発行:子どもの未来社
この版元の本一覧
新書 216ページ 並製
定価:800円+税 総額を計算する
ISBN978-4-901330-44-2(4-901330-44-6) C0237
在庫あり
奥付の初版発行年月:2004年07月
書店発売日:2004年06月23日
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紹介
多額の予算をかけて、教科書でも副読本でもなく、執筆者の名前さえ明らかでない不思議なプレゼント=「心のノート」が全国の小中学生に贈られた。子どもたちの心の教育の必要性が叫ばれ、道徳教育を声高に求める人たちもいるが、はたして「心のノート」は子どもの心を育て、「道徳」性を培うことができるものなのか?「心のノート」は子どもたちにどんな作用を及ぼし、私たちの学校と社会をどのような方向性に向かわせるものなのか。倫理学、教育実践学、子ども論、青少年政策の多角的な視点から、この「プレゼント」を吟味する。
目次
第1章 倫理的・道徳的成熟の分水嶺 岩川直樹
第2章 「心のノート」は対話を可能にする宝物となりうるか 越生 達
第3章 「心のノート」と今日の子ども・若者の規範意識 長谷川 裕
第4章 「心のノート」と「心の教育」のポリティクス 船橋一男
第5章 平和心理学から見た「心のノート」問題 杉田明宏
前書きなど
「心のノート」は「教科書」でも「副読本」でもない、正真正銘のプレゼントなのです。(中略)
ところで、プレゼントというものには、それなりの贈り方と受けとり方というものもあります。ふつうは、プレゼントを受けとったら「ありがとう」と言うのが礼儀です。しかし、いつもそうするのが正しいとか賢いとはいえません。たとえば、身に覚えもないプレゼントを突然もらったりした場合は、「えっ?」と戸惑うのが素直な反応でしょう。あるいは、いきなり「おめでとうございます! あなたが当選しました」という電話がかかってきたり、"This is a great present for you" などというタイトルのついた匿名のメールは、はじめからシャットアウトするのがいまや現代社会を安全に暮らすうえでの常識です。そういうプレゼントは受けとらないほうが賢明でしょう。(中略)
贈られて「ありがとう」と言うこともあれば、「え?」と戸惑うこともある。取り合わないこともあれば、きっぱりと辞退することもある。たとえ受けとっても、使うかどうかをふくめてそれをどう扱うかは自分で判断するもの。世の中の常識ではそれが「プレゼント」と呼ばれるものです。そのことはたとえ贈り手が国であっても変わりません。むしろ、国が子どもたち全員に贈ったプレゼントだからこそ、教師も親も市民もそのプレゼントをよく吟味したほうがいいはずです。このプレゼントは子どもたちどんな作用を及ぼし、私たちの社会をどんな方向へ向かわせるものなのかと。
ここでは、倫理学、子ども・若者論、教育社会学、教育実践の政治学、平和の心理学といった多角的な立場から、このプレゼントを吟味してみることにしました。みなさんが「心のノート」を吟味し、それに代わる道を探求するうえで、また、新自由主義や新国家主義に対抗する市民的知性のネットワークを張り巡らすために、この本がなにかのきっかけになればと思っています。
版元から一言
どう受け止めますか?全小中学校への国からの強引なプレゼントを。
著者プロフィール
岩川 直樹(イワカワ ナオキ)
教育研究者。1960年清水市生まれ。東京大学文学部心理学科卒業後、教育系の大学院を経て、現在、埼玉大学教育学部助教授。著書に、『〈私〉の思想家・宮沢賢治』(花伝社)、『総合学習を学びの広場に』(大月書店)、『人権の絵本第一巻:自分を大切に』『人権の絵本第二巻:ちがいを豊かさに』、『平和と戦争の絵本』(大月書店)、『学力を問う』(草土文化、汐見稔幸と共著)、『感情のABC』(草土文化)などがある。
船橋 一男(フナバシ カズオ)
船橋一男(ふなばし・かずお)
1959年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学大学院文学研究科博士課程中退。現在、埼玉大学教育学部助教授。生活教育、生活綴り方、生活指導の研究を主に手がける。日本生活教育連盟会員・フレネ教育研究会会員。著書に、『日本の生活教育50年』(学文社、共著)、『モラルエデュケーション』(八千代出版、共著)、『ことばが育つ教室』(つなん出版、近刊予定)などがある。
生越 達(オゴセ トオル)
1960年生まれ。84年東京大学法学部卒業、86年東京大学教育学部卒業、92年東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。現在、茨城大学教育学部教授。茨城県スクールカウンセラー。専門は教育方法学。
杉田 明宏(スギタ アキヒロ)
1959年生まれ。83年東北大学教育学部卒業、85年同大学大学院教育学研究科博士前期課程修了、91年同科後期課程単位取得。現在、大東文化大学文学部教育学科専任講師。著書に『平和を創る心理学』(ナカニシヤ出版、共著)など。
長谷川 裕(ハセガワ ユタカ)
961年生まれ。一橋大学大学院博士課程中退。琉球大学教育学部教員。教育社会学専攻。主な著書に『人間形成論の視野』(大月書店、共著)、『教員文化の日本的特性』(多賀出版、共著)などがある
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