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アーカイブ立国宣言 「アーカイブ立国宣言」編集委員会(編) - ポット出版
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アーカイブ立国宣言 (アーカイブリッコクセンゲン) 日本の文化資源を活かすために必要なこと (ニホンノブンカシゲンヲイカスタメニヒツヨウナコト)

社会一般
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発行:ポット出版
四六判
272ページ
並製
価格 2,300円+税
ISBN
978-4-7808-0213-9   COPY
ISBN 13
9784780802139   COPY
ISBN 10h
4-7808-0213-X   COPY
ISBN 10
478080213X   COPY
出版者記号
7808   COPY
Cコード
C0000  
0:一般 0:単行本 00:総記
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2014年11月
書店発売日
登録日
2014年10月14日
最終更新日
2023年1月20日
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紹介

日本のデジタルアーカイブはどこを目指すべきか?
ナショナルアーカイブ設立へ向けた4つの提言と、青柳正規・御厨貴・吉見俊哉による鼎談や、日本のアーカイブの現状報告、世界のデジタルアーカイブの実践例、デジタルアーカイブ振興法制定の意義と今後の方向性などを収録。


【電子書籍】
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●有料版電子書籍(価格:1,800円+税)もあります。以下のサイトでご購入いただけます。

目次

はじめに
 文化資源戦略会議

第1章 アーカイブ立国宣言
 文化資源戦略会議

第2章 鼎談:アーカイブとは文化そのものである
 青柳正規、御厨 貴、吉見俊哉

第3章 アーカイブの可能性を探る

 マンガ 東京国際マンガミュージアム(仮称)
・マンガ・アニメ・ゲーム文化のすべてを収蔵するミュージアムを
 森川嘉一郎

 ゲーム 立命館大学ゲーム研究センター
・世界に通じる文化を国内で保存すべきである
 細井浩一

 震災 311まるごとアーカイブス
・公開・共有のための仕組みづくりが必要だ
 長坂俊成

 脚本 日本脚本アーカイブズ推進コンソーシアム
・映像の現存率が低いなか放送文化を残していくために
 石橋映里

 映画 東京国立近代美術館フィルムセンター
・デジタルアーカイブは「保存」に役立つか
 岡島尚志

 放送 NHKアーカイブス
・テレビ番組とアーカイブ NHKの取組
 宮本聖二

 地域・1 地域雑誌「谷中・根津・千駄木」
・普通の人の話をきちんと残していく大切さ
 森まゆみ

 地域・2 小布施町立図書館「まちとしょテラソ」
・交流装置としてのアーカイブを作りたい
 花井裕一郎

 地域・3 札幌市中央図書館
・地方の図書館で進める電子書籍の可能性
 淺野隆夫

 アニメ 日本・アニメーションアーカイブス
・未来の日本のアニメーションアーカイブスを目指して
 植野淳子

 音楽レコード 歴史的音盤アーカイブ
・タイムリミットが迫ってくる古い音源をデジタル化していく
 藤本 草

 書籍(印刷物資料)
・既存の知的財産をいかにアーカイブしていくか
 植村八潮

第4章 世界のデジタルアーカイブ実践例
 松永しのぶ

第5章 デジタルアーカイブ振興法制定の意義と今後の方向性
 福井健策、中川隆太郎

●コラム
・青空文庫
 青空の本は、誰も拒まない
・京都服飾文化研究財団(KCI)デジタルアーカイブ
 フランス革命前夜のファッションから、ヨウジヤマモトまで
・Getty Images
 8,000万点強の画像を提供するストックフォト代理店
・Flickr
 世界中のアーカイブが利用する写真共有サイト
・ニューヨーク公共図書館パフォーミングアーツ図書館
 芸術の一等地にある世界最大級の演劇専門図書館

前書きなど

はじめに
 文化資源戦略会議

 21世紀に入り、日本はグローバル化する世界の中で「坂道を転げ落ちるように」、その存在感を喪失してきた。「ジャパン・パッシング」と呼ばれるこの趨勢に加え、中国の強大化、経済の空洞化、少子高齢化、格差拡大、そして東日本大震災と福島原発事故により、ますます日本人の不安は増殖し続けている。2020年のオリンピック開催で一時的にこの傾向に歯止めをかけられても、抜本的な対策が立てられないなら趨勢は変わらない。

