講演会販売はやめられない!?

2003-10-15 水曜日

オフィスエム 丸山慎二 :http://www.avis.ne.jp/~emu/

講演会販売を積極的にやるようにしています。著者から講演スケジュールをもらと、その会場に近いとか、イベント主催者と取引があるといった書店に声をかけ、いっしょに販売に行く。全国を股にかけるとさすがに経費的にキツイけれども、小社の場合、著者も地元=長野県内での講演が多いので、周辺の書店営業などとあわせれば動きやすくなります。
 講演会場では講師著書はもちろん関連本、ときには関連しない売れ筋本などもズラッと揃えて店を出す。著者本だけなら長机一本で済むのに三本も四本も並べてしまう、なんてこともしばしばです。小社は専門出版社ではないのでジャンルごとの点数は少ないけれども、そこで書店が「ノッて」くれると、おもしろい売場が出現します。たとえば小社刊「源流の発想<21世紀・ムラ医療の現場から>」の著者・色平哲郎医師の講演会の売場には、コミックの「ブラックジャックによろしく」が全巻並ぶことも。
 すでに特定少数に絞られた人たちが集まってくる!と勝手に期待し、また経験がほとんどないのに「売り切れ恐怖症」に取り憑かれ、いつもつい多めに本を用意してしまいます。しかし、ご承知の通り、プロ野球のバッティングじゃないけど、講演会の売上げは「水もの」。前回が売れたなんてデータはあてにならず、イベントの主旨と著者が話す内容との関連性、参加者の職種や年齢層、会場内の雰囲気から店を出す場所まで、同じものはひとつとしてありません。長机がこっちに倒れそうなぐらいの勢いで客が押し寄せることもあれば、どう考えても本日の経費に対して赤字だよな、なんてこともあったりです・・・。
 「そんなこと言ってる時代じゃないよ」と、ある書店主は小規模の集まりでもどんどん出かけていきます。大型書店に押されるなか、外商や配達をしながら地域の読者一人ひとりといかにつながっていくか、そこに活路を見いだそうとしている中小規模の書店も多い。だから講演会出店は読者への直接のアピールの場です。これは、読者に本の存在を知ってもらう機会がひとつでも増えることが大事な、小さい版元も同じだと思うのです。
 ということで、講演会販売の効果については、少々無理矢理に「長い目で見る」ことにして、明日も出稼ぎだ!


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本当にいいんですか?

2003-10-8 水曜日

海鳴社 辻 信行 :http://www.kaimeisha.com/

 あまり論議されることなく、ことがどんどん運んでいっているものがいくつかあります。 
 そのひとつは、いま、イラクの「復興」に貢献するために自衛隊が派遣されようとしています。外国の新聞に、臆病者の日本人とか書かれている、などと日本の世論を扇動するかのごとく報道する人がいます。その人は、戦場に行き戦うことはないでしょう。
 国連の職員が攻撃されたように、イラクの「復興」に金と自衛隊を日本が出せば、ゲリラ側は日本に忠告を与えるためにも、攻撃をしかけるのではないでしょうか。必ず日本人の死者がでる、と考えるのは私だけでしょうか。(自衛隊員はもちろん、日本大使館や海外企業、日本の国内のどこかが標的になる可能性も考えねばなりません。その覚悟はあるのでしょうか。)
 祖国のために、あるいは世界の平和のために、という名目で死んでいったひとは「英雄」かもしれませんが、遺されたものにとっては、たとえ臆病者の父であっても、生きていてくれるほうがよっぽどいいのです。
 「ふつうの国」でないスイスは、それゆえに国際社会のなかで名誉ある地位を占めています。もちろんスイス国民の努力はたいへんなものですが。日本も、国際紛争に武力を提供しなくても、アメリカは文句のいいにくい憲法をもっているという「ふつうでない国」ですが、それを放棄することに、みんな納得しているのでしょうか。
 また、国立大学の独立行政法人化も、来年度から具体化するようです。私が大学に入った頃、教養部長は「学問の自由は死守しなければならない」と、挨拶をされました。いま、だれが死守するのでしょうか。大学の人事権のトップを官僚組織=政府が握ることに、危惧はないのでしょうか。
 その政府を握る衆議院の選挙がもうすぐあるとか。二世・三世議員が幅を利かせています。被選挙権がまるで世襲のようです。階級社会化が強まっていくのを容認していていいのでしょうか。
 国民総背番号制も、また、われわれの業界では消費税の内税方式も、ずるずると既成事実が進行する気配です。管理社会がわれわれの行く手に待ち受けています。その社会は人類を幸福にするのでしょうか。

