女曲馬師の死
ギュンター,E.(エルンスト), 尾崎 宏次:訳
発行:草風館
この版元の本一覧
四六判 290ページ 並製
定価:2,500円+税 総額を計算する
ISBN978-4-88323-095-2(4-88323-095-3) C0076
在庫あり
奥付の初版発行年月:1997年06月
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紹介

「サーカスはもっとも美しい遊戯である」。サーカス史のなかの色々な出来事やエピソードを極彩色に描いた曲馬と曲芸極彩色物語集。

目次

1 雇い主の逮捕
2 詩人と猛獣使い
3 賭けごと
4 あほうな仕立職人
5 女曲馬師の死
6 ナイアガラ滝の女工
7 カンカンの競演
8 エルヴィラ・マディガン—或いは幸運の果て
9 陪審員の判決
10 女ともだち
11 道化たちの決闘
12 腕をなくしたヴアイオリン弾きの夢
13 カフェで朝食をとる獅子
14 シユウクス酋長さいごの日
15 ヴィネタの沈没—リングの海の中で
16 自由の女神にハンカチーフ
17 深夜のミステリー
18 鉄の手を持つ男
19 火事だ!
20 “民衆は何か噂をはじめるにちがいない”?
21 踊る皿
22 曲馬と将官
23 にせもののオイディプス
24 ブラヴオ、シスターよ!
25 まだ郵便はこないのか?
26 もしもフェーン(南風)がきたら
27 妙技とは幸運のことである
28 ブンテの後継者
29 勇敢な“歩兵”
30 十月のある日曜日
31 “ズブロフカ”のレッテルが生きていたように
 ——或いはある“気のふれた”男の生涯にまつわる四   つのエピソード
32 サーカスのオスカー賞
33 イルカのお話
解説にかえて——「サーカス物語」、その後 大場仁子

前書きなど

日本経済新聞 1997.3.16
欧州サーカス史を短編で俯瞰
 ヨーロッパのサーカスの歴史をつづった本が、どれだけ紹介されているものか、くわしいことはまるで知らないのだが、訳者が「あとがき」で言っているように、「こんな方法で書いたのは珍しい」し、おそらく今後もないだろう。おさめられている33話のそれぞれが、上質のコントか洒落た短編小説の趣きなのである。しかもそのいずれもが、歴史にあらわれたほんのディティールにすぎないエピソードを扱いながら、時代が見え、世態風俗が匂い、ひとのこころが写されて、33話を通読することによって、いつの間にかサーカスという世にもまれなるスペクタクルな総合芸術の全体像を俯瞰(ふかん)していることに気づかされるのだ。
 本書の著者はボヘミア生まれのジャーナリストで、空中ブランコやパントマイム、サイレント・クラウン、司会などで舞台に立った経験をもっている。大道芸の寄せあつめと見られていたサーカスを総合芸術に仕あげたサラザニの研究者としても知られているそうだが、ひとびとを魅了してやまないサーカスが内包している知的な部分に、鋭い嗅覚をはたらかせてみせる。
 訳者は、あのベルリンの壁が崩壊する寸前の東ベルリンの書店でこの本に出合い、「たのしみながらこつこつ訳していた。訳しておけば、いつか陽の目をみるときがあるだろうと思っていた」という。いい本が世に出る理想のかたちのひとつがここにあるように思われる。

著者プロフィール

ギュンター,E.(エルンスト)(ギュンター,E.(エルンスト))

本書の著者のエルンスト・ギユンターは1938年ボヘミア地方(現チェコ)で生まれた。祖父は高綱渡りアーチストだったが、第一次世界大戦後、地主となり市民生活に入った。父親は左官として独立した。祖父の影響からエルンストは高校時代一丁プランコ(空中プランコ)を習いヴァリエテに出演していたが、落下事故の後パントマイム、サイレント・クラウン、司会などで舞台に出演していた。同時に脚本や監督のアシスタントもしていた。子供のころから小説を書くことが好きで、1958年ジャーナリストとして仕事をする決心をした。最初は「ザクセン日報」に在籍し、サーカスやヴアリエテを中心に文化面・地方面の記事を書きチーフレポーターにまでなつた。著作活動とともに、定期的にドレスデンのカフェ・プラハ(カヴアレツト)の批評も書いていた。1977年「ザクセン日報」を退社、フリーの記者として記事を書きながら著作活動、ドキュ
メンタリーやショーの脚本を手がけたり、アーチストのショーの演出指導をする機会がさらに増えた。
 本書は、1972年から1974年にかけて書かれたもので、東独時代の作品になる。そのころの東独では、サーカスは家族みんなで、世代を越えて楽しめるただ一つの娯楽芸術だった

尾崎 宏次(オザキ ヒロツグ)

1914年東京生まれ。東京外国語大学ドイツ語学科卒業。都新聞(現・東京新開)文化部記者。54年以後、演劇評論家。1999年死去。
著者に『新劇の足音】『日本のサーカス』『明日の演劇空間』『演劇における時間』『蝶蘭の花が咲いたよ』ほか多数。

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