「報復」をめぐって

2003-8-27 水曜日

明石書店 黒田貴史 :http://www.akashi.co.jp/

 2001年4月の「改正」少年法施行によって、被害者が少年事件審判の記録開示を受けることが可能になった。これは被害者側の権利拡張の動きにのって進んだ法改正の一部といえるのだろう。ただし、被害者側の権利といっても無制限に記録が開示されるわけではなく、裁判所の裁量のもとに開示されることになっている。
 今年の夏に起きた長崎の幼児殺害事件では、被害者遺族に対して家庭裁判所からかなりの記録が開示されているらしい。ここで、らしいと書いたのは、週刊誌に掲載されている記事から判断してのことだ。
 少年審判記録を被害者に開示するという「改正」の主旨は被害者の権利を尊重するためということだったが、果たして今回の記録開示がその主旨に則っているといえるのか。もちろん、被害者遺族にしてみれば、自分の子どもがどのような犯人に、どのように殺されたのかを知りたいという希望があってもおかしくはない。また、やがておこすであろう民事裁判にも必要な事柄もあるだろう。
 しかし、週刊誌で報道される内容から判断して、開示されている資料は少年から聴取した記録のほぼそのままのものではないのか。少年事件の家裁による調査は刑事処分を科すためのものではなく、少年の更生のために事件の背景や生育歴に至るまで細部にわたって進められる。事件の様子を聴取した部分は被害者遺族にとっては耐え難い内容も含まれるだろう。事実、少年は彼自身も幼いときに同じような性的虐待を受けていたことを語っている。しかし、そのことが、週刊誌の記事では責任を他人に転嫁しているという記事に「歪め」られる。この「歪み」は、記者の解釈が混じっているのかもしれないが、被害者の感情を反映したものといえなくもないだろう。
 今回の事件では、加害者の親を「市中引き回しのうえ、獄門に」などという政治家の発言も飛び出したが、加害者に対する報復を唱える声が過剰であることが気になる。被害者側に開示された資料を使っての週刊誌記事にしても、あまりにも報復的な内容であり、開示資料がそのような目的に使われていくようでは、せっかく道が開かれた被害者の権利も裁判所の判断によって後退していくのではないか。そもそも今回の裁判所の開示にあたっても、開示の時期やレベルについてその判断が適切だったのかを論じることも必要なのではないか。最近の民事判決にあるように被害者の命日に毎月(あるいは毎年)、賠償を支払えというのも、加害者・被害者の関係を修復する判決というよりも「報復」と考えられかねないような内容ではないのか。
 少年事件だけではなく、北朝鮮の拉致問題に対する在日朝鮮人に対する嫌がらせからテロと戦争の繰り返しに至るまで、「報復」を軸に様々な政治情勢が動いている。この社会の先行きの不安に乗じて人々の憎悪を組織して「報復」に駆り立てる。「報復」を軸に現在をとらえ直す必要があるように思えてならない。

2003年8月25日 明石書店編集部 黒田貴史


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体験 ネットショッピング!

2003-8-20 水曜日

吉備人出版 金澤健吾 :http://www.kibito.co.jp/

 ネットで書籍購入の経験はあるが、その他の商品を購入したことはまだなかった。
 先般、ヤマト宅急便が主催するオンラインショッピングについての講習会に出掛けた。講演の内容は、食料品など全国の特産品を扱い、会員数13万人を超え、40万アクセスを突破したというあるショッピングモールについての話であった。このショッピングモールは、物流をヤマト宅急便が引き受けている。
 講師はこのショッピングモールの管理運営をし、複数の企業のホームページのコンサルティングをしているという人物。「なるほど」と感心するような話も多かったので、紹介しよう。
 まず、アクセス数を上げるための、仕掛けを細部まで考えているという。例えば、インターネット利用者が何に関心を持つかということをマーケティングすると、「美人」とか「旅行」などに高い関心があるそうだ。そこで、トップページには女性の顔写真を配し、全国をエリアに分けてローカル性を演出する。
 クリックするボタンの形や色もデータに基づいている。正方形、長方形、丸、三角など形の違うボタンがある場合、人がどの形のボタンにクリックするかというと、丸だそうである。色は赤がよいということである。二重丸で赤のボタンなら、さらにクリック数はアップするという。万事がこのようにデータ分析され、ホームページのデザインや構成を決めているそうだ。
 阻害要因も分析され、「面倒だな」とか「ええ〜、送料がかかるのか」などのひっかかりがないようにすることも重要だそうだ。スムースなクリックの連続で、気が付けば購入申し込みを完了していた、ということにしたいらしい。ネット運営の裏話にしきりに感心したのであった。
 インターネットを利用する人口は年々増え、ネット利用の用途も電子メールや「情報収集・検索」などが利用率が高かったが、最近の特徴としてはネットショッピングなどの消費関連の利用率が伸びているそうだ。日本の電子商取引は現在約3兆円ほどで、3年後には5倍になると予測しているらしい。
 この講演会から帰って、そんなに言うのならということで、会社からそのショッピングモールのホームページにアクセスし、「なるほどお〜」と感心しながらクリックし、せっかくだからネットショッピングを経験してみようと、東北地方の海鮮珍味を注文した。
 受注後すぐに、業者から受注メールが返信されるということだったが、数日たっても何の返答もないので不安になり、問い合わせをしようと思っていたら、突然送られてきて、包みを開いてみると珍味のパッケージのフタがあいていた。「昼食のおかずにするつもりだったに、今日はご飯の用意をしてきていない」とか「生鮮食料品なのにフタがあいているとは」という声が社内からあがった。
 このケースはまれなことだったかもしれないが、「ネットネットと言っても結局は人間だよね」という話に落ち着いた。


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今、おすすめは評論!