 終戦の前に生まれたものは、クラスの何人かは「父無し子」でした。そんな世代からのひとことです。


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読書とは何か

2003-10-1 水曜日

大村書店 萩原 祐介 :http://www.comk3.co.jp/ohmura/

ときどき新聞等で「読書調査」なるものをやっている。読書は好きか、月に平均何冊読むか、どんなジャンルの本を読むか、読書で感動したこと等を、年齢別、男女別に分析し、前回までの調査結果と比較しながら、総括的に結論付けられるケースが多い。大抵は最後に書籍読者の減少を問題視するコメントが載っている。
私はいつもこの調査と読書に纏わる記事に多くの疑問を感じる。確かに書籍読者の減少は、出版業界全体の責任も一部にあって、われわれも十分反省しなければならない。しかしながら、記事内容はどちらかというと「数の減少」そのものを問題視していることが多く、暗々裏に「読書数のグラフは右肩上がりになるべき」「読書は良い」という前提で語られている感がある。ひどい時には、カリキュラムに読書が組み込まれている学校を紹介し、それを肯定していることもある。
版元の人間がいうのもなんだが、書籍読者の減少が即、問題なのではない。この与件で最も問題にすべきなのは、むしろ読書という行為そのものにほかならない。
例えば私は本を最終ページから1ページの間でランダムにページを開き、上下左右にとばし読みし、ページ上で意味をモンタージュしたり、まるで絵画を観るかのように文章を眺めたり、逆に1字をずっと凝視したり、一時的に全く本を開かなかったり、逆に著しく本を読む時があるが、仮に私が読書調査をされた場合、どう答えてよいのだろうか(もっともこんな変な私に読書調査をすることは、まずないと思うが・・・)。私は稀なケースなので黙殺しても問題がないのであろうか。
本来、本との関わり方はもっと自由であるべきである。必ずしも、最初から読む必要もない。本を読まなくても良い。感動しなくてもよい。本が嫌いでもよい。最も大切なのは、本との誠実な関係を築くことにある。
読書とは何か。その行為自体を問うことなしに、統計的に行われている読書調査は全く意味をなさない。
——9月新刊——
『命を生きる! 藤沢周平の世界』上・下巻 
北影雄幸 著
本体1600円・四六判・並製

普通の人がふつうに、しかし優しさと思いやりをもって今日という日を生きる——その哀歓を描くことこそ、自ら「人生の底を見た」という過酷な人生を歩んだ藤沢の究極の文学世界であった。名作『たそがれ清兵衛』や『蝉しぐれ』を始め、ひたむきに生きる人々の哀歓が描かれた数々の作品を詳解。純愛、人情、家族、師弟等、テーマごとに検証し、読みどころも収録。その魅力を余すところなく伝える。


