発行:現代人文社
この版元の本一覧
A5判 208ページ 並製
定価:2,500円+税 総額を計算する
ISBN978-4-87798-301-7(4-87798-301-5) C2032
在庫あり
奥付の初版発行年月:2006年06月
書店発売日:2006年06月12日
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紹介
被疑者・被告人を身体拘束から解放するために、弁護人は何ができるのか。事例を基に検討する。長期勾留を経験した、安田好弘弁護士のロング・インタビューも収録。
目次
期成会実践刑事弁護叢書発刊にあたって
はじめに
シミュレーション●ある勾留請求却下事件
〔初 日●土曜日〕
◎状況確認
◎弁護方針
◎身体解放のための攻防
〔2日目●日曜日(祝日)〕
◎人事を尽くす
〔3日目●月曜日(振替休日)〕
◎釈放
◎釈放後
◎おわりに
被疑者・被告人の身体拘束解放手続案内
1 接見に臨むにあたって
(1)接見時に聴取すべき事項
(2) 弁護人への連絡の徹底
(3) 接見交通権の重要性
(4)接見妨害への対応
2 拘束からの解放にむけて —— 勾留前
(1) 逮捕時の「準抗告」
(2) 勾留請求の阻止
(3) 裁判官に対する交渉申入れ,意見書の提出
(4) 勾留請求時における被疑者との接見
(5) 勾留質問の際の立会い
3 拘束からの解放にむけて —— 勾留後
(1) 勾留状謄本交付請求
(2) 勾留に対する準抗告
(3) 勾留取消請求・勾留執行停止
(4)勾留延長時
(5)勾留理由開示請求
(6)不起訴の要請
4 保釈
(1)公訴事実を争っていない場合の保釈請求の準備
(2)公訴事実及び関連事実を争っている場合
(3)保釈保証金の準備
(4) 保釈許可請求書の提出
(5)裁判官面接
(6)保釈許可決定後の手続
(7)検察官が保釈許可決定に対して準抗告をした場合
(8)裁判所から保釈に関して付される諸条件について
(9)保釈許可請求却下決定に対する準抗告
(10)第1回公判後の保釈請求
(11)第1審実刑判決後の対応
(12)保釈時の出迎え
5 各種書面の提出先
(1)勾留決定,勾留延長決定,保釈却下決定に対する準抗告申立て
(2)勾留取消請求,勾留理由開示請求
(3)勾留執行停止申立て
(4)保釈許可請求
勾留・保釈 Q&A
Q1 被疑者の家族から逮捕直後に相談を受けました。まず,何をすべきでしょうか。注意点がありますか。
Q2 被疑者を勾留させないための活動はどこに,どのようにすればよいでしょうか。
Q3 逮捕の翌日または2日後に被疑者に面会しようとしたら,検察官へ送致されて留置場で会えないことが判明しました。このような場合に面会する方法はありますか。また,勾留質問で裁判所へ連行されている場合はどうでしょうか。
Q4 勾留後に検討すべき手続はどのようなものですか。
Q5 勾留延長について準抗告をする場合の留意点は何ですか。
Q6 留置場に勾留されている被疑者について,勾留場所の変更を求めることができますか。
Q7 勾留状謄本を入手するのに2,3日かかりますが,素早く勾留理由を知る方法はありますか。
Q8 接見禁止の決定がなされるのはどのような場合ですか。また,接見禁止の内容を知る方法と,争い方についても教えて下さい。
Q9 接見指定が許されるのは,どのような場合ですか。また,どのように対処したらよいのでしょうか。
Q10 接見に赴いたら「取調べ中」であるとして接見を拒否されました。このような場合の対処方法は何かあるのでしょうか。
Q11 留置場に夜間接見を申し込んだら「執務時間外」といって拒否されました。このような場合の対処方法は何かあるのでしょうか。
Q12 拘置所に夜間接見を申し込んだら「執務時間外」といって拒否されました。このような場合の対処方法は何かあるのでしょうか。
Q13 取調べのために検察庁に押送された被疑者と,検察庁で接見をすることはできますか。
Q14 勾留理由開示を請求すれば,どのような効果が期待できますか。
Q15 保釈許可請求の際,準備するものは何ですか。保釈許可請求書には,どのような理由を掲げどのような資料を添付する必要がありますか。権利保釈が原則である以上,裁量保釈については触れなくてよいと考えてよいでしょうか。
