発行:オフィスエム
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新書 192ページ 並製
定価:667円+税 総額を計算する
ISBN978-4-900918-77-1(4-900918-77-6) C0095
在庫あり
奥付の初版発行年月:2005年11月
書店発売日:2005年11月15日
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紹介
“産土の一茶”──小林一茶が詠んだ故郷、北信濃。最晩年の句帖から176句を読み解く。
一茶ほど時空を超えて、こんなにも無限に心を遊ばせた人は他にいない。己の子ども心を自由に遊ばせることができる天性の素質があった人なのだろう。(あとがきより)
目次
はじめに
文政五年/文政六年/文政七年
あとがき
前書きなど
はじめに
本書に取り上げた小林一茶の句は、『一茶遺稿 九番日記、其他』(荻原井泉水校訂・湯本五郎治編、春秋社刊、大正15年7月20日発行)を底本としている。
『九番日記』は、文政5(1822)年から文政7(1824)年にかけて書かれたもので、『文政句帖』ともいわれる一茶最晩年の句帖である。これを最初に紹介した束松露香は、『八番日記』(文政2年から文政4年)に継ぐ句帖と位置づけて、『九番日記』と呼んだ。一茶の弟子の湯本希杖、その子其翠(其秋)の子孫である十三代・湯本五郎治は、自家家蔵の稿本を、荻原井泉水の校訂を経て、大正15年の一茶百年忌を機に出版した。タイトルは露香の呼称を引き継いで『一茶遺稿九番日記』とした。『九番日記』は現在も、下高井郡山ノ内町の湯本家(現当主十四代・五郎治)の所蔵にかかわるもので、当家が開設する「一茶・井泉水記念館(湯薫亭)」に展示されている。
俳人小林一茶は、水内郡柏原村(現信濃町)の生まれである。その生涯は不運と波乱に満ち、ふるさと柏原の自宅に安住できたときは、すでに50歳を過ぎていた。15歳で江戸に出て、それからの長い修行の時期と放浪生活を経て、ようやく手に入れた終の棲家だった。
65歳で亡くなるまでの13年間は、柏原で妻を娶り三人の子をもうけるが、妻にも子どもたちにも相次いで先立たれ、64歳で後添いに迎えたヤヨが遺児を生むが一茶の亡くなった後である。そんな中にありながら、一茶は絶えず門人たちを尋ね、往来を重ね北信濃の各地をくまなくめぐり歩いていた。
文政5年の『九番日記』は「まん六の春となりけり門の雪」で始まる。一茶は60歳の還暦を迎えていた。
本書の編集にあたり、オフィスエムの村石保編集長が『一茶全集』(信濃毎日新聞社)と照合した際、思わぬ発見が多数あり、二書の相異をいくつか指摘された。だが私は、あえて大正版『一茶遺稿 九番日記、其他』の旧字、字足らず、濁点なしを底本とすることとした。
大正版『九番日記』を何回も読むうちに、ようやく読み取れたというものが多かった。そこには北信濃でしか分からない情景や方言、また江戸文化の世相や表現の面白さもあってか、次第にのめり込んでいった。間違った読み、誤った解釈をしているかもしれないが、私自身がそのときどきに共感を覚えて拾った一句である。これはささやかな「私の一茶」にほかならない。
私もこの地で育ったひとりである。一茶の句が、自然と自分の感性に合ってくる。ここに掲げた176句は、なんの脈絡も、テーマもあるわけではない。日常生活の中で、ふと人間的な情感に浸り、小さな生き物たちに心を寄せる、そんなときに出会う「産土の一茶」である。
一句の中には小さな物語があった。それは同時に、一茶の句を通して蘇ってくる私自身の物語でもある。
版元から一言
『北信タイムス』の人気連載「北信濃の詩」が一冊になりました。
関連リンク
小林一茶の代表句と生涯をつづる板画絵本
宮川洋一・著「教育長はきょうも大忙し」
著者プロフィール
宮川 洋一(ミヤガワ ヨウイチ)
昭和12年生まれ。他県で生まれ育つが、父親が長野県上高井郡高山村の出身であり、戦時中、6歳のとき中野市に疎開する。以後中野市に住む。
中野高校卒業、中野市役所に勤務し、平成8年退職する。
平成11年10月、中野市教育長に就任し、一期(4年)勤め、平成15年10月に退任する。
主な著書に『街の肖像<北信濃の風土に生きる>』(信濃毎日新聞)、『教育長はきょうも大忙し<そして、教育と地方行政を考えた>』(オフィスエム)がある。
現在、中野市内で私設「まちかど図書館」を開き、読書活動をはじめ地域文化振興に努める。
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