発行:ボーダーインク この版元の本一覧
A5判 60ページ 並製
定価:1,000円+税 総額を計算する
ISBN978-4-89982-155-7 C0093
在庫あり
奥付の初版発行年月:2009年03月
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沖縄発の新進気鋭女性詩人の最新詩集。トウキョウとリュウキュウの空の下で揺れ動く風景とココロを描いた二十代の等身大の言葉たち。
一ヶ月
お世話になりました
緑の電車に一礼する
元気でな、また来いよ
羽田発那覇行
降り立った蘭の咲き乱れる空港
優しく見えないのは気のせいだろうか
窓辺から見た青空が
スタンドではなく、給油所
教習所ではなく、自練
正座ではなく、ひざまずき
かっこいいではなく素敵でもなく、上等!
翻訳せずにすむ気楽さ
訛りたいように訛ることのできる自由さ
自分と同じ苗字がそこらじゅうにある心強さ
だけど気付けば一人ため息をついている
電車で鎌倉小旅行もいいけれど
海が呼んでいる やんばるドライブ
「ハイサイ、グスーヨー、チューウガナビラ!」
ラジオからはごきげんDJの声
フーチバーそばを食べた帰り道
ソーキそばを食べたくなる
それでも気付けば一人ひざを抱えている
緑の電車に揺られた仲間たちは
私が毎日楽しく乾杯していると思っているだろう
だから手紙が書けない
メールが打てない
「毎日てぃーだ雨(あみ)が降っています」
特筆すべきことはこれくらい
いやいやこれでは通じない
「毎日天気雨が降っています」
まだ私は翻訳しているのだと苦笑する
車をとばし今日はKiroroを唄う
「帰る場所」はここのはずだが
誰が「お帰り」と言えば
心から「ただいま」と言えるのだろう
わナンバーが私の車を追い越していく
目次
詩集 ひとりカレンダー トーマヒロコ
トウキョウ・ガール★フロム・リュウキュウのうた
ひとりカレンダー
七月三十一日の手紙
翻訳
背中
線路に鞄
朝は誰かに
左側の人
カテイのうた
リュウキュウ・ガールのうた
一ヶ月
冬の花
細い糸
仕事始め
6.23×4
あとがき
初出一覧 参考・引用文献
前書きなど
ひとりカレンダー
五日には音楽雑誌を買う
ついでに洋服も見て回ろう
一六日には定期が切れる
そろそろ家賃を払いに行こう
二八日にはファッション雑誌を買う
もうすぐ通帳の数字が増える
あと何度繰り返せば君に会える?
君の目を見られる私になれる?
壁のカレンダーを睨む
散らかった六畳で、タバコの煙が立ち上る休憩室で
週末のアルコールに満ちた終電を降り
ふらふら歩く帰り道
君の声と訛りが聞きたくなった
取り出した携帯の画面をしばらく睨む
ボタンを押すことはなく
代わりに携帯を折りたたむパキッという音
見上げた空にはそれなりの数の星が光っている
版元から一言
著者は、学生時代より詩作活動を始め、精力的に詩集を発表している、新進気鋭の沖縄の詩人。沖縄の今を生きる二十代女性の飾らない感性から紡ぎ出された言葉は、読むほどに静かに染みていきます。トウキョウとリュウキュウ、埋められそうで埋まらない距離と生活と思想を見つめる詩集です。
ヘリの飛ばない静かな街から手紙を送ろう
生まれ育った島を出てもう四ヵ月
この街からふるさとを見てみたいと思ったのだ
しかしこの街からふるさとは遠くてあまり見えない
島からこの街を見ていた時は
そう遠く思えなかったのに
著者プロフィール
トーマ・ヒロコ()
トーマ・ヒロコ 1982年、沖縄県浦添市生まれ
沖縄国際大学総合文化学部日本文化学科卒業
沖縄国際大学文芸部のOB・OGで作る『詩誌1999』のメンバー
詩集『ラジオをつけない日』、エッセイ集『裏通りを闊歩』がある
ホームページ「リュウキュウ・ガールのうた」http://www.geocities.jp/tokyogirlfr/
ブログ「文化系★ふつうのおきなわ」http://tokyogirlfr.ti-da.net/
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