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規律指導の再構築 大久保 正廣(著) - 櫂歌書房
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規律指導の再構築 (キリツシドウノサイコウチク) 学校教育と生徒指導のこれから

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発行:櫂歌書房
B6変形判
272ページ
並製
定価 4,800円+税
ISBN
978-4-88757-130-3   COPY
ISBN 13
9784887571303   COPY
ISBN 10h
4-88757-130-5   COPY
ISBN 10
4887571305   COPY
出版者記号
88757   COPY
Cコード
C3037  
3:専門 0:単行本 37:教育
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2008年3月
書店発売日
登録日
2010年2月18日
最終更新日
2015年8月22日
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紹介

「日本に独特の政治的・思想的な経緯と規律指導の構造に関する新たな視角からの解明。疎ましさの視線の中で、これまで共有の困難を極めてきた規律に関する指導の理念と実践を振り返り、規律指導の再構築を試みる。」

目次

Ⅰ 現代中学校教育における「規律」問題の研究

序章 研究の意義と視点および方法論 7
1.問題の所在 8
2.研究の枠組みと視点および方法論的考察 13
3.本研究の資料 24
4.先行研究の検討 26

第1部 「規律」問題への戦後における視角 39

第1章 教育運動における「規律」問題 
           ―――教研集会から全生研運動への展開――― 40
第1節 教研集会と全生研 41
第2節 「規律」問題の展開 41
第3節 「発展」の意味 43
第4節 第2版の意義と問題点 45
第5節 「適応主義」批判 46

第2章 教育政策をめぐる「規律」問題 
              ―――澤田慶輔と関連づけて――― 50
第1節 澤田慶輔と『手びき』 51
第2節 澤田慶輔における「規律」問題 51
第3節 手引書における「規律」問題 58
第4節 生徒自治への批判的視線と多元的指導 61

第3章 「規律」危機への認識と対応 65
第1節 校内暴力への認識と対応に関する言説 66
第2節 認識のあり方 67
第3節 対応のありかた 68 
第4節 マスコミ、国立研究所の場合 69
第5節 言説の齟齬と教育運動の優位 71
第6節 指導体制と連携の再構築 71

第4章 学校問題と「管理主義」言説 75
第1節 言説への着目 76 
第2節 「管理主義」の用語法 77
第3節 『日本の教育』における「管理主義」原因説の登場 78
第4節 『学級集団づくり入門』における言説の形成 79
第5節 学説としての「管理主義」 81
第6節 聖性としての「管理主義」言説 83


第2部 「規律」問題の戦後における諸相 86

第5章 「規律」問題における指導行為とその類型 87
第1節 「規律」問題における指導行為 88
第2節 「規律」問題における指導行為の類型 88
第3節 事例とその分析・考察 90
第4節 指導行為の類型とストラテジー 94

第6章 模索期における「規律」問題 96
第1節 戦後初期生徒会実践の再検討 
              ―――旭丘中学校――― 97
第2節 集団づくりの萌芽 
―――『おとなは敵だった』――― 104
第7章 隆盛期における「規律」問題 116
第1節 集団主義教育の原点 
―――『核のいる学級』――― 117
第2節 集団主義的生徒会自治の試み
―――『生徒会の自治をかれらに』――― 127

第8章 再編期における「規律」問題 139
第1節 非行と「規律」問題
―――『ブリキの勲章』――― 140
第2節 いじめと「規律」問題 
―――あるいじめ事件への接近――― 148


結章 今日における実践者組織と実践論
―――まとめと展望――― 169
1.戦後における「規律」問題 170
2.今日における実践者組織論 
―――スクールカウンセラーをめぐって――― 177
3.今日における懲戒論 188
4.新たな実践に向けて 195
5.おわりに 197

Ⅱ 台湾・韓国の中学校における規律の規定
1.はじめに 
2.台湾 
3.韓国 
4.台湾・韓国の中学校における統計 
5.おわりに

Ⅲ 中学校における組織的規律指導試論
1.はじめに 
2.報告書と教師用指導資料 
3.校内暴力への新たな組織的対応 
4.今後の課題と試案 
<参考資料>

あとがき
主要参考文献・資料一覧

前書きなど

本書は、これまで共有の困難を極めてきた規律に関する指導の理念と実践を振り返り、規律指導の再構築に向けて小さな一歩を踏み出そうとする試みである。これまでの流れでは、規律指導は対症療法的なもので教育的ではないものと捉えられがちであり、或いは国家や社会との関わりにおいて抽象化、観念化され、学校の実践においても反教育的なものとみなされがちな面があった。また、さらに極端な場合には、学校における病理現象の主たる原因として取り上げられる傾向さえあった。こうした規律指導への視線に関わって、本書でその詳細を明らかにしたいが、なりより戦後の日本に独特の政治的・思想的な経緯も規律に関する指導の溝を構造的に深めた。
勿論、今日の学校の病理現象に関しては様々な背景があり事態の打開への道筋は容易ではないが、事態を混乱させてきたひとつの背景に、共通認識の上に立つ規律指導論のこのような不在があげられる。義務教育を中心とする校内暴力、いじめ、授業の不成立等、ほとんど改善の兆しのみえないいわゆる学校問題に関して、規律指導に関する緊急な対策が必要であり続けたにも関わらず、いまだ共有された方向性はみられない。
書名にも使用しているここでの「規律指導」は、児童・生徒の学習や生活にとって相互に必要となる社会的な規範の内面化や維持に関する極めて実践的な指導である。少なくとも今日はっきり言えることは、こうした意味での規律の確立は学校教育の基盤であり、それなしには児童・生徒の学習も生活も成立しない実践的な指導の在り方こそが、暴力を目前に改めて今ここで問われているということである。そうした意味でこれまで以上に規律指導を生徒指導の中核に位置づけ、共通認識の下での規律指導論を確立し、制度を含めた規律指導の再構築を図ることこそがなにより切実な課題となる。この課題の共有については、本書にも示すように、欧米先進諸国は勿論、都市化された周辺諸国においてもはるかにぶれが少ないように思われる。
・・・略・・・
いずれの場所にいるにしろ、教育を論ずる限りこれまで以上に何らかの荷を背負う姿勢がもはや欠かせない。非力は否めないが、本書がいくらかでも捨石となり、規律指導の再構築に向けて、一日でも早く共通認識に立つ規律指導論が確立されることを願っている。

著者プロフィール

大久保 正廣  (オオクボ マサヒロ)  (

1954年生まれ、長崎大学大学院・福岡大学大学院修了、博士(教育学)。
2008年現在、福岡大学人文学部教育・臨床心理学科准教授。

上記内容は本書刊行時のものです。