発行:日本林業調査会
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A5判 102ページ 上製
定価:1,905円+税 総額を計算する
ISBN978-4-88965-154-6(4-88965-154-3) C3061
在庫あり
奥付の初版発行年月:2004年12月
書店発売日:2004年12月10日
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京都議定書の発効(2005年2月)で森林の価値が根本的に変わる。「CO2世界市場経済」における課題を巨視的に分析した最新書き下ろし。
目次
はじめに 3
第1章 森林資源論再説 11
1.資源、商品、林業 11
2.森林資源の基礎構造 17
1 本性としての資源 17
再生資源 18
減少資源 18
2 属性としての資源 19
3.木材商品の基礎構造 21
1 林業商品 22
2 工業商品 25
4.日本森林危機説の検証 27
1 明治初期混乱期(明治元〜14年) 27
2 今次戦中・戦後期(昭和12〜29年) 29
付:属性資源の戦時利用例 36
第2章 森林と治山・治水3法 41
1.河川法、砂防法、森林法の成立 41
2.林業開発と河川 46
3.製材マニュファクチャーの生成 51
第3章 林業外部経済の内部化 61
1.自然保護・環境保全問題の生起 61
2.戦前期 63
3.戦後期 67
第4章 現段階の重要課題 71
1.持続可能な森林経営の指標 71
2.『京都議定書』と木材資源機能 74
3.擬制商品と森林環境ビジネス 80
補 章 屋久島国有林施業をめぐる諸問題——瀬切川右岸問題との関連で 85
前書きなど
著者は、これまでに 『森林資源論研究』(昭和54年刊)および『続・森林資源論研究』(昭和58年刊)を公にしている。その原点は、資源は商品ではない、資源の実体は使用価値であるの2語で、それを基軸として粗削りなものではあるがまとめた。以上の2著書をもってきわめて不十分なものながらも、『森林資源論』については終了したつもりであったが、そのごの20年の変化が改めて著者をこの課題に取り組ませることとなった。契機は、つぎのような新局面の展開、すなわち21世紀における世界気候政策ともいえる『京都議定書』の採択(1997年12月)にある。それは、地球温暖化問題が世界的大課題であることを説くとともに、森林資源論の領域に、新たにCO2排出量取引、すなわち森林樹木機能の擬制商品化という重要な新課題を持ちこむものであったからである。
現実の動きは速い。CO2排出量削減問題は、すでに当初の外交舞台からいまは森林環境ビジネスの渦中へと局面転換するにいたっている。したがって、旧2著の延長線上に位置づけてとり急ぎ執筆したものが、本著書である。
第1章は、旧著のくり返しであるが、資源・商品の両概念にかんする記述を欠いては、本書執筆着手の動機となったCO2の擬制商品問題を体系的に解明できないと考え、あえて再説した。第2章では、森林資源と自然水をつうじて直接的にかかわっている、治山・治水3法(河川法・砂防法・森林法)の成立事情とそれらの相互関係にふれたのち、河川と林業発展との関連、その過程における〈製材マニュファクチャー〉の生成を実証した。第3章は、木材問題にはじまり、さらにそのご木材資源問題に推移していったわが国の森林問題が、自然保護および環境保全問題の生起により、つぎの森林資源問題の段階に昇華したことをあきらかにしたものである。
さいごの第4章は、著者が現段階において重要課題と考えている3点を、爼上にのせた。もちろん、それらは根底では一筋でつながっている。第1点の〈持続可能な森林経営〉については、文言全体が盲目的表現で、そのため著者はレトリックと理解している。そのうえであえて文脈を忠実にたどったけっか、それは「木材自給率の向上」へと収斂するものと考えた。第2点では、京都でもたれた国際会議における決定が、樹木における光合成機能の擬制商品化であることをあきらかにした。さいごの第3点は、国際的に公認されたCO2排出量取引をめぐり、はやくも大資本による森林環境ビジネスの横行をみるにいたったことへの問題提起である。
これまでのべた事態は、木材をめぐる3問題(木材問題→木材資源問題→森林資源問題)を超えた、ポスト森林資源問題への入口到来かを思わせるものがある。なぜなら、これまでの3問題は、内容に差はありながらもあくまでも木材、すなわち本性資源をめぐる問題の変遷であり、また属性資源をも包括した森林資源問題も、もちろん資源領域のものであった。そのため、これまでの国際関係における森林資源問題にたいしては、すべて従来の延長線上でもって思考し、それに対応できた。だが、『京都議定書』における外交的取り決めの内容は、これまで拙著『森林資源論研究』で論じた商品範疇とは異なる擬制商品をめぐるもので、しかもそのもとでCO2排出量取引が全世界より容認され、いま残るは批准問題のみとなるにいたっているからである。
このような、21世紀の幕開けと軌を一にして生じた森林をめぐる地球規模の新課題は、従来のものとは規模・質ともにまったく異なり、 もちろん日本林業・林政にとってみても、たんなる外部経済問題ではない。すでに、世界の森林全体が環境ビジネスによる「CO2世界市場経済」の手にゆだねられていることから、その進行とともに林業秩序の撹乱や逆効果が十分に予想される。
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