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精神障害者のセルフヘルプ‐グループと専門職の支援
当事者に学ぶ
- 初版年月日
- 2001年12月
- 書店発売日
- 2001年12月1日
- 登録日
- 2010年2月18日
- 最終更新日
- 2015年8月22日
紹介
著者である半澤さんは、自分自身がセルフヘルプ-グループに参加するこことで、力を回復するという経験をしている。
人はさまざまな人生のターニングポイントで誰かに助けられる。そうした場の1つがセルフヘルプ-グループである。専門家であってもなくても、セルフヘルプ-グループという「体験を分かち合う場」の面白さについて、もっと知りたい、考えてみたいという関心を抱いていただけたらと思う。
目次
推薦のことば 石川到覚
はしがき
序章 私的体験の世界
1.筆者の患者体験から
2.看護学生時代の出会い
3.保健婦になって
4.セルフヘルフ-グループの思い出
第1章 精神障害者が語る現状と専門職への期待
Ⅰ 病を持ちながら社会に開かれるということ
【事例1】
1.プロフィール紹介(病歴・生活歴・医療に対する価値観)
2.いくつかのセルフヘルプ-グループ体験から
3.TKSミーティングのはじまり
4.TKS(体験交流集会)の特徴
5.「当事者ではない人がいると話しづらい」という発言
6.TKS活動の一時解散の理由と関連する親会の休会理由
7.当事者だけで集まることから「開かれた世界」へ
8.精神障害者のセルフヘルプ-グループに向く運営方法
Ⅱ 精神医療を受けた経験者だからできる社会的活動
【事例2】
1.プロフィール紹介(病歴・生活歴・医療に対する価値観)
2.精神障害者に関わる専門職にひとこと
3.院内患者会は「そこに行けば顔見知りに会える」場所
4.「フレンズコミュニケーション」の始まり
5.セルフヘルプ-グループを支援する専門職にひとこと
6.新たなセルフヘルプ-グループづくりへ
7.精神医療を経験した回復者だからできる活動
8.バンクーバーの地域保健システムに出会って
9.当事者が望むバンクーバーの緊急システムとは
1)危機的対応サービス
2)生活支援サービス
10.バンクーバーで具合が悪くなったら
11.日本の精神支援システムの現状
1)医療と精神支援が連携したシステム
2)精神障害者がともに暮らす環境
3)当事者が求めている緊急システムとは
12.当事者活動が社会的に評価されるための戦略
第2章 専門職が支援するセルフヘルプ-グループの実際
Ⅰ 個別援助の限界とグループづくり【事例3】
1.就労定着指導を個別に行う限界から
2.当事者が主体的に参加する運営
3.社会参加というテーマについて安心して語れる場
4.当事者から見たセルフヘルプ-グループ
1)過剰な期待から自由になって本音を語れる場所
2)就労に対する焦りを一歩離れて見つめる
5.専門職からみたセルフヘルプ-グループ
1)就労支援は生活支援の一部
2)就労に対する焦りを見つめること
3)多様な考え方に出会うことから広がる可能性
6.職場の人に障害を明かすという体験から
Ⅱ ボランティアとして参加する作業所職員【事例4】
1.小規模作業所とは異なる場所でグループに参加する意味
2.作業所職員と通所者が並んでミーティングに参加すること
3.作業所の職員が考える「しごとミーティング」
1)横並びの関係性を大切にする安心感と癒しの効果
2)「パイプ役」を担い続けること
3)作業所での支援という枠組みから離れて考える意味
Ⅲ 同じ社会でともに汗を流し苦しみ涙する仲間
【事例5】
1.当事者が運営する保健所デイケアの効用
2.仕事の分担の決め方
3.定例会「つどい」のテーマ
4.ともに活動する仲間という関わり
Ⅳ クラブハウスにみるセルフヘルプの実際【事例6】
1.クラブハウスとは
2.クラブハウスの運営方法
3.「セルフヘルプ」と「参加」という価値
4.関係性と能力
5.患者会活動から拠点づくりへ
6.作業所とは違う志向性と当たり前の理屈
第3章 これまでのセルフヘルプ-グループと専門職についての研究
Ⅰ 精神障害者のセルフヘルプ-グループ組織化の歴史
Ⅱ 専門職の関わりに関する研究の動向
Ⅲ 全国の精神障害者のセルフヘルプ-グループ(岩田による調査を中心に)
1.調査方法
2.セルフヘルプ-グループの運営形態別分類
3.運営形態別分類による活動内容
4.精神保健システムや専門職との関係について岩田による考察
5.岩田の研究結果と考察から考えられること
Ⅳ 専門職の支援を改めて見直す意味
1.専門職という「保護者」は必要か
2.セルフヘルプ-グループへの関心と学ぶべきこと
3.生活者のニーズを基本とするよう見直すこと
第4章 セルフヘルプ-グループと専門職による支援の検討
Ⅰ 概念整理と検討の視点・方法・範囲
1.セルフヘルプ-グループの概念整理
2.支援を考える視点と方法
3.どこまでを範囲とするのか
1)精神保健福祉センター
2)保健所と市町村
3)支援する専門職の多様性
Ⅱ 組織形態と活動内容の変遷モデル
1.石川による組織形態別類型
2.谷中による自助活動の目的別分類
Ⅲ 専門職の援助姿勢による影響
1.専門職はサービス志向的なグループを好んで援助するのか
2.専門職のボランティア性について
Ⅳ 精神症状とつき合うことの意味
Ⅴ 当事者と医療者の対等な関係性の模索
Ⅵ 日本における施策体系とサービスシステム
終章 改めて専門職の支援における課題とは
1.第4章までに述べたこと
2.セルフヘルプを尊重しそこから学ぼうとする専門職
3.医療と福祉の専門性について
4.専門職の支援に関する研究への期待
5.本書で紹介した事例の限界
付録 セルフヘルプ-グループに関する研究の動向
1.セルフヘルプ-グループの歴史
2.日本のセルフヘルプ-グループ研究史~1980年代以降~
1)1980年代前半
2)1980年代後半
3)1990年代前半
4)1990年代後半
引用文献
参考文献
資料1:設立・運営形態別の事例区分
資料2:セルフヘルプ-グループ実践事例と専門職の関わりの検討
資料3:日本のセルフヘルプ-グループ文献年表(昭和32年~平成11年11月)
あとがき
私的応援席からのメッセージ
個人の回復とセルフヘルプ-グループ 岩田 泰夫
半澤節子というセルフヘルプな人 野田 文隆
セルフヘルプ-グループと保健活動 平野かよ子
セルフヘルプ-グループと研究者の原点 田中 英樹
上記内容は本書刊行時のものです。