 わが国がこれほどの苦境に陥った最大の理由の一つは、1980年代から始まっていたデジタル革命の決定的な意味を読み誤った点にある。「技術力」と「経済力」に自信満々だった日本は、デジタル技術の可能性を、もっぱら技術革新や市場戦略の面からしか理解しなかった。それが人類の知識にもたらす革命的な変化に気づかなかったのである。さらに私たちは、そうした知識の革命が、世界経済をも呑み込むほどの大変化であることを理解していなかった。ソニーは結局、アップルにもグーグルにもなれなかったのである。

 19世紀後半、西洋列強がアジアを植民地化していく中で、幕末の志士たちは日本の独立を守り、近代化を推進することに成功した。20世紀後半、戦争に敗れたこの国の技術者たちは、精巧な技術力に基づくモノづくりで世界トップレベルの経済大国を築き上げた。しかし21世紀初頭、歴史はすでに異なる地平で営まれている。この新しい地平の一つのキーワードはもちろん「デジタル」だが、もう一つは確実に「アーカイブ」である。

 「アーカイブ」が、21世紀の日本再生の鍵となる理由の第一は、この列島には世界でも稀にみる豊かで多様な文化資産が蓄積されてきたことによる。古代から近世まで、日本には有形・無形の多様な文化財が継続的に蓄積されてきた。そして近代、文学や音楽、美術から映画、テレビ、広告まで高水準の文化資産が一世紀以上にわたり創造されてきた。この豊かな文化資産を横断的に集積し、地球規模で活用していくには、デジタルの力による以外にない。アーカイブ立国は、デジタル文化立国の支柱である。実際、国の「文化芸術立国」プランでは、「強固な文化力の基盤形成」が高々と謳われるが、日本各地の文化力を顕在化させ、俯瞰・横断するには、デジタルによる知識基盤整備が必須である。

 「アーカイブ」が日本再生の鍵となるもう一つの理由は、「知識」こそが、21世紀社会の生産力の根幹をなしていくからである。21世紀、「知識」はそれまでとは比較にならないほどの重要性を帯びていく。半世紀前の「知識革命」から「コンテンツ産業」を経て、近年の「グーグル革命」も「ビッグデータ」も、さらに大きな変化の一面でしかない。「グーグル革命」のようなジャンル横断化、「ビッグデータ」のような量の巨大化の次に、長い時間をかけて蓄積されてきた知識のデジタルアーカイブ化の時代が来る。わが国には、少なくとも技術力では、この巨大な知の基盤的変化をリードできる潜在力がある。

 問題は、技術力以外の分野での日本の著しい立ち遅れである。これまで技術力、経済力に頼って発展してきた国の驕りが、この立ち遅れの深刻さから目を背けさせてきた。

 立ち遅れの第一は、わが国に全体としてどれほどの潜在的なデジタル文化資産が存在しているのかが把握されていないことである。デジタルアーカイブは、これまで博物館や美術館、図書館などで所蔵されていた資料の範囲をはるかに超えた記録の蓄積と活用を可能にする。音楽資料や映画資料、放送番組、脚本、アニメ、マンガ、ゲームなどから地域文化資源、それに災害記録まで、実に多方面の膨大な資料が蓄積されてきた。総合的に結びつけていくことが可能である。しかしそもそも、既存の制度的な仕組みにぴったりはまらない資料の所在は、全国的な調査がなされていないから現状が把握できていない。

 第二に、デジタル文化資産についての多くの保存と活用の取組みは、知的資源の公共的活用を基礎づける法制度の不備に阻まれてきた。孤児作品の権利処理の高すぎるハードル、フェアユース概念やオープンデータ化の未整備はそうした障害の典型である。研究の推進も作品の創作も個人のゼロからの独創でできることはほとんどない。知識の創造が脱領域的に広がるなかで、国の文化力は既存分野への支援だけでは強化されない。新しい分野を含めた知識・文化資源活用の全体的基盤を強化することが必要なのである。

