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誰もが人間らしく生きられる世界をめざして 石田 雄(著/文) - 唯学書房
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誰もが人間らしく生きられる世界をめざして (ダレモガニンゲンラシクイキラレルセカイヲメザシテ) 組織と言葉を人間の手にとりもどそう (ソシキトコトバヲニンゲンノテニトリモドソウ)

社会科学
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発行:唯学書房
四六判
232ページ
並製
定価 1,900円+税
ISBN
978-4-902225-53-2   COPY
ISBN 13
9784902225532   COPY
ISBN 10h
4-902225-53-0   COPY
ISBN 10
4902225530   COPY
出版者記号
902225   COPY
Cコード
C1031  
1:教養 0:単行本 31:政治-含む国防軍事
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2010年2月
書店発売日
登録日
2010年2月18日
最終更新日
2015年8月22日
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紹介

貧困・抑圧・暴力を乗り超えるために
今、私たちは何をすべきか?
戦前・戦後を生きた政治学者が未来に托すメッセージ

新自由主義という病の蔓延は、日本社会に「貧困」という暗い影を落とし、多くの人を不幸の際に追い込んだ。日本はどうしてこのような破局を迎えるにいたったのか。本書では、「組織」と「言葉」を切り口に、その原因を探ると同時に、問題克服のための新たな方法を模索するものである。

目次

序章 誰もが人間らしく生きるために
 1 貧困を見えるようにした「派遣村」
 2 なお可視化されなかった現実
 3 派遣村の歴史的意義 1──消極面:構造的破局の象徴
 4 派遣村の歴史的意義 2──積極面:破局克服の萌芽
 5 社会科学者の社会的責任
 6 地域活動と世界的展望
 7 本書の課題と視角
 8 本書ができるまで

第1章 人間と組織
 1 組織は人間が作るもの──長い歴史の中で見ると
 2 評定から一揆までの伝統
 3 明治維新後の政治結社
 4 日本の近代的発展に関する両面的評価
 5 外見的立憲制下の組織──「上から」「外から」の導入
 6 明治末の組織再編──半官半民団体の利用
 7 昭和恐慌後の社会運動への対応
 8 占領改革後から高度成長期まで
 9 日本型近代化構造の終焉
 10 第二次世界大戦に至る破綻と戦後の破綻との違いと共通性
 11 日本全体の寄せ場化
 12 戦前、戦後に共通する組織構造
 13 戦後における新しい結社
 14 市民運動の登場とその意義
 15 人間運動の特徴

第2章 人間と言葉
 1 組織に対応した言葉の両面性
 2 文化接触と周辺からの問い直し
 3 明治初年の「自由」
 4 社会進化論による天賦人権論の否定
 5 明治憲法と教育勅語──二つの言葉
 6 二つの言葉を融和させる試み
 7 マルクス主義の歴史的役割とそれへの反動
 8 昭和恐慌後どのように軍国青年が育てられたか
 9 敗戦・占領と「配給された『自由』」およびその後
 10 60年安保と「民主主義」
 11 中曽根民活路線と「戦後政治の総決算」
 12 新自由主義における自由の意味
 13 新しい言葉をつむぎ出すために

結章 より人間らしい世界をめざし普通の市民は何をなすべきか
 1 課題の再確認──「人間らしく生きる」とは
 2 「普通の市民」の問題 1──「灰色の領域」
 3 「普通の市民」の問題 2──「他者感覚」
 4 人間らしい生き方を妨げるもの──貧困と暴力およびその関係
 5 人間らしい生き方を支える基盤──環境を大切にする持続的社会
 6 人間らしい生き方を促進する要因──教育とケア
 7 現在の政治社会情勢の中で何をすべきか

対談 辛淑玉×石田雄 抑圧された少数者の声は日本社会に届くのか?
対談 湯浅誠×石田雄 現場からの声で政治に何をやらせるか

前書きなど

 元来、この本を書く動機となったのは、派遣村で感じさせられた危機感にあった。軍国青年として育った私が、戦争末期に帝国陸軍の末端で深刻に体験した状況を思い起こされたからである。すなわち当時体験した権力組織の硬直化、腐敗による機能喪失と、その中での言葉の空洞化と類似した状況に今日われわれが直面しているように感じられた。
 そうだとすれば、戦後民主主義というのは一体何だったのか。(中略)一体何が変わり、何が変わらなかったのか。それを明らかにしたいというのが、この本を書こうとした最初の動機だった。(「あとがき」より)

著者プロフィール

石田 雄  (イシダ タケシ)  (著/文

1923年青森市生まれ。東京大学名誉教授。
「学徒出陣」から復員後、丸山眞男ゼミに参加し、1949年東京大学法学部卒業。同学部助手を経て、1953年東京大学社会科学研究所助教授、1967年同教授。1984年定年退職後、千葉大学教授、八千代国際大学教授を歴任。
その間、ハーバード大学、エル・コレヒオ・デ・メヒコ(メキシコ)、オックスフォード大学、アリゾナ大学、ダル・エス・サラーム大学(タンザニア)、ベルリン自由大学などで研究・教育にあたる。
軍国青年に育てられた過程を反省するため、明治期以後の政治思想史研究をはじめ、さらに政治過程そのものの研究に及ぶ。また、外国での教育の経験も生かして日本の政治の特徴と社会科学そのものの反省にまで至る。
【著書】『丸山眞男との対話』(みすず書房、2005年)、『一身にして二生、一人にして両身──ある政治研究者の戦前と戦後』(岩波書店、2006年)、『日本の政治と言葉(上)(下)』(東京大学出版会、1989年)、『日本の社会科学』(東京大学出版会、1984年)、『近代日本の政治文化と言語象徴』(東京大学出版会、1983年)、『現代政治の組織と象徴』(みすず書房、1987年)、『日本の政治文化』(東京大学出版会、1970年)、『破局と平和1941~1952』(東京大学出版会、1968年)、『平和の政治学』(岩波書店、1968年)、『現代組織論』(岩波書店、1961年)、『明治政治思想史研究』(未來社、1954年)など多数。

上記内容は本書刊行時のものです。