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版元ドットコム会員集会報告

20050615.jpg2005年6月9日(木)版元ドットコムの会員集会を開催しました。
集会参加社は51社74名。懇親会は44社74名。
ここ1年あまりの版元ドットコムの取り組みと、これから取り組んでいくこと。売上げなどから見えてくることと、業界の変化などを話し合い、活気に満ちた集会となりました。

ここ1年
会員版元は増えました。もうすぐ60社。登録点数は9000点を超えてます。
参加版元が増したことで、ただ点数が増えたというだけでなく、扱う本のジャンルが豊かになりました。
結果、業界全体から版元ドットコムへの注目が増しています。
すでに6回を数える「版元ドットコム入門」などさまざまな勉強会を行いました。
こういった会は盛り上がり、参加社は会員のみに限らず、また、今までに無いほど大きな非会員版元の参加も目立った年でした。
ボランティアスタッフによる会員版元への訪問活動や、地方での版元と書店、取次との交流会も行い、メールでのやりとりだけでなく、実際に顔をあわせてお互いの活動を話し合う良い機会となりました。
サイトでのアフィリエイト先も増やしました。これによる売り上げは確実に伸びています。

サイト
何よりも今年の取り組みで注目されるべきは、サイトのリニューアルでしょう。
版元ドットコムのサイトには、書誌データを蓄積し、必要とする書店や取次へ配信するデータベースとしての面と、書名や、著者名などの書誌に含まれるキーワードをもとに、版元ドットコムの1冊1冊の書誌データのページに直接入ってくる、そんな一般のユーザー向けの面があります。
今回リニューアルしたのは主にその一般ユーザー向けの面です。
大概のユーザーは、検索をして、1冊の書誌に行き当たることで、版元ドットコムのサイトを知ることになります。
だから、登録されている1万ページ近くの書誌データのページを読者にとっての版元ドットコムのトップページにする。そういうコンセプトで今回のリニューアルは進められました。
書誌ページにたどりついたユーザーが、自分がどんなページにいて、そこからどんなことが出来るのか。
たまさか1冊の本のデータに行き当たることからはじまる、さまざまな疑問や好奇心に応えることのできる、そんなインターフェースとデザインを備えたページになったと思います。
アクセス数は大きく伸びており、さらに今回のリニューアルにより「倍は行くんじゃないかな」と日高さんの言葉。
リニューアルを行った日高さんと石塚さん、そして、協力してくれた皆さんに感謝。

売上げからみえてきたこと
現在、日本全体での書籍の売上げ傾向は突出した部数を誇るミリオンセラーか、さもなくば大型書店にしか配本されず、発売されてから半年もたつとお目にかかることすら難しい、マイナータイトルの両極化が進んでいます。
一方、版元ドットコムでの売上げ傾向をみていると、単独で巨大な売上げを誇る書籍というものこそありませんが、多数のタイトルが、新刊時期を過ぎて長く売れ続けています。なにしろ版元ドットコムでの既刊本の売上げ比率は70%を超えているのです。突出した売上げは無いが、裾野は広い。
こういった傾向はネット一般に出てきています。そして、やがてこの状況はリアル書店にも広がるかもしれません。そのとき、その傾向を押し進めるための基盤となるのがネット上に存在する書誌情報なのです。
正確な書誌情報を自らの手で発信する版元の取組みは、これからの本の動き方を変える、原動力になるでしょう。
検索エンジン対策の不具合という事故から、売上金額自体は減りました。しかし、多様な本が地道に確かに読者に届いていることがわかりました。

これから一年、取り組むこと
書誌情報が一万件を超えようとしています。サーバーの負荷を改善し、さらに業界各所への情報転送の利便性を改善するためにデータベースとサイトシステムの作り直しを行います。
また、版元ドットコムの組織は拡大し、扱うお金の量もそこそこになりました。
これまでのような任意団体ではなく、中間法人、NPO、株式会社、有限責任事業組合制度などの法人化を本格的に検討する段階にはいりました。
なにしろ、任意団体のままでは、あらたに銀行口座を開くことすら難しいのです。

継続すること
出版社としての事業の経験交流と共同事業のさらなる模索。
好評だった「版元ドットコム入門」など、さまざまな勉強会をもっと行いたい。
今までは、営業中心の会が多かったけれど、編集サイドの勉強会も面白そうです。
そしてもっとさまざまな版元の皆さん、版元ドットコムに来て見て、参加してください。
拡大することだけを組織の目的にするわけではありません。しかし、扱う書誌データの多様性を増すことは、多様な読者のニーズを掘り起こすことになります。
利用社が増えることで運営のための財政基盤も強まり、システム開発におけるコストも下がります。

出版業界の変化
JPO日本出版インフラセンター・情整研の田中さんから商品基本情報の必要性についてのアピールがありました。
書誌情報の業界基準というものが存在せず、さまざまな書誌情報がバラバラに存在している現状を改善すべく、私たち版元サイドの人間が今何を出来るのかです。
また、懇親会で同じくJPOの永井さんから、出版電子タグ実証実験での成果と課題について話していただきました。
この技術がもたらす、さまざまな流通上のメリットと課題、そして避けて通ることが許されないプライバシー保護の為に議論を深めていくことの必要性について。
個人的に興味を抱いたのは(株)ボイジャーさんの新しい電子出版の提案でした。
専用端末ではなく、今すでに周囲にあるPSPやiPod、携帯電話などの画像表示できる端末を読書端末にしてしまおうという提案でした。携帯電話での読書が普及していることは知っていましたが、改めて読書のできる端末というものがこれほどまでに身の回りに普及しているという事実に気づかされました。

一冊の本を読者の手に届けるために、今業界で何が変わっているのか。そこで私たちに何が出来るのか、さまざまに考えさせられる会となりました。

と、まとめると、堅苦しい会のようですが、集会、懇親会ともに活気となにより元気に満ちた会です。今回参加を見送られた皆さんも、次回はぜひご参加ください。

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