柳宗悦と近代さまよえる工藝
土田 眞紀
発行:草風館
この版元の本一覧
A5判 340ページ 上製
定価:4,800円+税 総額を計算する
ISBN978-4-88323-173-7 C3070
在庫あり
奥付の初版発行年月:2007年09月
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紹介

近代という時代を映し出す鏡としての「工藝」
純粋美術としての絵画・彫刻より低位におとしめられた陶器、漆器、金工、染織等の諸分野の工藝で活躍した板谷波山、武田五一、浅井忠、神坂雪佳、藤井達吉、津田青楓、富本憲吉、今和次郎、広川松五郎、高村豊周たち、絶望から出発し、近代工藝を模索する彼らの悪戦苦闘の軌跡を検証。また1900(明治33)年のパリ万国博覧会の前後に移入された、工藝図案の再生への出発となるアール・ヌーヴォーの意義を分析。さらに日本近代における唯一といえる体系的な工藝をめぐる柳宗悦の思想が誕生した経緯を歴史的な文脈のなかでその中身と意味を検討する

目次

序──「非・近代」的な工藝の「近代
第一章 明治・大正の工藝図案──図案の「藝術化」をめぐって
『器物図集 巻三』と板谷波山のアール・ヌーヴォー/武田五一とその周辺──京都の工藝界との関わりを中心に/明治30年代京都の図案集と「図案の藝術化」/「図案」の手触り──神坂雪佳と図案集『百々世草』/「日本のアール・ヌーヴォー」再考/「模様」の近代──『富本憲吉模様集』の意味 
第二章 変容する近代工藝──1910年代から1930年代へ
工藝の個人主義──1910年代の工藝/薊のモティーフと1910年代の工藝/工藝の在処をめぐって──1920年代の工藝/1920年代の染織──近代工藝史をどう捉えるか?/工藝の「伝統」をめぐって──1930年代の工藝
第三章 柳宗悦と「工藝」の思想

前書きなど

筆者自身はこの本に辿りついて、「工藝」の領域こそが包み持つ価値がどれほどかけがえのないものであるかをようやく心の底からわかるようになった。同時に、その価値を体現している一つ一つの「もの」やわざ技、つくり手のあり様をはじめ、この領域を真に担い、支えてきた有形無形の人やものについて、すなわち「工藝」そのものについては実はまだ何も知らないということを一層実感せざるを得なくなった。研究というスタンスにも果たすべき役割があると思うが、「工藝」が人間の実践的活動に関わる領域であるかぎり、その現場こそを最も大切にしなければならないと痛切に感じている。今後は「もの」が生まれ出る現場のみでなく、「工藝」に関わる様々な現実の場所に足を運び、そこに携わる方々の話に耳を傾け、「工藝」そのものの世界に少しでも近づいていきたいと思う。

版元から一言

『朝日新聞』書評◎◎2007年5月6日付◎山下範久(立命館大学准教授)
本書は、日本における先住民族としてのアイヌ民族を主体として書かれた、初の本格的な通史である。アイヌ史研究の大家渾身の作品は、その刊行自体がひとつの事件として画期的だ。
 本書には傑出した三つの特色がある。第一は、アイヌ民族を日本における先住民族のひとつとして明確に位置づけたうえで、古代から現在までの歴史を一貫して叙述しているととである。これは、アイヌ民族の固有の経験を、他の先住民族問題と共有・分有されるべき普遍的問題意識へと接続する重要な作業である。
 第二は、アイヌ民族を主体として、その和人(および日漆国家)との関係が描きなおされたことで、日本史の側にも新鮮な展望が与えられていることである。ロシアや中国をはじめ、極東の諸民族を含めた北東アジア関係史の構図が立体的に浮かび上がる叙述は見事である。
 第三は、全編を貫く血の通った筆致の読みやすさである。読者はそこに、歴史家が史料を扱うたしかな手さばきを感じられるであろう。二段組みで六〇〇ページを超える大部ながら、本書には、読む者にページを操る手を止めさせない力が宿っている。広く読まれるべき作品である。

著者プロフィール

土田 眞紀(つちだ まき)

1960年、大阪生まれ。大阪大学文学部美学科卒業。大阪大学大学院文学研究科西洋美術史専攻博士課程単位取得退学。三重県立美術館学芸員(1987〜1999年)を経て、現在、帝塚山大学人文科学部および大阪成蹊大学芸術学部非常勤講師。第10回倫雅美術奨励賞受賞。専門分野は柳宗悦を中心に東西の近代工藝・デザイン史、工藝論。本書収録以外の論文に「ヴァン・ド・ヴェルドと線の装飾」(『「ヴァン・ド・ヴェルド展」図録』、東京新聞他、1990年)、共著に『近代日本デザイン史』(美学出版、2006年)、展覧会企画に「20世紀日本美術再見I」展(三重県立美術館、1995年)、「柳宗悦展」(三重県立美術館、1997年)他がある。

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