 第三に、そうした支援を担う高度なアーキビストの育成が重大な課題である。地域に埋もれる文化資源や潜在的な知識資源の価値を見抜き、デジタルで保存・編集・活用していく技能を有し、海外とも連携して加工や付加価値化を進めるプロデューサー的な才能を持った人材が積極的に養成され、活躍の場が与えられていかなければならない。

 要するに、わが国が潜在的に有するデジタル文化資源を総体把握し、公共的活用のための法整備を進め、保存と活用を担う創造的人材を養成していくこと、これである。そのために、何らかの中核的なセンターが必要となる。これを、私たちは「国立デジタルアーカイブセンター」と呼ぶことにする。未来のアーカイブ立国推進の司令塔である。

 以上の展望は、「アーカイブ立国宣言」の構想母体となった文化資源戦略会議の議論を通じて深められてきた。この会議に参加したのは、デジタル文化財創出機構、出版デジタル機構、記録映画保存センター、日本脚本アーカイブズ、311まるごとアーカイブスなどの諸組織から映画アーカイブ、放送アーカイブ、アニメ・アーカイブなどの諸アーカイブ活動に中核的に関わってきた人々であったが、日本の文化・知識資源政策が直面している以上の3つの課題が喫緊であることは、多様なジャンルの人々に共有される認識となった。

 本書はこの会議が構想する「アーカイブ立国宣言」を前面に掲げる。宣言には多くの思いが込められているので熟読してほしい。この宣言を補完する意味で、青柳正規文化庁長官と数々の政治家のオーラルヒストリーをまとめてきた御厨貴氏を交えた鼎談を載せ、さらに宣言の中核にあるデジタルアーカイブ促進法の考え方について専門的見地からの解説を行なう。その先で、書籍、マンガ、ゲーム、災害情報、脚本、映画、放送番組、地域文化、アニメ、音楽レコードなど諸ジャンルのアーカイブ化の取組を紹介していく。

 現在、国会ではデジタル文化資産推進議員連盟により、孤児著作物に関する法改正や国立デジタル文化情報保存センターの構想が検討されようとしている。並行して文化庁でも、文化関係資料アーカイブ政策への取組が始まっている。関連省庁や東京オリンピックをめぐる複雑な動きのなかで、今後の政策展開には紆余曲折も予想される。だが、そうした動きを雲の上の他人事とするのではなく、日本の文化・知識基盤の未来に決定的な可能性をひらく挑戦と受けとめ、本書をガイドにあなたもあなたの「アーカイブ立国宣言」を表明していってほしい。草莽の声、マクベスの森――それが本書からの切なるメッセージである。

著者プロフィール

「アーカイブ立国宣言」編集委員会  (アーカイブリッコクセンゲンヘンシュウイインカイ)  (

井上奈智(国立国会図書館)
眞籠 聖(国立国会図書館)
松永しのぶ(国立国会図書館)
柳与志夫(国立国会図書館)
渡邉由利子(国立国会図書館)

福井 健策  (フクイ ケンサク)  (監修

1965年生まれ。弁護士/ニューヨーク州弁護士。東京大学法学部卒。コロンビア大学法学修士。骨董通り法律事務所 for the Arts 代表パートナー。日本大学芸術学部客員教授。think C 世話人。

吉見 俊哉  (ヨシミ シュンヤ)  (監修

1957年生まれ。東京大学大学院情報学環教授。
2010年より大学総合教育研究センター長、教育企画室長、大学史史料室長、
2011年より東京大学副学長を兼任。

青柳 正規  (アオヤギ マサノリ)  (

1944年生まれ。東京大学副学長、国立西洋美術館館長、国立美術館理事長を経て、2013年より第21代文化庁長官。

御厨 貴  (ミクリヤ タカシ)  (

1951年生まれ。東京都立大学法学部教授、東京大学先端科学技術研究センター教授を経て、2012年より放送大学教授、東京大学先端科学技術研究センター客員教授。

森川 嘉一郎  (モリカワ カイチロウ)  (

1971年生まれ。明治大学国際日本学部准教授。2004年、ヴェネチア・ビエンナーレ第9回国際建築展日本館コミッショナーを務める。

細井 浩一  (ホソイ コウイチ)  (

1958年生まれ。立命館大学映像学部教授、日本デジタルゲーム学会(DiGRA JAPAN)会長、博士(経営学)。立命館大学ゲーム研究センターにおいて取組むゲームアーカイブ・プロジェクトは、産学公連携による社会的なゲーム保存プロジェクトとして1990年代後半から継続している。

