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日本、ぼくが愛するその理由は
- 初版年月日
- 2007年2月
- 書店発売日
- 2007年2月25日
- 登録日
- 2010年2月18日
- 最終更新日
- 2015年8月22日
紹介
「日本社会の理不尽さを知りつくした社会学者で日本専門家サブレが語る、彼を魅了してやまない日本の人びとの懐の深さとやさしさ」(「ル・モンド」日本特派員フィリップ・ポンス)。忘れ去られた日本の精髄をユーモアたっぷりにフランスのエスプリで語る。
目次
日本語版出版によせて
プロローグ 文化の違いを超えて
第1章 マルコ・ポーロがチパンゴと呼んだ国
第2章 北に彷徨い落ち着く
第3章 永谷のおばあさんと幸せの家
第4章 打ち明けられた苦悩
第5章 まるい地球に夕日が沈む
エピローグ ギョウザの哲学
訳者あとがき
前書きなど
日本語版出版によせて
ふたつの山があった。住人はそれぞれ「おらが山がいちばん」と思い暮らしている。いったい、誰が好き好んで自分の山を下りて他人の山を登るというのか。
しかし、故郷を出た先人もいた。ぼくも、もうひとつの山がどんなところなのか知りたくなり、山を下りることにした。もうひとつの山を登る道は険しく曲がりくねっていた。しかしそこで暮らし始めると、意外や居心地はよく、そこで学んだ文化や言語は大きな収穫となった。
その山からは故郷の山を見渡すことができた。ほかの山の頂に立つと、自分の山のことが??良い面も悪い面も??よく見えるようになる。これもまた大きな収穫。それから、いろいろな山に登るようになった。文化も違えばそれぞれ興味深く、優劣をつけることはできない。
歳とともに日本、フランスという山を登り下りするぼくの足腰も弱ってきた。いつ道端で倒れてしまうかもしれない。しかし、これだけは言える。道中での発見こそが本物で、さらなる収穫となる。それは、「違う」ということについて考える行為そのもの。未知を探して彷徨い、さまざまな人と出会う旅路でこそ、自分自身の問いに答えを見出すことができるのではないだろうか。
二〇〇七年一月 ジャン=フランソワ・サブレ
上記内容は本書刊行時のものです。