Q16 起訴後に保釈許可請求をしました。裁判官面接の前に検察官の意見を知っておくにはどうすればよいでしょうか。
Q17 保釈保証金の相場はいくらですか。また,保証金納付の手続はどのように行いますか。
Q18 保釈保証金がすぐに用意できなかった場合に何か方法がありますか。保釈保証金が不足するとき,弁護人が立替えたり,保証書を差出すことに問題はありますか。
Q19 保釈許可請求の不許可決定に対して準抗告する場合,どの程度詳しく理由を書くのでしょうか。また疎明資料を添付すべきでしょうか。
Q20 検察官が再逮捕をほのめかしているときに,保釈許可請求をすべきですか。
Q21 保釈の許可条件は,どのようにして付されるのですか。不当な条件をあらかじめ防止することは可能でしょうか。
Q22 保釈中の長期出張や海外旅行は許されますか。
Q23 第1審で実刑判決が予想されるとき,再保釈を得るにはどのような準備をしておくべきですか。
Q24 第1審で実刑判決が出た場合,再保釈請求書で強調すべき事由は何でしょうか。
事例集
1 勾留請求却下,勾留取消など
◎勾留決定の原裁判に対する準抗告により勾留を取り消し,勾留請求を却下した事例
◎原裁判の勾留取消請求却下決定に対する抗告により勾留を取り消した事例
◎勾留請求却下に対する検察官の準抗告を棄却した事例
◎少年事件において勾留延長決定について準抗告をした事例
◎勾留に対する準抗告を棄却した事例
2 勾留執行停止
◎父親の葬儀に出席するという理由で勾留の執行停止が認められた事例(その1)
◎インプラント除去手術などを理由に勾留執行停止が認められた事例
◎出産のために勾留執行停止が認められた事例
◎父親の葬儀に出席するという理由で勾留の執行停止が認められた事例(その2)
3 保釈
◎共犯事件について保釈許可を認めた原決定に対する検察官の準抗告を棄却した事例
◎共犯・否認事件について冒頭手続後に保釈を認めた事例
◎覚せい剤事件において多数回にわたり保釈申請をした事例
◎保釈不許可に対する準抗告を容れて保釈が認められた事例
◎覚せい剤所持・使用の共犯事件で追起訴後に保釈が認められた事例
◎緊急治療の必要性などを理由に保釈申請したが保釈が認められず,準抗告も棄却された事例
◎初犯であり,実家で暮らすことを条件に保釈が認められた事例
◎泥酔状態での暴行事案について一部被害弁償を残しながら保釈が認められた事例
◎35件の駐車違反の罰金前科を有した被告人に保釈が認められた事例
◎みなし公務員を知らなかったとの供述が否認とされて保釈が不許可とされた事例
◎覚せい剤取締法違反(使用)で数度の保釈が認められなかった事例
◎実刑が予想された事案で保釈が認められた事例
◎わいせつ目的を否認し,裁量保釈が認められた事例
◎外国人2名に第1回公判直後に保釈が認められた事例
◎ダフ屋行為について暴力団関係者との接触禁止を条件に保釈が認められた事例
◎海外留学中に帰省した者に,海外渡航禁止,実家居住を条件に保釈が認められた事例
◎追起訴をほのめかされながらも保釈請求をした事例
◎公訴事実を認め,被害者との示談が成立するまで保釈が認められなかった事例
◎共犯者のいる窃盗事件について保釈が認められた事例
4 保釈取消
◎証人テストに被告人を立ち会わせたことが,保釈条件(「事件関係者」に対し,直接または弁護人を除く他の者を介して面接,通信,電話等による一切の接触をしてはならない)に違反したとして,保釈を取り消された事例
書式集
◆勾留の却下を求める
◎勾留に関する意見書
◎即時釈放を求める意見書
◆勾留決定に準抗告を申し立てる
◎準抗告申立書
◆勾留延長決定に準抗告を申し立てる
◎準抗告申立書
◎(別紙)接見メモ
◆勾留の執行停止を求める
◎勾留の執行停止申請書
◆保釈を求める(1)
◎保釈請求書
◆保釈を求める(2)
◎保釈請求書
◎保釈保証金に関する意見書
◆保釈を求める(3)
◎保釈請求書
INTERVIEW
勾留と保釈を体験してーー安田好弘弁護士に聞く
◆はじめに
◆「安田弁護士事件」
◎背景
◎なぜターゲットにされたか
◎事件化の兆し
◎社長の逮捕,安田さんへの事情聴取
◎警察・検察への対応
◎逮捕
◎争う決断をしたのはなぜか
◎木村烈裁判長の突然の交代
◎大谷直人裁判長の転機
◎川口政明裁判長の被告人質問