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ジョアン・ジルベルト

2003-9-24 水曜日

亜璃西社 井上哲 :http://www.alicesha.co.jp/

 先日、私用で久しぶりに東京へ行きました。まったくもって面目ないのですが、実に10年ぶりの上京です。情報にかかわる仕事をしているのに、この体たらく。勉強不足と指摘されても仕方がありません。そもそも、うちの会社は北海道を主要な商圏としており、これまでは営業に行く必要性がなかったこともあります。にしても、10年というのはちと長すぎますね。
 さて今回の上京は、20年以上にわたって崇拝してきたボサノヴァの始祖、ジョアン・ジルベルトの初来日コンサートを聴くためです。私用の旅行のため、自由時間が余りなく、営業活動にあてることができたのはたったの1日。その中で数人の方とお逢いできましたが、つくづく思ったのは「顔を合わせて話をする」という、ごく当たり前のことの大切さです。
 初めてお会いする方ばかりでしたが、わざわざ北海道から上京したこともあって、どなたも実に好意的に迎えてくれました。普段の電話連絡とは違って自然に会話が弾み、話題も多方面に広がっていくんですよね。ちょっとクサイんですが、これぞ「出逢いの喜び」です。これまでにない親密さが、少しだけ生まれたようにも思います。
 これって営業の基本なんでしょうが、今回の上京ではその当たり前のことの大切さを再認識させられました。今度、東京へ来る時は、ぜひ仕事で来たいと思います。そう遠くないうちに…。

追記 コンサートでは夢だったジョアンの“声とギター”を堪能し、大感激しました!


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売れるということはどういうことなのか

2003-9-17 水曜日

編書房 國岡克知子 :http://www.amushobo.com/

6月末に北海道で老舗書店の会長をしている同級生のSさんにお会いした。まだ年齢的には会長になるような年でもないが社長業は弟さんに譲り、対外的な仕事や日本書店商業組合連合会の仕事に情熱を傾けているようだった。そのSさんがこぼしていた。「北海道の経済は冷え切っているよ。本の売り上げも年々落ちていく。おまけに近くに大書店のチェーン店が次々にできて、新古本屋も増え、狭い商業圏だから客の奪い合いになっている」と。この書店は、東京でいえば紀伊國屋書店のような書店で、地元では古くから市民が愛着を感じている書店だ。しかし今はどうだろう。厳しい現実を前に苦戦を強いられているらしい。

出版業界も書店も斜陽産業になりつつあるようだ。もちろん例外はあって、ベストセラーを出しつづけている出版社もある。今でいえば草思社、サンマーク、幻冬舎、三笠書房、角川書店など、勝ち組といわれるところ。しかしベストセラーは1社で独占できるものではないようだ。10年で時代はガラリと変わるからだ。 9月20日小社発売予定の『戦後名編集者列伝』(櫻井秀勲著)には、光文社、青春出版社、KKベストセラーズ、筑摩書房、新潮社などの出版社で、じっさいにベストセラー本をつくり出してきた編集者の光と影が描かれている。「これを読んで売れるということはどういうことなのかを学んで下さい」というのが著者のメッセージだが、これはなによりも小社に向けた鋭い批判である。著者の櫻井秀勲さんには何度も「編書房はいまのままではダメですよ。売れる路線の本を出版しなさい。会社をささえる柱がないじゃないですか。女性モノ、実用書、人生論、いろいろあるでしょう。何かいまの路線<出版業界モノ>以外の鉱脈を見つけなさいよ!」と言われつづけている。だが、そのたびに考え込むのである。そう簡単にはいかないから悩みは深い。早く「これだ!」というものを見つけて、ロングセラーを出版していきたいが、ベストセラーとは無縁の路線でこれからも歩んでいくだろう。

最後にPR。
戦後名編集者列伝——売れる本づくりを実践した鬼才たち』(定価:1900円+税、上製、300ページ)は、頭脳とアイデアで勝ちぬいてきた編集者三十数人(文藝春秋・池島信平■光文社・神吉晴夫■マガジンハウス・清水達夫■青春出版社・小澤和一■新潮社・斎藤十一■KKベストセラーズ・岩瀬順三■筑摩書房・布川角左衛門■角川書店・角川源義■集英社・長野規■河出書房・坂本一亀■講談社・内田勝■サンマーク出版・植木宣隆■草思社・加瀬昌男■海竜社・下村のぶ子■噂の真相・岡留安則■三笠書房・押鐘冨士雄■福音館書店・松井直■幻冬舎・見城徹 など)の闘いの軌跡。
「図書館の学校」(図書館流通センター発行)で大好評だった人気連載を大幅に加筆したもの。戦後出版界の流れを知るうえで資料的価値もある。ご一読ください。