長坂 俊成  (ナガサカ トシナリ)  (

1962年生まれ。立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科教授。eコミュニティプラットホームの研究開発リーダー、一般社団法人東日本大震災デジタルアーカイブス支援センター代表理事。専門は防災危機管理、リスクガバナンス、災害情報、情報政策、地域プロデュースなど。

石橋 映里  (イシバシ エリ)  (

一般社団法人 日本脚本アーカイブズ推進コンソーシアム事務局代表・常務理事。
東京都出身。法政大学社会学部卒業。中央大学大学院法学研究科修士課程修了。放送作家。作品『敬語おもしろ相談室』(文化庁)『文化遺産の旅』(BS朝日)等。脚本アーカイブズ特別委員会創設メンバーとして活動に参加。

岡島 尚志  (オカジマ ヒサシ)  (

1956年生まれ。東京国立近代美術館フィルムセンター主幹。2004年から2014年まで、国際フィルム・アーカイブ連盟(FIAF)の会長を一期、副会長を四期務めた。

宮本 聖二  (ミヤモト セイジ)  (

1981年、NHK入局。アナウンサー、ディレクターとして鹿児島局、沖縄局などに勤務、沖縄戦や近現代史の番組制作にあたる。報道局、編成局チーフプロデューサーを経て、2008年からNHK戦争証言プロジェクトで編集責任者を務める。2014年からNHK放送研修センター エグゼクティブプロデューサー。

森 まゆみ  (モリ マユミ)  (

1954年生まれ。早稲田大学政経学部卒業、東大新聞研究所修了。出版社勤務の後の1984年、友人らと東京で地域雑誌「谷中・根津・千駄木」(谷根千工房)を創刊、2009年の最終号まで編集人を務める。

花井 裕一郎  (ハナイ ユウイチロウ)  (

1962(昭和37)年生まれ。演出家。NPO法人オブセリズム CEO。2009年7月~2012年11月、小布施町立図書館「まちとしょテラソ」館長。

淺野 隆夫  (アサノ タカオ)  (

1966年生まれ。札幌市中央図書館業務課情報化推進担当係長。北海道大学卒業後、札幌市役所に入庁し情報化推進部等を経て、図書館勤務。

植野 淳子  (ウエノ ジュンコ)  (

株式会社アーイメージ代表取締役。コンテンツ産業関連の事業コンサルタントとしてプロジェクトマネージメントやコーディネートに携わる。一般社団法人日本動画協会 準会員。
2006年より一般社団法人日本動画協会プロデューサー。現在、主に日本・アニメーションアーカイブスのコーディネトや人材育成プロジェクトに従事。

藤本 草  (フジモト ソウ)  (

1950年生まれ。青山学院大学経営学部卒業。1976年、日本ビクター株式会社入社。2003年6月より、公益財団法人日本伝統文化振興財団理事長。2014年6月より当財団会長。

植村 八潮  (ウエムラ ヤシオ)  (

1956年千葉県船橋市生まれ。電子出版制作・流通協議会技術委員会委員長、専修大学文学部教授。 早い段階から、日本の電子書籍の可能性を研究、追求し、その普及を目指す。 著書に『電子出版の構図――実態のない書物の行方』(印刷学会出版部、2010年)、共著に『出版メディア入門』(日本評論社、2006年)など。

松永 しのぶ  (マツナガ シノブ)  (

1983年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科(文化資源学)修士課程修了。2008年に国立国会図書館に入館。

中川 隆太郎  (ナカガワ リュウタロウ)  (

弁護士。骨董通り法律事務所 for the Arts所属。
東京大学法学部卒。早稲田大学大学院法務研究科修了。

上記内容は本書刊行時のものです。