アイシーメディックスの日々

2005-4-27 水曜日

アイシーメディックス 藤本浩子 :http://www.dgpro.co.jp/~icmedix/

 版元ドットコム新入りのアイシーメディックスと申します。命名者(社長)によるとそれは、”International Communication Media Mix”というたいそうな意味が込められているのですが残念なことにほとんど知られてはおらず、今のところ単に薬品会社と間違われやすい社名になってしまっています。
 余計な前置きをしてしまいましたが、入会させていただいたからにはただの教えて君にならないように頑張りますので、会員社や会友の皆さまをはじめ、当サイトを訪問してくださった全ての皆さま、どうぞよろしくお願いいたします。
 さて、アイシーメディックスは星雲社さんをとおして流通させてもらっている身の上です。聞いたところによれば星雲社経由の版元さんの中には2年に1冊くらいの超おそペース、しかも単なる道楽で本を出しているというところもあるそうです(それは版元さんと言わないのかもしれない)。そういう極めて雑多な600(社)ほどの星雲の中でひときわキラキラ輝く星がアイシーメディックスだと思うのですが……。
 この状態について、出版業界外から最近やってきたばかりの私からすると、取次さんとのあれこれ面倒なやりとりをわずかな手数料で変わりにやってもらって、とても有難い感じがしています。同じく業界外から数年前に参入してきた社長と二人水入らずの会社ですので、直接取引きのデメリットよりメリットのほうが現状ではずっと大きいような気がします。
 デメリットで思い当たることといえば、書店営業に行ったとき、「返品の逆送が多いんですよねーー」と言われることがたびたびあることくらいでしょうか。
 ——〈返品が逆送するって何??〉
 と、その意味すらわからなかった私は早速星雲社に電話をかけ、「書店さんで返品が逆送するって言われるんですがどうしたらいいですか?」と尋ねました。すると、「基本的にそんなことはないはずなんですけどね。返品伝票に”版元の○○受け”など明記しておけば防げると思いますよ」との回答が。そこで書店さんにそう伝えると、「うーん、そうは言っても現実にはそうならないからねーー」と難しい顔をされました。この件は私の中でいまだ未解決です。
 一方、社長の体験談を聞くと、星雲社経由版元であることで冷たくあしらわれたり鼻で笑われたような(気がしているだけかもしれない)ことがあるようです。しかし私は書店営業において冷たくされたことは一度しかなく、書店営業どころかまず営業というもの自体をしたことがなかったので、営業という仕事は(ましてや飛び込みしてる)いじめられたり追い返されたり、もっと涙に暮れる日々が待っているものと思っていただけに、やや拍子抜けの感がありました。
 …と、まるで営業担当者のようなことを書いてしまいましたが、実際は担当書籍に関して各人がその誕生から死までを見届ける制度になっているだけなのです(会社が新しいため、みな乳飲み子—青少年くらいの本たちなのですが)。
 しかしそのことが本作りというものに対して自らに責任を感じさせ、あれこれ無い知恵を絞ったり知らないことを調べたり版元ドットコムに入ってみたりする原動力となって、仕事を楽しくさせてくれているのです。前職ではある業界紙記者をし、下版までが仕事でした。それを思うと、やることのなんと幅広くなったことか。大筋を忘れると今日どの本のどの部分の何をやっているのか、自分を見失ってしまいそうです。
 一つの会社として考えると、こういった形を何年もとっているなら大きくはなれないと思います。でも、小さい今のうちだからこそ、とりあえず何でもかんでも自分でやってみることができ、この状態を人生に例えるなら短く貴重な青春時代のようです。……と思っていたら『編集会議』4月号で”編集者も書店営業しよう!”とかいう特集をしていたので、〈なんだ、結構私は業界の時代の流れに乗れていたってことか…〉と、ちょっと嬉しくなってしまいました。
 とにかくそのような出版活動をしていますので、担当本(=わが子)が売れなかった悲しみは、直接私(=母)の心を刺しとおします。
 〈売れっ子になってほしい……〉
 〈あの子は売れてるのに、なんでうちの子は……〉
 〈この子はきっと大物になるに違いない!〉

 子を育てる母のように、楽しく悶々とした毎日を送っているアイシーメディックスなのです。


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地方版元の営業代行をして10年の私です

2005-4-20 水曜日

E・E企画 西川恵美子 :http://

大阪で版元営業をしていた縁で首都圏を中心に地方版元(関西が中心)の営業代行を始めて10年、「地方色の濃い特色」が持ち味で営業活動をしている。
 版元営業と代行業と、何が違うか? と聞かれても私の場合は、殆ど変わらない。
大阪での版元営業時代は、東京にある本社から情報を得て、関西の書店を中心に営業活動をしていた。今度は、逆に関西の複数版元から情報を得て、首都圏で営業活動をしているのである。取り扱う版元の数の違いはあるが・・・
情報の入り方と仕事の仕方が、あまり変わらないのである。