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「優先席周り」の携帯電話

2003-9-10 水曜日

しょういん 山田浩司 :http://www.shoin.co.jp/

03年9月1日より、NTTDoCoMoは身体障害者などを対象とした「ハーティ割引」サービスを始めた。「ハーティ割引」は「身体障害者手帳」「療育手帳」「精神障害者保健福祉手帳」の交付を受けている人を対象に、通話料などが50%オフになるというもの。
Jフォン、au、tu-kaの携帯電話各社も今秋より同様の割引サービスを予定していて、緊急時の連絡に欠かせない携帯電話がより身近になるのは良いことだ。

同じく1日より、これまでJR東日本は「混雑時は電源オフ、混雑時以外では使用を遠慮」としていた携帯電話のルールを変えた。JR東日本と関東の私鉄などでは、車内アナウンスで「優先席付近は電源オフ、それ以外ではマナーモード設定」との告知が始まっている。車内での通話が厳禁なのはこれまで通りで、メールの送受信やi-mode使用はどうやら黙認されるよう。

仕事柄、携帯電話が欠かせないひとりとして、電車内でメールを打つたびのうしろめたい思いから解放されるのは歓迎したい。
もうそろそろ「単純な車内マナー」のひとつとして、携帯電話を使われて困る人にも、使えなくて困る人にもよりよい折り合いが見つかってもいい頃だろう。心臓ペースメーカーの誤作動など、電磁波の「悪影響のおそれ」はマナー以前の問題だとしても。

そういえば、電車で携帯を使われると一番困るのは出版社だ、との話がある。
若者が携帯メールをするようになってから情報誌の売り上げが半減したり、ひまつぶし要員の中吊り広告がそっぽ向かれたり、通勤を読書にあてる習慣がなくなったりと、困ることばかり。
逃げ口上のうえ、ほとんど逆恨みのような話なのだけど。

・NTTDoCoMo「ハーティ割引」 (9月〜)
・Jフォン「プライオリティサポート」 (10月〜)
・au「スマイルハート割引」 (11月〜)
・tu-ka 「エール17、エール35」 (11月〜)


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はじめまして、まどか出版と申します。

2003-9-3 水曜日

まどか出版 濱井浩明 :http://madokabooks.com/

 はじめまして 本年7月末より参加しましたまどか出版です。
 設立5年目を迎えた小さな小さな出版社です。出版不況の真っ只中で、取次の口座を四苦八苦のすえ取得し、産声をあげました。山椒は小粒でもピリリとした味の本を、との心意気をもって仕事に取り組んでいます。
既刊20冊たらずですが、すべてが一書入魂、乾坤一擲の本づくりと販売です。
 この初秋、女優・夏目雅子の写真展「永遠の夏目雅子展」(9月11日〜17日)が渋谷東急百貨店本店で催されます。会場では、弊社既刊『夏目雅子 27年のいのちを訪ねて』(本体1,500円)が即売されます。また、全国のアシーネ各店でもキャンペーン店売されます。同書は、彼女の27年という短いいのちを、ドキュメントとともに、和田勉、篠田正浩監督らの語り、そしてアルバムでつづったものです。
 新刊『朝子の介護奮戦記』(小山朝子著;本体1,600円)は、若い女性である著者が母とともに祖母の自宅介護に取り組む女三代の物語で、介護ジャーナリストである著者がNHKテレビで紹介され、好評です。
 9月配本の最新刊『輝く智慧に照らされて』(泰永二郎著;本体1,500円)は、在家信仰の立場から法華経に取材した、みずみずしい人生論です。

