているので(11/23)、ここでは要点のみ書かせていただきます。
出版業界には書誌データベースがあちこちに存在し、かつそれぞれ独自のフォーマットを持っています。それぞれに個別に対応していては出版社はたまりません。どこか1カ所に送れば済むようにしてほしいと思っている方は大勢います。版元ドットコムはそういうニーズにこたえて合理的で有用なシステムを作られている故、参加版元が増加するのは当然だと思います。これをおしすすめれば、出版界に一つの共有データベースが存在し、出版社も書店もそこに書誌情報や在庫情報、売上情報を送信すれば、みんながそれを使える、そういう仕組みを作ればよいのに、ということになるのも必然です。
しかし、既存のデータベースは取次各社をはじめ有力書店やネット書店が多大の経費と労力をかけてつくりあげてきたものです。また長年にわたって出版社の多くには書誌情報やデータベースといつたものに関心がうすかったこと(出版社が書誌情報・在庫情報を自らの責任で提供することが売上増大に結びつく、あるいは提供しないと不利になる、といった意識を持つようになったのはネット書店が勢いを増してきたごく最近のことです)も事実です。そういった歴史的背景と、DBの網羅性と正確さが個別取次や書店の企業間競争の武器になっており、かつ各企業はDB作成のためのシステムをもち、要員をかかえているという現状の中で、一気に共有DBをつくることにはなかなかむつかしいところがあります。
今回の事業はそういう中で、読者・書店での混乱を招くような取次間の情報格差、あるいは見本を提出しない出版社の本、つまりデータのない本が流通現場に流れてくることによる取次現場での流通遅滞などを、発売前に最小限の商品基本情報を共有することによって解消しよう、というところに力点があります。
この事業が動き始める中で、基本情報は読者も含めた業界共有のものであるという認識を広げて行くことができれば、次のステップを具体的に検討できる、業界インフラ整備とはそういう過程を踏まえないと進まない、そういうものだということを痛感しています。
版元ドットコムはそういう方向での動きを大きく加速するシステムだと思います。
版元ドットコム会員のみなさんに新しい作業は生じません。当面作業が減ることもありません。ただ集配信料として1点につき500円の課金についての承諾書をお送りいただくようお願いいたします。500円はすべて業務委託先である書協のシステム開発・システム設備・システム運用管理費と、取協の請求・徴収業務に使われます。
ご質問・ご意見は mail@jpo.or.jp に。私がお答えします。

