浅川巧全集
浅川 巧
発行:草風館
この版元の本一覧
A5判 816ページ 上製
定価:24,000円+税 総額を計算する
ISBN978-4-88323-092-1(4-88323-092-9) C3323
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奥付の初版発行年月:1996年06月
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紹介

民藝運動の柳宗悦に大きな影響、「浅川巧」の全容明らかに 草風館から「全集」刊行
 朝鮮の陶磁器と朝鮮民族に対する深い理解を通じて民藝運動の創始者・柳宗悦(1889〜1961)に大きな影響を与えた浅川巧の著作を集めた『浅川巧全集』(高崎宗司編)が刊行された。新発見の日記や柳あての書簡なども収録しており、民芸運動の原点に光を当てるとともに、近年再評価されている浅川の人と思想を一層クローズアップするものになりそうだ。
毎日新聞1997年1月7日付(夕刊)

目次

■内容■【日記】大正11年(1922)1月〜12月/大正12年(1923)7月・9月【書簡】柳宗悦宛六通・浅川政歳宛四通・浅川咲ほか宛17通【論考】林業関係・工芸関係【随想】金海・水落山・北漢山一周・朝鮮の漬物・副業品共進会朝鮮少女・子犬 ◆名著復刻【朝鮮の膳】【朝鮮陶磁名考】 解説/高崎宗司/浅川巧年譜

前書きなど

時代が共鳴する生き方
 浅川巧をめぐる一般の関心は年毎に広まっている。今年に入ってもNHKが教育テレビの日曜美術館で浅川巧を放映した。山梨放送が五月に、昨年高根町が行なった日韓合同追慕祭のことを中心にドキュメンタリーを放映した。この秋には山田太一がやはり浅川巧についてのドキュメンタリーを放映するようだ。東京の大劇場が上演する情報にいたっては、私としても大変関心がある。
 浅川巧への関心がたかまるのはたとえば彼に関する研究や、さまざまな出版が行なわれることと同時に、私は複雑なこの時代の状況と深くかかわると考える。たとえば現在の見通しのない底無しの不景気と政治家をはじめとする官界の汚職、いじめ不登校など教育問題、さらにオウム事件、神戸の少年事件など創作の世界をこえるような事件に取り囲まれた世紀末の時代。この時こそ浅川巧のような高潔純粋な生き方、考え方に人々は安堵し共鳴するのではないだろうか。
 その意味でも高崎宗司氏の「朝鮮の土となった日本人」がさらに増補改訂されたことは喜ばしい。この本は同氏の「浅川巧全集」とともに、浅川巧研究にはどうしても欠かせない著書である。ここには昨年の日韓合同追慕祭をはじめ、前回出版されてから以降の一五年間に新たにわかった浅川巧にかかわる資料が引用されている。その中に「浅川巧全集」や『芸術新潮』の特集「李朝の美を教えた兄弟、浅川伯教と巧」などを著者はあげている。
 改訂版はそれらの新しいいろいろな資料が豊富で、特に参考文献などくわしく調査されていて貴重である。これからもこれらを参考にさらに研究が進められるであろう。浅川巧の人柄などきめこまかくわかる貴重な「浅川巧日記」からの引用も多く、著者が「増補改訂に際して浅川巧に関する逸話をできるだけ多く紹介することにした」ことがわかる。
 山梨県人はとかく甲州商人とか甲州選挙などマイナーな言い回しにはことかかない。だからこそ浅川巧のような高潔な人物が山梨県の出身であることを若い世代に伝えたい。したがってダイジェスト的に浅川巧がわかるこの本こそ、どの家にも一冊は備えたい名著と言えよう。水木 亮「山梨文藝協会報」第6号 1998年8月31日

著者プロフィール

浅川 巧(アサカワ タクミ)

◆浅川巧小伝◆浅川巧は明治二四年(一八九一)山梨県北巨摩郡甲村(現・高根町)に生まれ、農林学校を出て、大正三年、兄伯教のいる植民地朝鮮に渡った。朝鮮総督府農工商部山林課の林業試験場に勤務しながら朝鮮人と交わる。禿げ山の多い朝鮮の山を緑化するために土壌に合った樹木の研究・育成に努める合い間に、朝鮮の民間の工芸品(のちに柳宗悦により「民藝」と称される)の価値を発掘し、柳とともに朝鮮民族美術館を設立する。乏しい給料から朝鮮人の子弟に学資を人知れずに援助したり、民間の忘れられている工芸品の名称や地方の陶磁器の窯跡を探索する行為は、「清貧に安んじ、働くことを悦び、郷党を導くに温情を以てし、村事に当つて公平無私」(浅川兄弟の祖父)だった類い稀な日本人であった。安倍能成をして、巧の死を「朝鮮の大なる損失であることは勿論であるが、私は更に大きくこれを人類の損失だといふに躊躇しない」と言わしめた、四二歳の短い生涯を閉じたが、墓地に埋葬する際に村の多くの朝鮮人に担がれて運ばれた。植民地下の朝鮮に生きて、朝鮮(文化)と朝鮮人を愛し、また朝鮮人からも愛された希有な人物が残した全資料を能う限り集めて一書とした。

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