 今後とも、よろしくお願い申し上げます。


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「報復」をめぐって

2003-8-27 水曜日

明石書店 黒田貴史 :http://www.akashi.co.jp/

 2001年4月の「改正」少年法施行によって、被害者が少年事件審判の記録開示を受けることが可能になった。これは被害者側の権利拡張の動きにのって進んだ法改正の一部といえるのだろう。ただし、被害者側の権利といっても無制限に記録が開示されるわけではなく、裁判所の裁量のもとに開示されることになっている。
 今年の夏に起きた長崎の幼児殺害事件では、被害者遺族に対して家庭裁判所からかなりの記録が開示されているらしい。ここで、らしいと書いたのは、週刊誌に掲載されている記事から判断してのことだ。
 少年審判記録を被害者に開示するという「改正」の主旨は被害者の権利を尊重するためということだったが、果たして今回の記録開示がその主旨に則っているといえるのか。もちろん、被害者遺族にしてみれば、自分の子どもがどのような犯人に、どのように殺されたのかを知りたいという希望があってもおかしくはない。また、やがておこすであろう民事裁判にも必要な事柄もあるだろう。
 しかし、週刊誌で報道される内容から判断して、開示されている資料は少年から聴取した記録のほぼそのままのものではないのか。少年事件の家裁による調査は刑事処分を科すためのものではなく、少年の更生のために事件の背景や生育歴に至るまで細部にわたって進められる。事件の様子を聴取した部分は被害者遺族にとっては耐え難い内容も含まれるだろう。事実、少年は彼自身も幼いときに同じような性的虐待を受けていたことを語っている。しかし、そのことが、週刊誌の記事では責任を他人に転嫁しているという記事に「歪め」られる。この「歪み」は、記者の解釈が混じっているのかもしれないが、被害者の感情を反映したものといえなくもないだろう。
 今回の事件では、加害者の親を「市中引き回しのうえ、獄門に」などという政治家の発言も飛び出したが、加害者に対する報復を唱える声が過剰であることが気になる。被害者側に開示された資料を使っての週刊誌記事にしても、あまりにも報復的な内容であり、開示資料がそのような目的に使われていくようでは、せっかく道が開かれた被害者の権利も裁判所の判断によって後退していくのではないか。そもそも今回の裁判所の開示にあたっても、開示の時期やレベルについてその判断が適切だったのかを論じることも必要なのではないか。最近の民事判決にあるように被害者の命日に毎月(あるいは毎年)、賠償を支払えというのも、加害者・被害者の関係を修復する判決というよりも「報復」と考えられかねないような内容ではないのか。
 少年事件だけではなく、北朝鮮の拉致問題に対する在日朝鮮人に対する嫌がらせからテロと戦争の繰り返しに至るまで、「報復」を軸に様々な政治情勢が動いている。この社会の先行きの不安に乗じて人々の憎悪を組織して「報復」に駆り立てる。「報復」を軸に現在をとらえ直す必要があるように思えてならない。

2003年8月25日 明石書店編集部 黒田貴史


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体験 ネットショッピング!

2003-8-20 水曜日

吉備人出版 金澤健吾 :http://www.kibito.co.jp/

 ネットで書籍購入の経験はあるが、その他の商品を購入したことはまだなかった。
 先般、ヤマト宅急便が主催するオンラインショッピングについての講習会に出掛けた。講演の内容は、食料品など全国の特産品を扱い、会員数13万人を超え、40万アクセスを突破したというあるショッピングモールについての話であった。このショッピングモールは、物流をヤマト宅急便が引き受けている。
 講師はこのショッピングモールの管理運営をし、複数の企業のホームページのコンサルティングをしているという人物。「なるほど」と感心するような話も多かったので、紹介しよう。
 まず、アクセス数を上げるための、仕掛けを細部まで考えているという。例えば、インターネット利用者が何に関心を持つかということをマーケティングすると、「美人」とか「旅行」などに高い関心があるそうだ。そこで、トップページには女性の顔写真を配し、全国をエリアに分けてローカル性を演出する。
 クリックするボタンの形や色もデータに基づいている。正方形、長方形、丸、三角など形の違うボタンがある場合、人がどの形のボタンにクリックするかというと、丸だそうである。色は赤がよいということである。二重丸で赤のボタンなら、さらにクリック数はアップするという。万事がこのようにデータ分析され、ホームページのデザインや構成を決めているそうだ。
 阻害要因も分析され、「面倒だな」とか「ええ〜、送料がかかるのか」などのひっかかりがないようにすることも重要だそうだ。スムースなクリックの連続で、気が付けば購入申し込みを完了していた、ということにしたいらしい。ネット運営の裏話にしきりに感心したのであった。
 インターネットを利用する人口は年々増え、ネット利用の用途も電子メールや「情報収集・検索」などが利用率が高かったが、最近の特徴としてはネットショッピングなどの消費関連の利用率が伸びているそうだ。日本の電子商取引は現在約3兆円ほどで、3年後には5倍になると予測しているらしい。
 この講演会から帰って、そんなに言うのならということで、会社からそのショッピングモールのホームページにアクセスし、「なるほどお〜」と感心しながらクリックし、せっかくだからネットショッピングを経験してみようと、東北地方の海鮮珍味を注文した。
 受注後すぐに、業者から受注メールが返信されるということだったが、数日たっても何の返答もないので不安になり、問い合わせをしようと思っていたら、突然送られてきて、包みを開いてみると珍味のパッケージのフタがあいていた。「昼食のおかずにするつもりだったに、今日はご飯の用意をしてきていない」とか「生鮮食料品なのにフタがあいているとは」という声が社内からあがった。
 このケースはまれなことだったかもしれないが、「ネットネットと言っても結局は人間だよね」という話に落ち着いた。