あくまでも私の場合の話であるが・・・
「出来た時が配本日」的な版元が、多いのではないだろうか?
当然のことだが、会社の存続と数年後の成長を見据えての計画生産と売り手である市場を熟知することの重要性を実感している。
営業代行業をしていての悩みは、情報収集の難しさである。比較的、小規模の版元を中心に仕事をしているからだろうが、ひと月先の新刊予定が滅多に提示されない(例外もある)。例えば新刊については、企画の段階からの相談が少ない。新刊案内を見て、判断をして営業活動をするのが日常である。
関わっている版元のひとつとは、昨年から重点商品について企画段階から取次配本の部数決め・書店での展開・タイトル・装丁など、ひいては売上実績などを含めた営業会議を継続的に実施している。配本も取次に任せるのではなく、事前に取次窓口で積極的に○冊配本したい、どうすれば良いだろうと具体的な相談や意識的に拡販をする中で、取次の対応が、少しずつ変化していることが実感できる。勿論、現場である書店担当者の販売意識も少しずつ変わってきていることが嬉しいし楽しい。
 地方版元は、新刊見本出しも全て、宅配と電話でのやり取りで済ませる。直接、取次窓口で並ぶ事は、滅多にない。当たり前のことだ。何度か見本出しに伺うと取次担当者と顔なじみとなり話ができる。「では、じゃ!少し多めの○冊でも可能ですか?」とたまになる。やはり、顔の見える営業は大事である。

今年の本屋大賞が発表されて、書店で大きく販売展開されている。先日、掲載雑誌を買って読んだ。「○書店の▲さんは、こんな本を読んでいる」とそれぞれ皆さんの顔を思い浮かべながらコメントを読むのも面白い。ついベスト入りした推薦の1冊を買ってしまった。まさに、魔力だ。
 書店担当者が売りたい1冊・売りたい版元・著者・装丁などがあることを、作り手側がいかに把握して編集するか? そして作り手側の思いを市場である書店、ひいては読者へどう伝え、届けたら良いのか? 出会いの場の演出と書店での販売戦略は、営業代行業ならずとも全ての営業の課題だろうと常々考えていた。
 そんな中で「末来4月号」読書特集「座談会 営業・販売の現場から考える本作り」を書店担当者から教えられて、直ぐに読み共感できた。是非とも営業ご担当者の皆さま、「末来」にはヒントがたくさん話されています。大型書店には、レジ横に平積みされていますので1冊貰ってお読み下さい。読み捨てずに編集者へも回覧ください。

長年、人文書を中心に営業活動する中で、「売れない!」と嘆く担当者の多いことが気がかりだった。確かにたくさんは売れない。しかし、1冊売る喜びを感じて欲しい、売れた喜びを共感したいという思いから書店担当者と版元の勉強会(Basic Booksの会)を仲間と始めた。不思議なもので関西は、書店間の交流が多い。東京から出張に行くと必ず京都・大阪という括りで版元と書店担当者同士が集まる。お互い親しい関係だ。
 手前味噌ではあるが、首都圏も元気の良い担当者が増えてきていると感じている。BBの会を通して書店間の交流も出来てきている。これまで一方通行的だった情報が、少しずつ対流し始めているのが嬉しい。
 今年初めてのBBの会は、4/26(火)に予定しています。興味のある方は、是非ともご連絡下さい。


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営業イメージ狂想曲

2005-4-13 水曜日

アールズ出版 阿内秀介 :http://www.rs-shuppan.co.jp/

 各出版社それぞれに「哲学出版社」「文芸出版社」…などなど、「色」というものをお持ちだろう。その時その時の出版物によって書店での出版社のイメージと言うものが付いて回るものだ。
 元々弊社は「文芸」「競馬」「株式投資」の書籍を発売し、中でも「競馬」に力を入れてきただけに『競馬版元』のイメージが強いようだ。当然営業マンも競馬に詳しいと思われる、「明日のレース、何買う?」から「昨日のレースは取ったか?」まず書店に着くなりの会話はこれ。まあ、競馬好きとしては公私混同、趣味と実益、願ったりかなったり…、うれしいやら悲しいやら(まあうれしい)。
 
