発行:現代人文社
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A5判 272ページ 上製
定価:1,900円+税 総額を計算する
ISBN978-4-87798-222-5(4-87798-222-1) C0036
在庫あり
奥付の初版発行年月:2004年08月
書店発売日:2004年08月17日
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第1部は『週刊金曜日』(1999/8/27〜2003/12/19)連載のまとめ。第2部は拉致・北朝鮮報道批判とそれをめぐる記者職剥奪・退社への顛末。人権がテーマの待望の報道年鑑第2弾!
目次
第1部◆現場で考えた’99 〜’03 報道検証
1999年
全日空機ハイジャック◆ 主体性のない実名報道転換
「オウム退出」トラブル◆ メディアが煽った「住民不安」
神奈川県警不祥事◆ ?根腐れ?は全国警察もメディアにも
「オウム排斥」報道◆ 新・破防法に手を貸すメディア
甲山事件無罪確定◆ メディアがふれない報道責任
メディア法規制◆ 国家管理に動き出し自民党
「実名報道」被害◆ 匿名原則を求める報道被害者
神奈川県警不祥事◆ 「警察の犯罪」監視はだれの役割か
文京「お受験殺人」報道◆ 「歪んだ母性」報道を超えた叫び
2000年
死刑執行報道◆ 「死刑大国」を支える世論操作
皇太子妃「懐妊の兆候」報道◆ 祝意を強要したメディア
性差別広告規制◆ 問われる週刊誌の使命
犯罪被害者報道◆ 「犯人より怖い」無神経な取材
週刊誌広告規制◆ 〈報道リンチ〉に加わる新聞
桶川事件◆ 悩み考える地元紙記者
「少年実名報道容認」判決◆ マスコミは社会的制裁機関か
少年事件と実名報道◆ 「常識」超える深い思考を
「サツ回り」記者◆ 新人教育も見直しが必要だ
相次ぐ少年事件◆ 厳罰論を煽る「凶悪化」報道
虚報「サリン研究」◆ 公安に操作・活用される記者
報道と精神科医◆ 偏見煽る診察抜き「談話」
新「新聞倫理綱領」◆ 実践支える制度改革が必要だ
「記者会見指南書」問題◆ 内閣記者会は「共犯者」か
サンディエゴ事件◆ 現地紙引用にも報道責任
個人情報保護法◆ 権力の法規制防ぐ報道改革を
国立二小・日の丸問題◆ 処分煽った『産経』怪文書
京都・日野小事件◆ 地域を壊す〈取材被害〉
国立二小・日の丸問題◆ 『産経』が触れない事実
警察の不祥事報道◆ 転換迫られる取材・報道姿勢
警察取材と若手記者◆ 悩みのなかに報道改革の灯
アレフ信徒の不当逮捕◆ 違法捜査を助長する報道
『毎日』の紙面検討委員会◆ 問われる報道被害への認識
人権審「人権救済機関」提言◆ 権力と報道の一体化を問え
2001年
少年事件と法「改正」◆ 立ち直りを支える報道を
「大荒れ成人式」報道◆ 逮捕=実名は大人の仕事?
「人権救済機関」問題◆ 説得力欠く新聞協会意見書
新聞の実名報道◆ ホームページが報道被害増幅
日弁連の人権機関構想◆ 決断を迫られるメディア
「日の丸・君が代」強制◆ 知る権利に応える報道を
データベースの報道被害◆ 誤報訂正はだれの責任か
映画『日本の黒い夏 冤罪』◆ 見えてこない誤報の構造
「恵庭OL殺人」事件◆ 崩れてきた初期報道の構図
続「恵庭OL殺人」事件◆ 見込み捜査を見直す報道を
人権擁護推進審の答申◆ どう防ぐ 報道への権力介入
大阪・児童殺傷事件(池田小事件)◆ 冷静な議論封じ込める報道
「公民教科書」と離婚報道◆ 「女は家庭」で一致の価値観
沖縄・米兵性暴力事件◆ 「新聞が書かないこと」とは?