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今、おすすめは評論!

2003-8-13 水曜日

てらいんく 佐相美佐枝 :http://www.terrainc.co.jp/

8月5日、砂田弘さんの評論集出版を祝う会に出席しました。およそ100人、日本の児童文学をになう作家、編集者が集い、会は大盛況!1960年代から、1990年代までの、日本児童文学者協会会長、砂田弘の評論、エッセイを10年くくりでまとめあげた「砂田弘評論集成」(てらいんく)は、日本児童文学の歴史を、そのまま映し出し、児童文学が、子どもたちに夢と希望をもたらし、また未来もそうであり続けることを認識させた。

評論は、その道の研究家のかぎられた人たちのものとかたいイメージがつきまとう。私もつい最近まで小説は読むけれど、評論を読んだことは、全くなかった。文学専攻ではないけれど、書くことには興味があって、創作教室などには通った経験もあるのですが、、文学評論は、存在すら気がつかなかった。ところが、テーマに惹かれて受けた、社会人の大学講座で「嵐が丘」を学んだ。小説の書き方ではなく、作品そのものについて学ぶ。「嵐が丘」に惹かれた先生が、作品を細かく切り刻み、分析。作品の時代背景、その台詞の持つ意味、影響、、、、、。一つの作品の奥深さ、それぞれの読者の思い、受け取り方、、、、、新たな読書の楽しみを発見した。
そして、はじめて、児童文学評論を読んだ。小社「てらいんくの評論」1冊め、「児童文学への3つの質問」。
著者、藤田のぼる先生いわく「これほどに、やさしい評論はない」と自負している。この評論の刊行のきっかけは、子どもの本の会などで、よく、質問される、「子どもに、求められている作品は?」「子どもの読書離れは本当でしょうか。」という、とても簡単には答えられない難問。
 私も初めて読む評論。最初は、恐る恐るゲラを読みはじめ、そして、引き込まれた。「嵐が丘」の講座で経験したあの初めての感動!が再び。読み終えた後は、読書意欲にあふれ、「あの本、この本、、、、」と本屋さんに走りたくなった。そのような気持ちにかられたのは、わたしばかりではなかったようで、発売後、しばらくは、「他の評論集も読みたいのですが」と「てらいんくの評論」に問い合わせがあいついだ。
 漸く「てらいんくの評論」も現在、エッセイも含めて、6冊。「世界児童文学ノート」(安藤美紀夫)、「児童文学批評・事始め」(児童文学評論研究会)「魔法のファンタジー」(ファンタジー研究会)「物語のガーデン」(和田まさこ)。次回作「少年詩・童謡の現在」、「《成長物語》のくびきをのがれて」も問い合わせが多い。
まだ、児童文学の評論は、作品も少なく、浸透力にかけますが、ぜひ、1冊読んでみて下さい。人生の楽しみがふくらみます。


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