発行:ポット出版
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四六判 224ページ 上製
定価:1,700円+税 総額を計算する
ISBN978-4-939015-37-3(4-939015-37-8) C0037
品切・重版未定
奥付の初版発行年月:2001年09月
書店発売日:2001年09月18日
紹介
全国の家庭に出向き、ひきこもりを外に出す実践を続けてきたタメ塾・工藤定次。診療室で治療に当たってきた精神科医・斎藤環。これまで対立していると見られる二人はこの対談で初めて出会った。そして、それぞれの“哲学”を背景に、ひきこもりの本質、ひきこもりにどう向き合うか、解決するにはどうしたらよいのか、ひきこもりの終わりとは何か、といった、ひきこもりをめぐるさまざまなテーマに対して、10時間以上にわたって激論を交わした徹底討論集。
目次
おそるおそるの依頼から 永冨奈津恵……003
●第1章 ひきこもりとの出会い………………012
●第2章 ひきこもりとは何か………………024
ひきこもりの分類をめぐって
いじめ・虐待によるひきこもり
ひきこもりにおける男女差
思春期の長期化
ひきこもりは「何」が問題なのか
ゴールはどこなのか
ひきこもりの生きる能力
●第3章 ひきこもりと親子関係………………072
第三者が介入するということ
「待つ」ことの必要なのか
訪問指導は親の怠けを生むのか
親が変わらなければ子は変わらない
親が変われないなら子を変える
●第4章 ひきこもりと援助活動…………108
佐賀バスジャック事件の問題点
訪問指導は「強制」なのか
訪問指導の実際
ひきこもりの援助をめぐって
精神医療の問題点
●第5章 ひきこもりと就労………………160
就労は目標になり得るのか
選びとるのは誰なのか
ひきこもりの自立率
ひきこもりに向く職種は
ホームレスでも自立なのか
対談を終えて
工藤定次………………198
斎藤 環………………206
対談に立ち会って 永冨奈津恵………………218
前書きなど
まえがき 永冨奈津恵
「ひきこもり」に関心を持つ人なら、この本を見てびっくりするんじゃないかと思います。「タメ塾の工藤さんと斎藤環さんが、ホントに対談したの?」。私も、最初は「この二人が同じ場で語り合うなんてあり得ないんじゃないか」。そう思っていました。
この二人を知らない人のために、どういう人なのかを簡単に説明すると……。
工藤定次さんは、東京都福生市で「タメ塾」(「タメ」とは、工藤氏の愛称)という共同生活寮と、その母体となる「青少年自立援助センター(NPO法人)」を運営しています。工藤さんの実践は、訪問指導(家庭に直接訪問し、時間をかけてひきこもりの人を外へ導き出すという、ひきこもり援助活動の一形態のこと)、共同生活寮の運営、就労トレーニングと多岐にわたっていて、こうした活動をもう二十年以上行っています。ひきこもり援助の先駆者と言っていいんじゃないでしょうか。「タメ塾とはどんなところなのか」を知りたい方は、『お〜い、ひきこもり』(ポット出版)を読んでみてください。タメ塾が行っている訪問指導の実際、寮生活の様子、さまざまな就労トレーニング手法、そして工藤さんがどんな考えを持って援助活動を行っているかがわかると思います。余談ですが、この本の制作を通じて、私ははじめて「ひきこもり」という存在に出会うことができました。
斎藤環さんは、「ひきこもりの第一人者」と言われることも多い精神科医です。著書である『社会的ひきこもり』(PHP新書)は「ひきこもりの入門書」として、ひきこもりの子どもを持つ親のみならず、ひきこもり援助者にも広く読まれている本です。斎藤さんは、勤務医として患者を診療するかたわら、テレビ出演や講演活動などひきこもりの啓蒙活動に熱心に取り組んでいます。「ひきこもりとは何なのか、どう対処すればいいか」が知りたいなら、『社会的ひきこもり』を読んでみてください。ひきこもりがどんどん長期化していくメカニズムがわかりやすく解説されていて、しかも日常生活での具体的な対処法もしっかりと書かれています。