 しかし、中には以前在籍していた会社のイメージをいまだに払拭できずにいる場合も多い。以前ちょっとエッチな本なども出版している会社にいたものだから、『エロ版元営業マン』さらに発展して『エロ営業マン』もう個人にイメージが付いてしまう。
「POGの本(競馬のペーパーオーナーズゲーム)を今度出します。」と言っても
「なんや、それ?エロいんか?(別に関西弁の必要はないが…これもイメージ)」
「いや、競馬の本なんです。」
「なんや、最近は競馬の本なんか出してるんかい。エッチな本案内してえな」
「ところで、今晩どう?」
「はっ、何ですか?」
「ちょいと夜の街にでも?(言葉濁してます。ストレートに書けません。まあそういう店へのお誘いです。)」
「はっ!お供いたします。」即答…(こちらもまあうれしい)
「で、新刊ですけど…」
「適当に入れといて、じゃあ8時に…」
……会話が成り立たない。……そして、営業にならない。(これはちょっと悲しい)
そんな何年も前のイメージを引きずらなければならない。現在の会社が3社目だけに色々なイメージが付いて回るのだ。

 弊社の場合、営業部隊のメンバーを考えると大変怖い話だが、営業は会社のイメージを背負って立つ「会社の顔」なのだ!なのか!?


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版元は割を食ってばかりいる

2005-4-6 水曜日

第三書館 北川明 :http://www.hanmoto.com/bd/d3skan/1/

出版業が情報産業だというのは、単に本が文字やビジュアル情報を伝送しているということではない。本にまつわるあらゆる情報が付加価値をつけられて流通するようになるから情報産業なのだ。常々そう考えてきたが、昨今いよいよそれを実感することが多くなってきた。

 どこの書店でどういう本がいつどんな読者に売れたか。その情報に結構な値段がつけられてすでに出版業界で売買されている。いわゆるベストセラー情報ではなく、個々の版元が自社の本や他社の競合本の売上とか広告効果などをオンタイムで知ることが出来るので、重宝されている。

 この場合、本がどれだけ売れたかだけではなく、どれだけ売れなかったかと言う情報にも値段がついていることの意味が大きい。つまり、情報を売る書店サイドからすれば、極端な話、本がぜんぜん売れなかっても、その「どの本がどれだけ売れなかったか」という情報を売って食べて行けるという「情報産業」が成立し得るわけである。

 版元サイドからすれば、自分のところで作った商品がどれだけ売れたかを教えてもらうのに、どうして毎月そんなに支払わないといけないのか、ということになるのだが、そういうクレームをつけた版元を寡聞にして知らない。

 一方、取次から版元に売られる情報の一例として新刊委託したときの書店への配本リスト情報がある。これは上記の書店売上情報とは性質を異にする。書店売上情報は販売用に新たにシステム開発したデータベースによるものである。だからこそかなりの値段で売られていると説明もつく。ところが、配本リスト情報はもともと取次で自社の配本作業用に作ってあるものである。それをそのまま版元にメールで送るだけなのに、各取次を合わせると、一点当り何万円かについてしまうのだ。最近耳にして驚いたのは、某取次から返品情報を版元にメールで送ってくるシステムを作るから、一回一点あたり何がしかを払ってくれという要請が来たこと。版元としては、ただでさえ見たくもない返品情報をデジタル化してあるというだけで、カネを払って買えと言うのだ。それでもデジタル化情報というだけで唯々諾々と受け入れる流れが大勢らしいから、版元もアマく見られたものだ。

 ここまでに挙げた事例はいずれも、情報を発信する側がそこからしか出せない情報を握っていて、それをその情報を必要としているサイドが買うという話だ。

 それでは、版元だけが握っていて版元からしか出せない情報で、取次と書店がほしがっている情報はどのように扱われているか?

 例えば、新刊刊行予定情報にしろ既刊本の在庫情報にしろ、有料なんてとんでもない、なんとか受け取ってくださいと版元が提供しようとしても、新刊案内はFAX用紙代がもったいないといやみを言われるし、取次のデータベースの在庫ステイタスを変更してもらおうと在庫情報を送ってもゼーンゼーン無視されたりデータベースに反映されないままだったりの繰返し。

 どう考えても、この情報化社会の中の情報産業の一翼を担っているのに、版元だけはやけに割を食ってばかりのように思えてならない。

 割を食うといえば、日書連が読者サービスにポイントサービスを導入して定価の1%ほどを還元する方針を打ち出したとかで、思い切ったことをやるものだとびっくりしていたら、何と何と、その1%は書店でも取次でもなくぜーんぶ版元におっかぶせるつもりだという。

 版元はこの情報化大戦争の中で、行く末にアマい見通しばかり持っていて「楽天的大敗北」を喫してしまいそうな雲行きである。


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