2003-8-13 水曜日

てらいんく 佐相美佐枝 :http://www.terrainc.co.jp/

8月5日、砂田弘さんの評論集出版を祝う会に出席しました。およそ100人、日本の児童文学をになう作家、編集者が集い、会は大盛況!1960年代から、1990年代までの、日本児童文学者協会会長、砂田弘の評論、エッセイを10年くくりでまとめあげた「砂田弘評論集成」(てらいんく)は、日本児童文学の歴史を、そのまま映し出し、児童文学が、子どもたちに夢と希望をもたらし、また未来もそうであり続けることを認識させた。

評論は、その道の研究家のかぎられた人たちのものとかたいイメージがつきまとう。私もつい最近まで小説は読むけれど、評論を読んだことは、全くなかった。文学専攻ではないけれど、書くことには興味があって、創作教室などには通った経験もあるのですが、、文学評論は、存在すら気がつかなかった。ところが、テーマに惹かれて受けた、社会人の大学講座で「嵐が丘」を学んだ。小説の書き方ではなく、作品そのものについて学ぶ。「嵐が丘」に惹かれた先生が、作品を細かく切り刻み、分析。作品の時代背景、その台詞の持つ意味、影響、、、、、。一つの作品の奥深さ、それぞれの読者の思い、受け取り方、、、、、新たな読書の楽しみを発見した。
そして、はじめて、児童文学評論を読んだ。小社「てらいんくの評論」1冊め、「児童文学への3つの質問」。
著者、藤田のぼる先生いわく「これほどに、やさしい評論はない」と自負している。この評論の刊行のきっかけは、子どもの本の会などで、よく、質問される、「子どもに、求められている作品は?」「子どもの読書離れは本当でしょうか。」という、とても簡単には答えられない難問。
 私も初めて読む評論。最初は、恐る恐るゲラを読みはじめ、そして、引き込まれた。「嵐が丘」の講座で経験したあの初めての感動!が再び。読み終えた後は、読書意欲にあふれ、「あの本、この本、、、、」と本屋さんに走りたくなった。そのような気持ちにかられたのは、わたしばかりではなかったようで、発売後、しばらくは、「他の評論集も読みたいのですが」と「てらいんくの評論」に問い合わせがあいついだ。
 漸く「てらいんくの評論」も現在、エッセイも含めて、6冊。「世界児童文学ノート」(安藤美紀夫)、「児童文学批評・事始め」(児童文学評論研究会)「魔法のファンタジー」(ファンタジー研究会)「物語のガーデン」(和田まさこ)。次回作「少年詩・童謡の現在」、「《成長物語》のくびきをのがれて」も問い合わせが多い。
まだ、児童文学の評論は、作品も少なく、浸透力にかけますが、ぜひ、1冊読んでみて下さい。人生の楽しみがふくらみます。


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新ファッション雑誌に挑戦!

2003-8-6 水曜日

ロゼッタストーン 弘中百合子 :http://www.rosetta.jp/

2000年「季刊ロゼッタストーン」、2001年「女性国会議員メルマガ・ヴィーナスはぁと」、2002年「若手国会議員メルマガ・未来総理」と、ロゼッタストーンでは、毎年、少しずつ媒体を増やしてきました。今年は、7月1日に、ロマンティックなファッションを好む女性のためのファッションサイト「スィートピー」をオープン。新しい分野にチャレンジします。

季刊「ロゼッタストーン」も4年目に入ったので、そろそろ「別冊」を出したいのですが、零細出版社のロゼッタストーンでは、新しい雑誌をつくるにも大きなリスクは背負えません。というわけで、まずWEBを立ち上げ、購読予約者が最低3000人集まったら、正式に創刊を決定しようと思っているのです。

WEBでは、カウントダウン式のカウンターを設けています。7月28日現在で、あと2743人。ほとんど宣伝をしていないのに、オープン1カ月で購読申し込み者が200人を超えたのは、まあまあ順調なのですが、3000人の目標を考えると先が遠いです。

最近、出版界の先輩がこんなことを言っていました。
「これからの雑誌は、雑誌そのものを売るというよりも、その雑誌を発行している編集部がつくっている雰囲気を売る方向に変わっていくような気がする。つまり、購読料というよりは、コミュニティに参加する会費のような感覚。読者に仲間意識を持たせることができれば、雑誌も成功するんじゃないだろうか」

スィートピーがめざすのも、まさに、ロマンティックが大好きな女性たちのコミュニティをつくることです。WEBでは、アンケートで「スィートピー」への要望を集めるほか、読者のファッションを紹介するページや掲示板など読者参加型のページを充実させます。たまには読者が参加できるイベントを企画したりもしてみようかと思います。

WEB先行型の雑誌は時々ありますが、カウントダウン式の雑誌創刊はあまり聞いたことがありません。こうした新しい試みが、果たして成功するのかどうか、今後の展開を見守ってください。


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