◆保釈に至る経過
◎保釈の却下
◎弁護介入
◎人質司法の機能
◎勾留執行停止申立て
◎さらなる保釈請求
◎1回目の保釈許可と2億1,000万円の横領の暴露
◎獄中での横領の発見
◎東京高裁第1刑事部の保釈取消し
◎2回目の保釈許可と東京高裁第1刑事部の保釈取消し
◎3回目の保釈許可決定
◎東京高裁第4刑事部の保釈取消し
◎木村裁判長の4回目の保釈許可と高裁対策
◎地裁から高裁にあてた意見書
◎意見書への検察の対応
◎社長たちの控訴
◎高額の保釈保証金
◆身体拘束
◎精神的にも苦痛な勾留
◎警察の留置場
◎独居で孤立化
◎東京拘置所
◎自殺防止房のつくり
◎怒りを抑えるために運動
◎接見は事情聴取の延長
◎計算機もないなかで
◎文書の授受
◎一般接見の時間制限はメモを取る立会いの都合
◎看守の暴行
◎外部からの情報
◎刑事記録の取扱い
◎パンフレットとノート
◎勾留更新決定の読上げ
◎看守の役割と人間性
◎護送
◎裁判所の仮監房
◎公判への持参記録は前日に看守へ
◎取調べ
◎担当検察官
◎弁護人の取調べ立会権
◎無辜の者が暗数として無数にある
◆死刑廃止と刑事弁護
あとがき
前書きなど
期成会実践刑事弁護叢書発刊にあたって
日本国憲法施行から半世紀余が過ぎたにもかかわらず,憲法のデュープロセスの理念は現実化していない。故・平野龍一教授が1985年に「わが国の刑事裁判はかなり絶望的である」と喝破した状況は,基本的に続いている。
これに対する日本弁護士連合会の取り組みについては,西嶋勝彦弁護士の本書「はじめに」に譲るが,刑事司法改革運動の強化とあわせて,個々の弁護士が刑事弁護人としての力量を高める不断の研鑽がきわめて大切である。
研鑽には,実務をふまえた実践的テキストが欠かせない。本書は,「刑事裁判の現状に風穴をあけたい。そのために,刑事弁護人としての技量を高めたい」との意欲に燃えた弁護士が結集した「東京弁護士会期成会明るい刑事弁護研究会」が,研修・検討の結果をまとめたものである。
東京弁護士会期成会は,弁護士法の明記する弁護士・弁護士会の使命を実現することを目指して1959年に発足した団体であり,様々な刑事裁判,再審事件,人権裁判や司法改革運動の第一線で活動している会員を多数擁している。
「明るい刑事弁護研究会」は,2002年4月,期成会の中の研究会として発足した。この名称には,刑事裁判の閉塞状況を,苦渋の表情ではなく,明るく楽しくファイトで突破していこうという思いが込められている。
当研究会は,2つの切り口で進められている。
第1の切り口は,実際のケースを持ち寄っての検討会である。具体的には,被疑者・被告人の身体拘束の問題,すなわち,勾留と保釈関係(勾留の執行停止,準抗告,保釈金額など)の事例の集積と検討を行った。
第2の切り口は,科学的証拠の研究である。その第1回として,帝京大学医学部法医学教室の森啓講師を招き,覚せい剤鑑定に関する研究会を開催した。第2回は,帝京大学医学部法医学教室の吉井富夫講師を招き,DNA鑑定に関する研究会を開催した。第3回は,精神病棟や刑務所などに勤務し,刑事裁判の鑑定も担当している中島直医師を招き,精神鑑定に関する研究会を開催した。
これまでの研究会の内容はきわめて充実していることから,その成果を整理し,期成会実践刑事弁護叢書として公刊することにした。本書は,叢書の第1号として,勾留と保釈関係のケース検討会の内容を整理したものである。
本書が広く実践的に活用され,刑事弁護のあらたな地平を切り拓く一助になることを心から願っている。
2006年5月1日
東京弁護士会期成会
代表幹事 中村雅人
はじめに
日本の刑事司法が機能不全に陥っていることは,刑事弁護にたずさわる者が等しく感じるところだ。
その最たるものが「人質司法」といわれる安易な身体拘束の常態化であろう。
わが国の刑事訴訟法には,まず逮捕段階での不服申立ての明文規定がない。
次に,起訴までの勾留段階には,勾留に関する準抗告と勾留取消しの制度が規定されている。しかし,勾留請求の却下率は低く,司法統計年報によると,2003(平成15)年度の全裁判所の勾留請求人数148,333人に対し,勾留却下は536人,何と0.0036%である。勾留取消しに至ってはほとんどなく,裁判所による救済システムは名目だけになっている。