「ひきこもり」の若者を家から連れ出し、寮へ入れ、労働の場に連れて行くというスタイルを取っている工藤さんには、本人の自主性や自己決定を無視する「こわもての民間援助者」というイメージがあるかもしれません。もっと言うならば、「ひきこもり」を商売にして、高額のお金を家族から巻き上げているんじゃないかという偏見もあるのではないでしょうか。一方、親を通じて「ひきこもり」の人が通院するよう導くというスタイルを取っている斎藤さんには、本人の「やりたいこと」をきちんと尊重し、その手伝いをしてくれる「良心的なドクター」というイメージがあるようです。
こんなにも両極端の存在として認知されている二人が対談する——だから、ちょっと驚くだろうと思うのです。(以下略)
版元から一言
本書では「ひきこもり」への自分勝手な解釈や思いこみ、べき論からでなく、15年20年という長い間の事実の積み重ねの上で語られている。議論は人をどう捉えるか、社会の中で暮らすこととはどういうことかにまで踏み込み、そこから「ひきこもり」を見つめ、解決の道を探ろうとする。それゆえに、最近の安易に論調や軽はずみな救済に
ついては厳しく、出口のない闇をさまよっているに違いない「ひきこもり」やその家族に対しては優しい。長い間、特別な支援もなく「ひきこもり」と向かい合ってきた二人にとって、さまざまな意味で「格闘」であったということを、感じてもらえるのではないかと思う。
発言の違いは、医師と民間という立場の差であり、それぞれのキャラクターの違いであることはもちろんだが、それだけでなく、30代後半の斎藤氏と50代前半の工藤氏それぞれが生きている“時代”が、安っぽい世代論としてではなく「哲学」ともいえる深さをもって、ときにぶつかり、ときに交差しているのである。
工藤氏と斎藤氏という“異色”の組み合わせによって、ひきこもりに対するアプローチの新しい一歩を拓くことができたのではないか、と思っている。
著者プロフィール
斎藤 環(サイトウ タマキ)
1961年、岩手県生まれ。筑波大学医学研究科博士課程修了。佐々木病院(千葉県船橋市)医師。専門は思春期・青年期の精神病理学、病跡学。精神科医の立場から「ひきこもり」問題の解決と啓蒙活動を続ける一方で、映画、漫画などのサブカルチャー全般についても積極的に発言している。主な著者に『社会的ひきこもり——終わらない思春期』(PHP新書)、『わかもののすべて——ひきこもり系VSじぶん探し系』(PHP研究所)、『文脈病——ラカン/ベイトソン/マトゥラーナ』(青土社)、『戦闘美少女の精神分析』(太田出版)、共著に『登校拒否のすべて』(第一法規出版)などがある。
工藤定次(クドウ サダツグ)
1950年、福島県生まれ。早稲田大学文学部、和光大学人文学部で心理学、社会学を学ぶ。
77年、友人から引き継いだ学習塾にサリドマイド児を受け入れたことから、不登校児、障害を持つ子供など、さまざまな子供たちを受け入れるようになり、塾名も自らのあだ名・タメをとって「タメ塾」と改名。78年に初めてひきこもりの子供を受け入れ、以後、ひきこもりが共同生活を行うための寮、働くための作業場、外に向けた啓蒙のためのシンポジウムなど、一貫してひきこもりの自立を促す環境づくりを行うとともに、ひきこもりを家の外に出すきっかけとしての訪問指導に力を注いでいる。著書に『おーい、ひきこもりそろそろ外へ出てみようぜ——タメ塾の本』(ポット出版)がある。
永冨奈津恵(ナガトミ ナツエ)
1970年、福岡県生まれ。フリーライター。『お〜い、ひきこもり そろそろ外へ出てみようぜ』(ポット出版)の制作に携わった1996年ごろ、はじめて「ひきこもり」という存在に出会う。共著である『ひきこもり[知る語る考える]』(ポット出版)をきっかけに、「ひきこもりを考える会」(当事者・経験者、親、支援者のミーティングに参加している。くわしくは、
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Icho/5353/
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