白須 富夫, 桜花 梅丸
発行:子どもの未来社
この版元の本一覧
四六判 272ページ 並製
定価:1,600円+税 総額を計算する
ISBN978-4-901330-70-1 C0037
在庫あり
奥付の初版発行年月:2007年07月
書店発売日:2007年07月25日
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紹介

〈本文より〉
今の教育現場は掻き回されてくたびれ果てています。ですから、「この状況に抗ってほしい」などとはとても言えません。せめて学校だけは、教師だけは、子どもたちのために、競争原理の流れから相対的に自由で安心できる存在であってほしいと願うだけです。心と体の健康あっての仕事です。疲れていると大切なものが見えなくなります。自分を見失っては子どもの指導はできません。遊び心や愛嬌がないと魅力的ではありません。愛嬌があるからこそ心を打ちます。

目次

第1章【何をくよくよ川端柳 子らの笑顔見て暮す】
●気をつかい背伸びするよりありのまま…教員大量採用時代今昔物語/日本の教師はマジシャン
●他人の目サーフィンしての自分流…教育の成果主義・評価制度を嗤う/職人肌と芸術家タイプ
●特色を求めた宴で画一化…こんな学校まっぴらごめん/〈特色ある学校づくり〉は墓掘り
●先生の本質探れば子ども好き…教育の根源って何だろう/「すいませんぱい」
●子どもらにつるべ取らせる学びかな…教材研究・収集/教師になくてはならない三つの資質
●「親学」に転ばぬ先に杖…教育再生会議のインテリジェンスと徳を疑う/緑のおばさん
●井の中に蛙飛び込むモラルかな…「うそニュース」が現実に/道徳を政の道具にする者たち
第2章【何を今さらそのその真面目顔 笑う門には福が来る】
●負うた子に原則は減速を教えられ…〈非勝三原則〉で家庭と学校に平和を/徳俵の思想に学ぶ
●五里霧中休む目線で霧晴れる…学校に行きたくない日対策/危険信号が出たらぐうたら生活
●無責任見方を変えれば責任感…ポジティブ・シンキングなんてしなくていい
●品定め腹八分目で友が出来…人間関係づくりは方法や質の前に量/土俵の下に埋まっている金
●リラックス月は東に日は西に…教師が遊べば子も育つ/酒飲み・お茶飲みおじさんに万歳!
第3章【何を悩んで苦渋顔なの 遊び心を見せりゃいい】
●友寄りて修羅場の陰に射す光…最も個人的なことは最も普遍的である
●子が育つ余裕を持った言葉かけ…子どものユーモア/子どもとの関係を駄目にする三原則
●力まない人林浴でポレポレ人…言葉の水面下の思い/人林浴のなかで子どもも教師も育つ
●教科書かスカスカですが任せなさい…なぜ勉強しなくちゃいけないの?/脳を新鮮に刺激する
●騙されて誘惑されて夢もあれ…エンターティナーに/〈子ども騙し〉ができれば教師も一流
●自明の理わかったつもりに落とし穴…教師の自明の理と子ども/わかったつもりで満足するな
●異化されたものの見方でふりーだむ…オカルトブーム/〈虚実皮膜〉に教育の実を見出す
第4章【何を怯えてのへっぴり腰よ 理なんかよりも親は情】
●人生は稼いで食って寝て終わる…子どもの胃袋をつかめ/朝の会の「私の話コーナー」
●おおらかにべきと現実を往来す…〈完べき主義〉/親との関係づくり—〈さわり〉教えます
●思い込み気づかなければ重いゴミ…大人気ないイチャモンを福となす/デジタルミステリー
●たまにはさ小粋なことも言ってみて…原因・責任の追及と解決策/人のB面を鋭く見抜く力
第5章【何を好んで教師業 三枚舌に二枚腰】
●あいまいな日本の私をやぶにらみ…学習指導要領の〈〜とともに〉/ダブルスタンダード
●その癖もパブロフの犬でごめんちゃい…なくて七癖、あって八癖/熱血教師に包容力あれ
●疑って言葉の魔術をあぶり出し…〈大切です〉語法使用禁止の令/形容詞・修飾語効果
●春過ぎてあなた任せの夏が来る…〈〜してほしい〉症候群の国/自作テストと市販テスト
●言霊のさきわう国に慣用句…言葉も世に連れ人に連れだが/教師のための〈謝罪力〉基礎講座

