オリーブの島の盲導犬オルガ
土居 忠行
発行:吉備人出版
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四六判 320ページ 並製
定価:1,619円+税 総額を計算する
ISBN978-4-906577-39-2(4-906577-39-3) C0036
品切・重版未定
奥付の初版発行年月:1999年11月
書店発売日:1999年11月21日
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目次

 オリーブの島の盲導犬オルガ—目次
はじめに
プロローグ
 1 オリーブの島・小豆島しょうどしま
出会い——若子さんとオルガ  
 1 日本ライトハウス「和歌山行動訓練所」入所のあとさき 
  (1)盲導犬と暮らしたい 
  (2)藤川孝子さんとメロディー
  (3)「香川県盲導犬給付事業」に応募
  (4)「和歌山行動訓練所」に入所
  (5)若子さんとオルガとの出会い
  (6)お別れハイキング
生い立ち——瀬戸の真珠・小豆島の若子さん  
 1 若子さんの生い立ち
  (1)若子さん誕生
  (2)香川県立盲学校での寄宿舎生活
  (3)卒業、そして生きる力
パートナー  
 1 オルガの誕生
 2 パピーウォーカーとの出会い
 3 盲導犬になるために
 4 小豆郡土庄町伊喜末の自宅にて
    —訓練士のフォローアップ—
 5 「香川県盲導犬給付事業」による贈呈式 
 6 オルガの飼育と健康管理
 7 盲導犬に対する社会の理解
■ きずな——オルガとの四季  
 1 「島遍路」菜の花のころ
 2 オルガのしっぽ 
 3 観光客とオルガ
 4 初めての雪 
 5 家族のきずな
 6 オルガ、救急車に乗る
 7 オルガ、 「瀬戸大橋」を歩く
■ 共に歩む——ボランティア活動  
 1 ボランティア活動への歩み 
  (1)「サンサン祭り」への参加 
  (2)「点字サークルてんてん」の誕生
  (3)心身障害者小規模通所作業所「ひまわりの家」
  (4)「香川ハーネス」
  (5)オルガの名前入り表彰状
  (6)「かがわマインド」
  (7)ボランティア活動の体験発表 
 2 長栄ながえ照雄さんと高橋信一さんとの出会い
■ 引退、そして死——生きる力をありがとう  
 1 オルガの引退
 2 引退犬はどこへ行く
 3 植松さん、オルガの引き取りを申し出る
 4 新たな旅立ち
 5 徳島の田丸さん宅にて
 6 オルガの終末看護 
 7 オルガの死
■ 未来へ——共に生きる社会を目指して  
 1 二代目ローラと共にボランティア活動
 2 ローラ、リタイア
    —訓練所から大阪の梶田さん宅へ—
 3 三代目クイニーと共にボランティア活動
  (1)若子さんにクイニーが贈られる
  (2)啓発活動の学校訪問
  (3)「歩みの広場」に加入
  (4)京都における「講習会」
  (5)エキゾチック長崎—歴史の街を訪ねて— 
  (6)「あなたのパートナーETVささえあう暮らし」に出演     —長野への旅—
エピローグ
おわりに
《主要参考文献》
資料編
《資料》(1)〜(9)

