発行:現代人文社
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A5判 136ページ 並製
定価:1,500円+税 総額を計算する
ISBN978-4-87798-300-0(4-87798-300-7) C0036
在庫あり
奥付の初版発行年月:2006年08月
書店発売日:2006年08月18日
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紹介
無防備地域条例は、市民が国際法を活用して非武装主義の平和憲法を地域から回復する方策である。条例の理念からその作り方までをガイダンスする無防備地域条例の入門書。
目次
1部 入門編 [Q&A]無防備地域宣言とは?
第2部 争点整理編 無防備地域宣言をめざす条例づくり
第1章 無防備地域条例のしくみ
第2章 無防備地域条例制定をめぐる争点
第3部 理論編 平和憲法を生かす無防備地域宣言
序 章 無防備地域宣言の意義
第1章 日本の平和憲法の源泉と先進性
第2章 平和憲法下における自治体からの平和創造
第3章 地方分権と有事法制化に伴う自治体・住民の戦争協力
第4章 ジュネーヴ条約における住民・民用物・特別地帯の保護
第5章 無防備地域の国際法(ジュネーヴ条約)的保護
第6章 自治体・条例による無防備地域宣言
第7章 無防備地域宣言の障害となる平和憲法「改正」論—自民党新憲法草案の問題点
第4部 資料
資料1ジュネーヴ条約第1追加議定書第59条(無防備地区)
資料2無防備地域条例案関係
1 大阪市非核・無防備平和都市条例(案)〔2004年〕
2 京都市無防備・平和都市条例(案)〔2005年〕
3 大阪市非核・無防備平和都市条例(案)に対する大阪市長「意見書」〔2004年〕
参考文献
前書きなど
はじめに
2003年3月に結成された「無防備地域宣言をめざす大阪市民の会」が2004年4月から始めた無防備地域条例制定(直接請求署名)運動は、2005年末までに、枚方市、荒川区、藤沢市、西宮市、大津市、高槻市、奈良市、品川区、京都市でも取り組まれ、いずれも条例案の議会審議にまでこぎつけたが、審議の結果、条例案はすべて否決された。しかし、当該運動は、本書脱稿後の2006年4月以降、市川市、竹富町(沖縄県)、日野市、国立市、大田区で取り組まれ、いずれも条例制定要求に必要な法定数を超えた。今後、各々の議会で条例案が審議されることになる。
米英による正当性のないイラク戦争とイラクへの自衛隊派兵、平和憲法の改悪の動き、有事法制問題などに対する市民の不安・危機感がつのる中で、マスコミなども関心を示したこともあり、この運動は全国的に広がったのである。とりわけ有事法制は武力攻撃事態等に際し、国民保護法などを通じて、住民や自治体に戦争協力を求めてくるため、住民の側からは、どのように具体的で有効な反対運動を行っていくことが可能かが模索されてきた。その一つが、戦争に協力しない地域づくり(戦争非協力都市、戦争不参加都市)をめざす無防備地域宣言運動ないし無防備地域条例制定運動である。
無防備地域は、戦闘員や移動兵器等が撤去されていること、固定した軍用施設等については敵対目的に使用されていないこと、自治体当局または住民により軍事的敵対行為が行われていないことなどの条件を満たしている地域を指し、1977年のジュネーヴ条約第1追加議定書第59条で国際法的保護が与えられている(武力攻撃の禁止と戦争犯罪の対象)。この無防備地域宣言は、基本的には戦時において、占領やむなしの極限的な状態で、徹底抗戦するよりも、住民の生存や文化財などの保護を非軍事的に確保することを優先させる場合に行うことが想定されていると思われる。
しかし、いま日本で取り組まれている無防備地域条例制定運動は、平時から無防備地域(宣言)の条件を自覚的に準備していこうとしている点に新しさがある。市民(市民社会)が国際法を国内的に活用して平和を創造していく、世界的にみても、新しい平和運動ということもできる。日本国憲法との関連でいえば、平和憲法の擁護運動にとどまらず、形骸化している非戦・非武装主義の平和憲法を地域から回復する運動である。それは、有事法制・国民保護法が実施され軍事に備える地域よりは、無防備地域の方が住民(平和的生存権)にとっては安全であるということ、すなわち、「武力による平和」に対する「武力によらない平和」の優位性を具体的な形で示すことができる点で、有意義といえよう。
それに対し、日本政府は2004年に上記のジュネーヴ条約追加議定書を批准したにもかかわらず、有事関連法を正当化することに利用しているだけで、人口密集地域から軍事施設を隔離し、戦闘行為の被害を受けないような予防措置をとって住民を保護する理念などを含んでいる同条約を、平和憲法の理念に沿って国内法化しようとしていない。また、自治体の無防備地域宣言についても容認しない方針をとっている。多くの自治体当局も、この方針に追随している。
本書がこの現実を乗りこえるための入門書となりうるかどうかはともかく、本書には、無防備地域条例制定運動に関する関西や首都圏で行われた多くの市民の学習会や講演会を通して考えてきた成果が反映されている。
2006年6月
澤野義一
著者プロフィール
澤野 義一(サワノ ヨシカズ)
大阪経済法科大学・法学部教授(憲法学)
1951年、石川県七尾市生まれ
龍谷大学大学院法学研究科・卒/法学博士(龍谷大学)
主要著作
・『永世中立と非武装平和憲法』2002年3月、大阪経済法科大学出版部
・『非武装中立と平和保障』1997年6月、青木書店
・『総批判改憲論』(澤野義一ほか編)2005年4月、法律文化社
・『新現代憲法入門』(山内敏弘編)2004年4月、法律文化社
・『21世紀の平和学』(吉田康彦編)2004年3月、明石書店
・『日本国憲法のすすめ』(憲法研究所・上田勝美編)2003年4月、法律文化社
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