前書きなど

 〈世には教育万能論があって、何か社会におもしろくない事が起ると、すぐに教育者を責めるけれども、教育の力にもおのずから限りがある〉(河上肇『貧乏物語』)
 〈教育万能論者〉は多くないでしょうが、教育への期待はますます高まっています。それゆえに不満や批判が増えるのは致し方ないことです。しかし教師叩き、経済・ビジネスの論理に従属した政策と改革論議、そして繁文縟礼に、公立校の教師のほとんどはうんざりして口を閉ざしています。怒りと虚しさのなかで教育の未来に暗さを感じています。
 ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカなどの経済発展で競争が激化・深化し、資源のない日本にとって、国際競争に勝てる商品を創造できる人材なくして、今の豊かさを維持できないことは確かです。国内競争も熾烈で〈競争〉〈個性〉〈差別化〉〈成果〉という言葉が世の中を染め上げました。宗教的基盤がまだらな社会で、王様の代わりに強者や金持ちが威張るようになったらどうなるか、という馬鹿げた実験をアメリカに倣って試行中です。
 しかし、多くの人が脱落せざるを得ない社会に希望はありません。未来もない。市場原理主義の価値観一辺倒で進んだら、日本は取り返しがつかない状況になります。エミール・デュルケームの言う〈アノミー〉な、連帯感がなくなり、思いやり、やさしさ、情といった人間らしい気持ちが失われた社会になります。
 今の教育現場は掻き回されてくたびれ果てています。ですから、「この状況に抗ってほしい」などとはとても言えません。せめて学校だけは、教師だけは、子どもたちのために、こうした流れから相対的に自由で安心できる存在であってほしいと願うだけです。そこで、「健康を壊さないで」「どの子も見捨てないで」「遊び心と愛嬌を忘れないで」「二枚腰三枚腰で」などの思いを込めて、肩のこらない、屁の河童のような「教師論」「教育論」をエッセイ風に綴りました。
 心と体の健康あっての仕事です。疲れていると大切なものが見えなくなります。子どもがいてこその教師です。子どもを見捨てることは、仕事を見捨てることです。そして、遊び心や愛嬌がないと魅力的ではありません。人は賢さに感心はしますが、涙することはありません。愚かなところ、間抜けなところ、愛嬌があるからこそ心を打ちます。
 二枚腰三枚腰のしたかさ、タフさがないと潰されます。「美しい国とは〈左翼も労働組合もない、天皇制の伝統と文化を大切にする国〉と言ってくれれば、正直で凛としていてシ・ビ・レ・タのにね。とっても残念!」などと、茶目っ気たっぷりに愛嬌を振りまいて言えるくらいが調度よいところではないでしょうか。
 本書は二人のコラボレーションですが、お互いに自由気ままに書き、あえて統一性は求めませんでした。人間や教育と同様に、デコボコさと混沌性が味を出すのではないかと考えたからです。辛かったり、癖が強いもの、臭いものもあるかもしれませんが、少しでも気が楽になり、励みや元気の〈薬味〉になればうれしい限りです。

版元から一言

現場知らずになめられるな! 学びと遊び心、二枚腰三枚腰で平凡に生き抜け! 教師受難の時代を〈なんくるないさー〉=〈なんとかなる〉の精神、口八丁手八丁のしたたかさ、タフさで生き抜くための希望の教師論、これまでにない小粋な教師論です。気楽に寝転んで読んでください。きっと元気が出ます!
遊び心をちょっぴり発揮して、章タイトルは都々逸、大見出しは川柳ふうにつけました。

著者プロフィール

白須 富夫(シラス トミオ)

1950年東京都生まれ。小学校教師。阪神ターが—スファン。児童言語研究会会員。主な編著書に『1・2年生のぽれぽれ学級担任手帳』『3・4年生のどんとこい学級担任手帳』『5・6年生のよくばり学級担任手帳』(子どもの未来社)、『個性をみがき合う文学の授業』『今から始める一読総合法』(一光社)など。

桜花 梅丸(サクラバナ ウメマル)

1955年新潟県生まれ。編集者。好きな映画は「パピヨン」「ダイ・ハード」「めまい」、趣味は料理、渓流釣り、温泉めぐり。

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