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そば通
江戸ソバリエが選ぶ旨い蕎麦88
- 初版年月日
- 2004年12月
- 書店発売日
- 2004年12月13日
- 登録日
- 2010年2月18日
- 最終更新日
- 2010年11月11日
目次
■第一章 蕎麦学入門
蕎麦の文化史/特別対談 蕎麦と池波正太郎と「神田まつや」…野上龍雄(脚本家)×小高登志(神田まつや主人)/蕎麦の雑学ノート…1蕎麦の旨さとは何か 2旨い蕎麦ができる条件 3蕎麦屋ガイドについて
■第二章 蕎麦屋ガイド 東京・江戸蕎麦探訪記
千寿竹やぶ/玄庵/吟八亭やざ和/更里/神田まつや/九段一茶庵/小菅/山せみ/しながわ翁/箱根暁庵(広尾)/野中/法師人/進士/道心/典座/まん月/吉祥寺砂場/本陣房グループ・天祥庵/布恒更科/きびや/蕎楽亭/大川や/睦/京金/坐忘/一久/松翁
◆コラム
蕎麦の栄養学/夜蕎麦の誘惑/蕎麦屋の酒 など
◆資料編
蕎麦の重さと値段のグラフ/東京・江戸蕎麦おすすめ蕎麦店リスト88
前書きなど
江戸ソバリエへの道
私は青年期からかなりの「西洋かぶれ」だった。そんな私に、40代に入る前あたりから、「日本回帰」ともいえる変化が起きた。NPO法人神田雑学大学の主催する「江戸ソバリエ認定講座」を受け、江戸ソバリエとなったのもそのひとつだ。「江戸ソバリエ」とは、ワインのソムリエをもじった造語で、蕎麦のソムリエを目指すというもの。2003年5月、新聞の朝刊で「江戸ソバリエ認定講座」が開講されることを知りすぐさま申し込んだ。講座は、耳学(江戸蕎麦などに関する講義)、手学(蕎麦打ち体験)、舌学(蕎麦屋の食べ歩き)、脳学(まとめのレポート作成)とに分かれ、レポートを提出してめでたくソバリエの認定証も授与された。
「西洋かぶれ」だった私がなぜ「江戸ソバリエ」になったのか。古い話で恐縮だが、私は、中学3年で英語に目覚め、高校1年の時には、アメリカンスクールの女子高生と知り合い、その甲斐あって?高校2年では、O社の全国テストで英語は全国2番の成績となった。調子づいた私は大学1年で英検1級にチャレンジし、一発合格。その後も米軍基地のあった立川などに出かけ、英語に磨きをかけた。同時に、フォーク・ロックの音楽活動にも明け暮れたが、卒業を控え思うところあって、外交官の上級試験を目指した。残念ながら不合格となったが、私の「西洋かぶれ」はおさまらず、外交官がダメでも、海外と関わりのある仕事に就きたいと思い、現在勤めている旅行会社に就職。旅行会社という仕事柄、それからは国内海外を問わずいろいろな場所へ出かけた。世界各地のグルメツアー、最新スポット探訪ツアー、そしてホームステイでは、アメリカやヨーロッパの各地に長期間滞在するなど、さまざまな貴重な体験を重ねることができた。もちろん、各地のおいしい料理を楽しんだのは言うまでもない。
ところが、それまでは西洋料理大好き人間だったのだが、40歳前後を境に、あっさりとしたヘルシーなものを欲するようになってきた。しだいに鮨、蕎麦、天ぷらという江戸前の料理に惹かれると同時に、日本固有の文化にも興味が出てきた。そして江戸前料理のうち、とりわけ好きになったのが蕎麦だった。
外国人とつき合うにも日本の文化や食文化を理解していなければ、ほんとうの交流はできないということにも気づき始めた。私の生まれは浅草だが、祖母が民謡や三味線の先生をしていたこともあり、幼い頃には花やしきに連れて行ってもらった帰りに、並木藪蕎麦などの老舗に立ち寄った記憶がある。DNAに刻まれた、いわば日本文化が、年齢とともに顕在化してきたのかも知れない。
本書では、ビジネスマン、そして日本を代表する素晴らしい先生方に教えていただいた「江戸ソバリエ」の一人として蕎麦屋巡りをする中で、感じたこと、学んだことをまとめさせていただいた。蕎麦はもともと庶民の食べ物である。手打ち蕎麦を食べに行き、量の少なさにがっかりした思い出もある。そういう不満や物足りなさを感じる読者も少なくないに違いない。そうした思いから、失礼ながら、「蕎麦屋ガイド 東京・江戸蕎麦探訪記」では各店の基本となる「もり蕎麦」の分量を量らせていただき、その結果を「蕎麦の重さと値段のグラフ」や「総合評価グラフ」に反映させるなどの試みを行った。さらに、蕎麦屋で酒を飲む、友人と語らう、接待に使うなど、さまざまな蕎麦店の活用に参考になるよう、できるだけ値段(2004年10月時点)も掲載した。また、巻末にはわが江戸ソバリエ仲間のご協力をいただき、私が取材した店に加え、採り上げられなかった他のおすすめ蕎麦店を各人のひと口コメントを付け「おすすめ蕎麦店リスト88」として掲載している。本書がささやかながらも皆さんの新たな蕎麦との出会い、そして人生のさらなる充実と健康に貢献できれば望外の幸せである。
版元から一言
◎ここがポイント
・本書は、NPO神田雑学大学が主催する「江戸ソバリエ認定講座」を修了した著者が、そば通、蕎麦の伝道師として、実際に食べ歩き、本当に旨いといえる蕎麦屋を厳選し、接待やデートに使える店を紹介する。
・本書には、大手旅行会社に勤めるサラリーマンの著者が、かねてより名店・有名店の蕎麦の量が少ないことに失望していたため、もっと旨くて分量のある蕎麦屋はないものかと探求した結果が示されている。
・本書では、蕎麦屋酒を愉しむため、各店の酒肴やおすすめ料理の写真と情報(値段など)を紹介するとともに、「もりそば」については計量を行いグラム数と単価も掲載し、各店のコストパフォーマンス比較なども掲載。
・本書は、蕎麦の歴史をはじめ、蕎麦の雑学ノートとして、原料のソバや、製粉方法、打ち方などの基礎的な知識をコンパクトにまとめてある。そば通への近道を行くガイドブックとして最適である。
・神田の老舗まつや店主・小高登志氏と、まつやと縁の深かった池波正太郎作品の脚色を数多く手がけた野上龍雄氏との特別対談を収録。池波正太郎の愛した蕎麦と蕎麦屋を語りつつ、旨い蕎麦の真髄をさぐってゆく。
◎こんな人にお薦め
・蕎麦と蕎麦屋についてうんちくを傾けてみたい方
・蕎麦屋でゆっくりと蕎麦とお酒を愉しみたい方
・日ごろ、蕎麦屋で飲むと高いなあと不満を持っている方
・おいしくてリーズナブルなお蕎麦屋さんを探している方
・デートや接待、友人との会食などに蕎麦屋を使いたいという方
上記内容は本書刊行時のものです。