前書きなど

 はじめに
 〈盲導犬は、最も犬らしくない生き方をしているのではないか〉
 と、常々思っていた。
 最も犬らしい生き方とは何か。人間と犬との、共生の歴史は古い。例えば一万年前の犬のように、人間と食料を奪い合うライバルとして生きることなのか。自由奔放に暮らしているように見える野良犬として生きることなのか。あるいはまた人間のペット(注1)として生きることなのであろうか。
 平成八年十二月二十三日の『朝日新聞』で、「ありがとうオルガ 香川県盲導犬給付事業第一号盲導犬 飼い主らしのぶ会」という記事に出会った。先月十日に亡くなった盲導犬オルガ(雌、十三歳十一カ月)をしのんで、オルガのユーザーの(注2)室崎若子さんら関係者五人が、二十二日「オルガをしのぶ会」を開き、思い出話に花を咲かせたというものである。これを読んで深く考えさせられた。
 私たち夫妻と、若子さんとオルガは、平成二年からの知り合いであり、私は勤務する高松短期大学の「社会福祉」の授業で学生に、盲導犬のことや若子さんの活動などについて、折にふれ話をしていた。
 平成四年十一月七日、高松市の総合福祉会館で開催されたボランティアの養成講座で、私が社会福祉について話をした時、若子さんはオルガと共に参加していた。最前列に座り、その足元にオルガが静かに伏せていた。若子さんはあまり目の不自由さを感じさせなかったし、オルガも落ち着いていて一種の風格をさえ感じさせた。
 〈さすがに専門的な訓練を受けているだけある。盲導犬って素晴らしいなあ……〉と感心したのを覚えている。
 現代社会において、最も犬らしい生き方とは、人間をライバルにすることでも、野良犬になることでもなく、やはり人間との共生であろう。それは結果として、人間のペットとして生きることを意味する。しかし、盲導犬のような社会性をもった厳しい生き方もあるのだ。
 〈盲導犬は、犬として最も究極の生き方をしている〉
 と、今はそう考えている。

 瀬戸の真珠・小豆島しょうどしまに住む、全盲の女性マッサージ師・室崎若子さんが、「香川県盲導犬給付事業」第一号の盲導犬オルガと共に暮らすようになる。それまで病弱であったが、オルガと生活を共にするようになってからは天性の明るさをますます発揮すると共に、体も丈夫になり行動範囲も広がっていく。その後、数々のボランティア活動にも積極的に参加するようになる。
 平成八年十一月には、障害者の「自立更生努力者」として、香川県社会福祉協議会(会長・六車むぐるま安助)の会長表彰を受けるまでに成長する。
 情報化社会の急速な発展の中で、若子さんたちが点字を通じて友達の輪を広げていくことを目的としたサークル「点字サークルてんてん」が「ふれあいてんてん」に発展し、「全国視覚障害者外出支援連絡会」(JBOS(注3))の「歩みの広場」に加入することによって、インターネットで全国のボランティアグループと結ばれ、さらに大きな活動の展望が期待されることになったのである。
 若子さんと共に暮らした盲導犬も、初代のオルガの引退後、二代目のローラ、そして三代目のクイニーへと引き継がれて現在に至っている。

 本書では青い国四国、瀬戸内海の風光明媚なオリーブの島の美しい四季、そして純朴で温かい人情などを織り交ぜながら、若子さんと盲導犬オルガの輝いた生き方をたどった。
 一人でも多くの人々に読まれ、盲導犬の役割、障害者の自立・社会参加、ボランティア活動、ノーマライゼーションとは、共に生きる社会とは、生きる力とは、などについて話し合う時の一つの素材にしていただけるならば幸いである。

著者プロフィール

土居 忠行(ドイ タダユキ)

 土居忠行 (どいただゆき)
 高松大学助教授。昭和九年、北海道旭川市生まれ。法政大学社会学部社会学科卒業。明治学院大学大学院社会学研究科修士課程社会福祉学専攻修了。社会学修士。国際短期大学助教授、高松短期大学教授などを経て、平成九年四月より現職。
 高松短期大学非常勤講師。吉備国際大学社会福祉学部非常勤講師。四国福祉専門学校非常勤講師。日本社会福祉学会会員。社会福祉法人香川いのちの電話協会監事。特定非営利活動法人香川県ボランティア協会監事。香川あすなろ協会理事。
 主要編著書=『児童福祉論』(共編著、相川書房)、『老人福祉論』(同上)、『社会福祉』(共著、学術図書出版)、『児童福祉』(共著、福村出版)、『社会福祉要論』(共著、建帛社)、『新版社会福祉原論』(共著、法律文化社)、『いのちの記念日』(共編、恒友出版)他多数。



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