冤罪・布川事件崩れた自白——無罪へ
布川事件弁護団:編
発行:現代人文社
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A5判 56ページ 並製
定価:800円+税 総額を計算する
ISBN978-4-87798-335-2 C0036
在庫あり
奥付の初版発行年月:2007年03月
書店発売日:2007年03月15日
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紹介

強盗殺人で無期刑。自白と目撃証言が有罪を導いたが、矛盾点が次々と明らかになった。地裁で再審開始決定が出たものの、検察側の即時抗告で舞台は高裁ヘ。

目次

【はじめに】なぜ? あなたにも考えてほしい 櫻井昌司(冤罪・布川事件 再審請求人)
【1】再審開始決定ーー布川事件
布川事件とは/第2次再審請求での争点/開かれた扉ーー再審開始決定
【2】どうして冤罪が!? 
自白は証拠の女王!/自白の製造工場、「取調室」/恐怖の取調べーー「獄中日記」より
【3】自白崩れる!ーー破られた再審の壁
隠されていた証拠ーー第三者の影/作られた自白/再現実験により明らかになった自白・目撃証言のデタラメ/殺害方法のナゾーー自白崩壊への扉/とうとう破られた再審の壁
【弁護団からのメッセージ】無実の者に無罪の判決を 柴田五郎(布川事件弁護団長)
略年表
布川事件についてもっと知りたい方へ
【おわりに】真実を真実と認めてほしい
   杉山卓男(冤罪・布川事件 再審請求人)

前書きなど

なぜ?--あなたにも考えて欲しい
    櫻井昌司 (冤罪・布川事件 再審請求人)
 「再審を開始する」。
 強盗殺人犯にされて38年目、私たちは身の潔白を証す足掛かりを得た。ウソの自白をさせられてからは39年目の秋だった。
 1967年10月10日、窃盗犯として逮捕されたはずの私は、夢にも思わなかった殺人事件の犯人にされ、しかも無期懲役囚としての刑務所暮らしまで体験した。再審開始決定を受けて今、この39年間の経過を思って出てくる言葉は、「なぜ? なぜなんだ!」に尽きる。
 39年前、20歳の私は全く勤労意欲が無く、ギャンブルが好きで盗みをした。それで逮捕されたとき、総てをやり直すしか無いと思って取手警察での取調べを受けた。でも、窃盗の調べはおざなりで、玉村さんが殺された事件の調べが中心だった。勿論、アリバイは思い出すまま正直に話したが、刑事は「裏付け捜査で違うと判った」と言った。
 今なら、警察は嘘つきで、自分たちが信じ込んだことのためなら証拠のデッチ上げすらもする組織だと判っているし、絶対に信じないが、当時は違った。清廉潔白、正直な人たちの集まりが警察だと信じていたから、まさか裏付け捜査もしないで、「アリバイはウソだった」と言うとは思わなかった。
 真実のアリバイをウソだと思わされたせいで、身の潔白は証明できない、無実を証明できないことでの犯人扱い! これが苦しかった。苦しみに立ち向かって努力したり耐え忍んだ経験も意志も無く、ただ目の前の楽しみだけを追い求めて生きていた私は、とにかく目の前の苦しい取調べから逃れたい一心で、「殺しました」と認めてしまった。でも、まさか、この一時逃れの「自白」によって、その後30年に及ぶ獄中生活と、今日まで続く冤罪生活があろうとは、それこそ夢にも思わなかった。
 この本を読まれる人も、「なぜウソで自白が出来るの?」と不思議に思うに違いない。かく言う私も、自分で体験するまでは、「ウソの自白など有るはずは無い」と確信していた。ところが簡単だった。やったとウソでも認めてしまえば、もう否定はできないのだから、現場見取図を持った刑事の尋問に乗り、「前だ、後だ、左だ、右だ」と犯人を装って答えを重ねれば、誰でも犯人になる。少し警察の実態を知った人ならば、この経過は理解できると思うが、残念ながら裁判官は違う。小さな頃から優秀、秀才。努力して司法試験を通り、弱い人間を知らない裁判官は、ウソの自白をしてしまう人間の弱さも理解しない、できないのだと思う。しかし今度の再審開始決定は、警察のウソや誤りを正しく判断してくれた。
 有罪にされた裁判でも訴えてきたことを、やっと正しく認めてくれたのだが、警察が私たちを犯人にするために行った犯罪行為は、数限りが無い。まずアリバイ主張をウソで否定した。嘘発見器にかけて「ウソと出た」と出鱈目を言った。次に目撃証人をでっち上げた。有罪にするために「自白テープ」を改ざんした。そして裁判では徹底的に偽証をして、私たちを思惑通りに有罪にした。
 私たちは「自白」だけを根拠に有罪にされた。その「自白テープ」が改ざんされたのだ。なぜ私たちが犯人にされたのか、このことだけで布川事件の真相を語るのに充分ではないのだろうか。これ以上、何を重ねて語る必要があるだろうか。
 もし39年前、今度の再審請求で提出された証拠が公開されていたなら、絶対に私たちは有罪にはならなかったと思う。無実の証拠は39年前から検察官が握っていた。ただ法廷に出さなかっただけだ。
 もしあなたが私の立場だったら、このような検察の証拠隠しを許せるだろうか。
 冤罪は沢山ある。今もなお、警察の不法で不当な捜査によって、無実の人が犯人にされる例が跡を断たない。更に検察は、その警察の誤った捜査を追認するばかりなのだ。布川事件での証拠隠しに反省する気配も無い。もしこのままならば、今度は裁判官だけではなく、今度は一般の人が「冤罪作り」に加担させられることになる。もうすぐ裁判員制度が始まるからだ。
 やっと真実が通りそうな布川事件だが、なぜ警察は証拠をでっち上げるのか! なぜ検察は証拠を隠すのか! なぜこんなこと許されるのか! 再審開始になって、改めて納得できない思いに満たされている。
 皆さんにも、私の「なぜ?」を一緒に考えて頂きたいと思っています。

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