地域誌版元人の『望郷心』
2001-8-1 水曜日
批評社の佐藤英之さんより『版元ドットコム日誌原稿』の依頼を受け担当の私が原稿を書くようになりましたが、こういう事はあまり慣れていないので全く自信がなく出来れば、どなたか文才のある方にお願いしたいと切に願いつつ、これを書いています。
小社は1968年(昭和43年)全国各地域の歴史・民俗・文化・文芸に関する勝れた作品や研究を、広く世に問うことを目的に設立された出版社です。
当初は、各県や地域を知る為に手軽な判型で、県別、地域別に歴史、自然、民話、動物、植物、住まいなどをシリーズで刊行しておりました。
1980年(昭和55年)には地域に関する手軽な本から、歴史にしぼりこんだ内容の濃い、県別や郡別の資料集「郡誌」の刊行を開始しました。
中味を濃くすることで定価も高くなりましたが、強固な絆で結ばれる読者もいます。
そして1990年には、市町村別の大型写真集で刊行を始めました。
このシリーズの統一タイトルを『昭和史』としたのは、1980年頃から刊行してきた地域別の資料集が、古代、中世、近世、.近代と時代を追っていましたので、一部の地域では、順番として昭和時代に入っていたからです。
誰にでもわかる写真という形で後世に残せるよう、一般市民の衣食住について、できるだけ地域を細分化して、くわしく記録されています。
このように小社で発行している書籍は、少々堅いながらも、それぞれの地方に住んでいて自分の町や村の歴史を知りたい、又、自分の故郷の歴史を知りたい、そして学問的に研究してみたいという方々にお知らせしたい書籍といえると思います。当社にも、これらの書籍について、様々な問い合わせなどを、いただきます。長くその土地に住んでいらっしゃる方からは、「自分のおじいさんの事が載っているから、知り合いの方に差し上げたい」とご注文戴いたり、又、歴史にも諸説があるので「・・・・・ページに載っている・・・・・・の事は、事実と違うのではないか?」などのご指摘を戴くこともあります。
あらゆる県のいろいろな町や村の方を接していると、それぞれの地方色豊かな方言や言葉を直に聞くこともできますし、普段、何気なく食べたり使ったりしているものが、こんな場所でこんな歴史を経て作られているのかと、気にしたりもするようにもなりました。
都会にいて慌ただしく過ごしていると、見過ごしたり、忘れてしまっている「望郷心」を呼び覚まされることがしばしばあります。
又、小社のお客さまは「老人クラブ」に所属されているご年輩の方々が多く、それらの人たちからTELで直接にご注文を受けることがよくあります。
地方色豊かな”方言”と”なまり”とおまけに”入れ歯”の三点セットでご住所、お名前、TEL番号、書名、冊数などを確実に聞き取る事は 私事ながら、新入社員の頃は実に苦労しました。
ご住所をお尋ねすると、いきなり村名を言われてこちらが、当惑していると、そばからベテランの先輩が「・・・それは、何県の何郡よ!」と即座に親切に教えてくれたり、色々と助けてくれました。そういう方達とTELでやりとりをしていると、ここ東京にいながら、しばしある時は”新潟モード”、ある時は”愛知モード”と精神的な体温(? こんな言葉があるのかどうか、しりませんが)が変化します。
「望郷心」に近いものだと思います。
前にも述べましたが、小社の書籍はかなり堅くて一般的ではなく、又、高額な為に購買者もほとんど、年輩の方で若い人は少ないのが現状です。
版元ドットコムの加盟についても、ドットコムのサイトを通じての販売はあまり期待出来ないのですが、さまざまな販売チャンネルのひとつとして利用したく、チャンネルは多いほうがよいし、販売チャンネルを増やす意味でも、長い目で見て効力を期待しております。
千秋社(せんしゅうしゃ)の宣伝ばかりになりましたが、今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。
次回は第三書館・北川さんです。