起訴前の保釈制度がないことも,この間の最大23日間の拘束の常態化に拍車をかけている。
起訴後にようやく保釈が可能となり,それは権利とされているが,例外規定が余りに多く,現実のきびしい運用と相まって,原則と例外が逆転している観がある。否認していたり,公判で供述を翻えすおそれがあると判断されると,罪証隠滅のおそれがあるとして保釈は許されないのである。
少し統計を見てみよう。2003(平成15)年度であるが,1審で勾留された被告人77,071人のうち保釈された者は8,881人,つまり12%に満たないのである。判決でようやく釈放された者が36,502人,実に47.3%が無罪,執行猶予,罰金の判決を受けるまで拘束を続けられたことになる。
本来これらの者は,判決前に解放されるべきであった。
このようなわが国の刑事手続は,国際人権法に照らすとき,あまりにも異常であることがわかる。
国際人権(自由権)規約9条3項は,「裁判に付される者を抑留することが原則であってはならない」と規定し,規約人権委員会の一般的意見8で,9条の規定につき「抑留の合法性を裁判所に監督してもらう権利は,逮捕又は抑留によりその自由を奪われたすべての者に適用される」と解されている。
被拘禁者人権原則39も,裁判官の判断によるとしつつも,「犯罪の嫌疑によって拘禁された者は,公判終了までの間釈放される権利を有する」と規定している。
逮捕から勾留までの救済規定がないこと,起訴前保釈制度がないこと,権利保釈や勾留取消しが実質上機能していない状況などは,上記国際基準に違反するものであろう。
日本弁護士連合会は,最高裁判所,法務省との三者協議「刑事手続の在り方等に関する協議会」の場で,司法改革で積み残された刑事手続の改革のうち,①身体拘束の適正化(人質司法の改革),②捜査・公判の公正,透明化(取調べの可視化など),③全面的証拠開示を求めている。このうち,②,③については一部進展が見られるが,①については最高裁,法務省とも一切言及せず,全く進展も,展望も望めない状況にある,という(日弁連刑事弁護センターニュース34号〔2005年3月1日〕)。
日弁連刑事弁護センターは,この閉塞状況を打破すべくアクションプログラムをたて,次の4点の実現を目標にした運動を展開していくという(前掲・刑事弁護センターニュース)。
第1は,刑訴法89条4号(必要的保釈に関する罪証隠滅条項)の改正。
第2は,同法89条1号(必要的保釈に関する死刑,無期,禁固1年以上の刑の例外条項)の改正。
第3は,起訴前保釈制度の新設。
第4は,保釈請求手続等における事実取調べや弁護側の反論権保障のための,令状関係手続の改革。
いずれも,立法改革である。
本書は,以上のような問題意識を共有するとともに,改革の方向についても異論はない。しかし,われわれが受任した個別事件について,いかに人質司法の実態と闘うか。時間との闘いは,改革を待ってはいられないのである。
すぐれた先例に学び,蓄積されたノウハウを紐解いて闘っていくしかない。
そのようなノウハウや先例が欲しい,という声に応えるべくして本書は編まれている。従来,刑事弁護全般,限定しても捜査弁護全体を論じた類書はみられるが,身体拘束からの解放にしぼって手続を概観し,かつ,そこでの弁護の手法を明らかにしたものを目にすることはなかったように思われる。
東京弁護士会期成会明るい刑事弁護研究会は,研究を続ける傍ら,実践刑事弁護叢書を世に問うことにしている。本書はその第1弾である。逮捕,勾留,保釈の実践の場で活用していただくとともに,不十分な点や現実的でないと思われる点など忌憚のない批判をお寄せいただければ,さらにより現実に即した書として発展させていくことができよう。
このあと第2弾として「覚せい剤鑑定」の公刊を予定している。引き続き乞ご期待である。
2006年5月1日
東京弁護士会期成会明るい刑事弁護研究会
世話人 西嶋勝彦
著者プロフィール
安田 好弘(ヤスダ ヨシヒロ)
弁護士
※版元より営業日2~5日でお届けします
※お支払いは郵便振替(到着後後払い)・クレジットカード(VISA、MasterCard、DC、JCB、AMEX、Diners、Nicos、UFJ)がご利用になれます
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