ふるさと飯山線
滝沢 豊満
発行:オフィスエム
この版元の本一覧
A5判変型 72ページ 並製
定価:1,714円+税 総額を計算する
ISBN978-4-900918-16-0(4-900918-16-4) C0072
在庫あり
奥付の初版発行年月:1998年04月
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紹介

田んぼに映る一両列車、雪と、土とともに暮らす人々の笑顔……。奥信濃から奥越後へ、千曲川・信濃川に沿って、山あいの村々を走るローカル線〈ふるさとのフォト紀行〉。

目次

桑名川 平滝 越後田沢〜越後水沢 青倉 足滝駅 信濃白鳥駅 戸狩野沢温泉〜上境 坪野 越後鹿渡駅 替佐〜蓮 上今井〜替佐 信濃平駅 越後田中〜津南 上境〜上桑名川 横倉駅 越後岩沢〜内ヶ巻 森宮野原〜足滝 津南〜越後鹿渡 越後鹿渡〜越後田沢 西大滝〜信濃白鳥 上桑名川〜桑名川 蓮駅 土市〜十日町 平滝駅 平滝〜横倉 森宮野原駅 雪坪

前書きなど

あとがき/滝沢豊満

 奥信濃・奥越後は幾重にも重なる山々に囲まれた国内でも有数の豪雪地で、手つかずの自然が四季折々に変化に富んだ美しさを見せてくれる所です。

 私が飯山線を運転するようになって何回春を迎えたことでしょう。豪雪地では、残雪が道の脇や棚田に背丈ほどあっても、満開の桜が春を告げてくれます。それを待ちかねたように周囲の山は一斉に芽吹きのときを迎えます。残雪と桜と新緑が、柔らかい陽射しに眩しく輝く春に一際感動をおぼえます。

 春霞みの中にかすかに見える集落の間を、JR飯山線の一両の列車がゆっくりと走って行く風景に無性に懐かしさを覚え、機会を作ってはこの沿線を訪れてみました。

 こんな春とは対照的に、この土地で生活する人々にとって、冬の豪雪は想像を絶する厳しさがあり、生半可な気持ちでは生きて行けない気がします。雪は主要道路や飯山線をたびたび閉ざしたことから、経済社会から取り残され、過疎、高齢化が進むことになりました。しかし、この土地に通ってみて、素朴で人情味溢れる人々からは、そんな悩みも見てとれず、厳しい自然の中で精一杯暮らす人々からは「人への思いやり」や「自然を慈しむ心」が感じられ、風景の美しさとともにいつしか私の心をとらえて離さなくなりました。

 日本の風景の美しさは、人々が自然の恵みを大切にしながら田や畑、山林をこつこつと手を加えることによってできてきたと思います。そこに人々の愛情が注がれることによって文化となり後世に伝えられてきたのだと思います。この地も例外ではありません。「過疎」という言葉のイメージからは想像もできないほど人々が生き生きと感じられるのは、村人たちが祖先から守り通してきた土地や文化がしっかりと後世に受け継がれてゆく自信から生まれたものではないでしょうか。

 人々の心の豊かさが自然を守り、自然が人々の心を育んでくれているようです。

 しかし、この豪雪地も数年前、国道が整備され高速道との連絡が良くなり、首都圏からでも日帰りコースになりました。それにともなって村おこしが盛んになり、豊かな自然を生かしたリゾート開発、スキー場、温泉保養施設等の開発も盛んになりましたが、開発によって物の豊かさを求めた結果、心の豊かさを忘れていく現実を見てきた私には、四季折々の自然の恵みを大切に生きてきた祖先の土地や文化が本当に生かされる開発であってほしいと願わずにはおれません。

 寒い夜、列車を待ちながら、夜空にきらきらと輝く星を見つめていると心が洗われてゆく思いがします。皆様もゆっくりとした時間の流れる飯山線を楽しんでみてはいかがでしょう。

版元から一言

本書の写真は、海外向け雑誌『PACIFIC friend A WINDOW OF JAPAN』(2000年5月号・時事画報社)で日本の代表的な原風景として紹介されました。

著者プロフィール

滝沢 豊満(タキザワ トヨミツ)

1951年生まれ。長野県更埴市在住。1969年国鉄入社。運転手として信越線、篠ノ井線、飯山線に乗務。現在、長野新幹線の運転士を務める。

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