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真山青果とは何者か?
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2019年7月31日
- 書店発売日
- 2019年8月3日
- 登録日
- 2019年6月27日
- 最終更新日
- 2019年8月4日
紹介
元禄忠臣蔵の作者、真山青果。その驚くべき全貌を初めて明らかにする書。
あまりに理屈っぽく長大な台詞、「暗い」人間認識は、今日の観客からは敬遠されるのかもしれない。
しかし、こうした苦悩を描いた点にこそ、青果が昭和初期の大劇場を代表する劇作家として広く支持された理由があったのではないか。
孤独感や人生のままならなさは、現代の人間にとってもけっして無縁のものでななかろう―。
劇作家、小説家、研究者等、容易に捉えきれない様々な顔を持つ青果に、改めて光を当て、その全貌に迫る。
全貌を照らすべく、全体を「交友関係」「小説家・研究者」「劇作家」「青果作品小事典」「ビジュアルガイド」にわけ構成。「交友関係」では「真山青果の交友関係見取り図」を掲載。文壇、劇壇、近世文学研究の交流マップとしました。中村梅玉氏出席の【座談会】青果劇の上演をめぐっても収録し、演者からの視点も取り込み、ぼんやりとしていた真山青果像の輪郭を捉えます。
執筆は、飯倉洋一、日置貴之、真山蘭里、青木稔弥、青田寿美、有澤知世、井上泰至、大橋幸泰、神山 彰、熊谷知子、河野光将、後藤隆基、高野純子、寺田詩麻、仲 沙織、丹羽みさと、広嶋 進、福井拓也、宮本圭造、村島彩加、山中剛史、中村梅玉、織田紘二、中村哲郎、桑原寿紀の全25名。
○真山青果の台詞から
「恐れても恐るべきものは、人間、自分を赦しあまやかすと云ふ感情だ。年月を経る……、人は忘れる……、おれのやうな弱い者は、時に自分の過失を赦し、忘れようとする……場合がないとも限らん。おれは終生自分と戦ひ、自分を苦しめ、自分を虐げ、自己心中の賊を退治しなければならない。それがおれの一生の修行だ、おれが一生の……練習なのだ。」
『乃木将軍』初篇第一幕その二(『真山青果全集』第14巻)より
「おれは何日も、自分の議論が、流動し漂うてゐなければ不安でならない。議論が一に決定し固着する時、最も恐ろしい時と思ってゐる。天文に見ても、地球は自らを回転させつゝ、太陽の周囲を公転してゐる。時候に見れば、春に向ふ冬は、三寒四温の順序を繰り返しつゝその節に進んでゐる。ものはみな流動のなかに進歩をとってゐる。」
『坂本龍馬』第一幕・その二(『真山青果全集』第7巻)より
目次
監修者まえがき(星槎グループ会長 宮澤保夫)
真山青果とは何者か(日置貴之)
1 交友関係
真山青果の交友関係見取り図
[ひとびと]青果の多彩なる人脈(青木稔弥)
2 小説家・研究者
[小説家]青果と国木田独歩(高野純子)
[研究者]青果の西鶴研究(広嶋 進)
[研究者]真山青果の「切支丹屋敷」研究とシドッチ(大橋幸泰)
3 劇作家
[総説]多面的劇作家としての青果─多彩な人物像(神山 彰)
[元禄忠臣蔵]サムライの文学の伝統と近代─真山青果「大石最後の一日」(井上泰至)
[元禄忠臣蔵]『元禄忠臣蔵』の「歴史的真実」─徳川綱豊の演能場面とその虚実(宮本圭造)
[明治から見る]明治維新劇の系譜における青果(日置貴之)
[近代から見る]三島由紀夫からみた青果(山中剛史)
[現代から見る]【座談会】青果劇の上演をめぐって(中村梅玉・神山 彰・中村哲郎・日置貴之・織田紘二)
* * *
[真山家のその後]【インタビュー】真山家と新制作座の現在(真山蘭里・桑原寿紀)
4 青果作品小事典―戯曲・小説・評論・研究
01 南小泉村/02 敗北者/03 茗荷畑/04 第一人者/05 市川左団次氏に与ふ/06 癌腫/07 家鴨飼/08 喜多村緑郎/09 新しき種子を播け/10 五人女/11 松井須磨子の芸/12 七色珊瑚/13 椀屋久兵衛/14 酒中日記/15 仮名屋小梅/16 歴史小説の本領について/17 西鶴置土産/18 浅草寺境内/19 玄朴と長英/20 平将門/21 随筆滝沢馬琴/22 富岡先生/23 仙台方言考/24 江戸城総攻/25 小判拾壱両/26 桃中軒雲右衛門/27 坂本龍馬/28 颶風時代/29 井原西鶴の江戸居住時代/30 乃木将軍/31 血笑記/32 江藤新平/33 頼朝の死/34 荒川の佐吉/35 新門辰五郎/36 八百屋お七/37 元禄忠臣蔵 大石最後の一日/38 樽屋おせん/39 元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿/40 西鶴語彙考証(丹羽みさと・日置貴之・有澤知世・熊谷知子・河野光将・後藤隆基・寺田詩麻・仲 沙織・福井拓也・村島彩加)
5 ビジュアルガイド―画像で辿る真山青果(青田寿美編)
附録 真山青果略年譜
本書成立の経緯─あとがきに代えて(飯倉洋一)
あとがき(真山蘭里)
執筆者一覧
上記内容は本書刊行時のものです。