「恵庭OL殺人」事件◆ 露呈した検察の性差別意識
『FOCUS』廃刊◆ いじめ・のぞき写真の敗北
北陵クリニック事件(仙台筋弛緩剤事件)◆ 捜査監視報道の目を摘むな
大阪・児童殺傷事件(池田小事件)◆ 精神病歴報道が残したもの
米「テロ報復戦争」◆ 権力側情報を見直す視点を
米「テロ報復戦争」報道◆ 〈過去〉を繰り返さないために
米「テロ報復戦争」報道◆ なぜ戦争反対といえないのか?道連れ自爆?する新聞
〈ビンラディン〉呼称論議◆ 本質をそらす社会的制裁論
サッチー騒動と裏金報道◆ ワイドショー化が進む新聞
2002年
「集団的過熱取材」◆ 根本原因不問の業界対応策
「9・ 」と「 ・8」報道◆ 無視される米空爆の犠牲者
「9・ 」と新聞の危機◆ 専門記者はどこに消えたか
『新潮 』の恵庭事件報道◆ 小説と混同した犯人断定記事
外渉更迭・外務省報道◆ 新聞もスカートを踏んできた
帝京大事件報道訴訟◆ BRCの存在意義を問う裁判
『新潮 』の恵庭事件報道◆ 支援者の抗議に鉄面皮な回答
メディア法規制と反対運動◆ 自問すべき〈報道の加害責任〉
憲法記念日の社説から◆ 九条を蝕む「一条のタブー」
メディア規制法案◆ スリカエ容認の読売修正案
冤罪と報道被害訴訟◆ 〈時効〉で逃げる加害メディア
『日工』不当解雇訴訟◆ 〈産経残酷物語〉に否!の判決
和歌山毒カレー事件◆ 「捜査協力者」になった報道機関
人権擁護法案と国連の懸念◆ 自戒すべきは、犯人視報道
メディア法規制と報道被害◆ 「報道の自由」をかざす前に
「日朝交渉」報道◆ 問うべきは日本の侵略責任
「能登沖不審船」報道◆ 欠落した「公正・冷静・反省」
日朝首脳会談◆ 「拉致一色」報道が隠す日本側の侵略責任
和歌山毒カレー事件◆ 裁判報道にも続く「犯人視」
女性運動バッシング◆ 沈黙・加担するメディア
「金髪先生逮捕」事件◆ 〈本当のこと〉を伝えない新聞
メディア法規制◆ 報道被害者の声を聞こう
日朝交渉報道◆ 日本人が向きあうべき問題は
「拉致」報道とバッシング◆ 翼賛メディアの報道統制だ
2003年
日朝交渉と拉致報道◆ 植民地支配への沈黙を問う
「日朝交渉」報道◆ 外部の圧力で「記者職」剥奪
拉致報道と植民地支配◆ 〈被害者の立場〉の二重基準
記者の「言論の自由」◆ 新聞にも情報公開が必要だ
桶川事件国賠訴訟◆ メディアにも〈自省〉が必要だ
教育基本法「改正」答申◆ 危険性を伝えない新聞報道
「恵庭OL殺人」事件◆ 「可能性」の積み重ねで有罪判決
「国鉄改革」検証報道◆ 権力と一体化の無残なモデル
「記者職剥奪」問題◆ 「外部の圧力」は「想像の産物」か
「三浦さん万引き」報道◆ 冤罪被害者への理不尽な攻撃
裁判員制度◆ 予断を招かない事件報道を
有事=戦時三法成立◆ 「大政翼賛」の通を歩む大新聞
裁判員制度と報道再論◆ 「国民の関心」は「知る権利」か
新聞労連・JTC◆ ジャーナリズムを死なせない
回目の「8・ 」◆ 「終戦の詔書」の問い直しから
万景峰号バッシング◆ 震災 周年、蘇る虐殺の構造
ブッシュの戦争◆ 大メディアが伝えなかったこと
司法制度改革と報道◆ 自主規制の制度づくりを急げ
長崎「男児殺害」事件◆ 家裁決定が問う報道のあり方
長崎「男児殺害」事件再論◆ 限界・弊害を露呈した初期報道
「石原発言」報道◆ 極右の妄言を批判しない新聞
反リストラ産経労の闘い◆ ビデオが暴く企業と裁判の退廃
死刑制度と報道◆ 応報感情を煽るだけでいいのか
「どうなる? 2004年 年を越す の課題」◆ 有事体制づくりのもとで進む権力肥大と人権侵害
第2部◆拉致・北朝鮮報道批判と記者職剥奪の顛末
拉致一色報道が隠す〈未精算の過去〉
はじめに
日朝国交正常化交渉と「九・一七日朝首脳会談」の問題点
1日朝国交正常化交渉の経過
2「九・一七日朝首脳会談」
〈過剰と欠落〉——拉致・朝鮮非難一色に塗りつぶされた日朝首脳会談報道
1ナショナリズムを煽る朝鮮断罪報道
2「日韓方式」への無批判な報道
3報道されない〈未精算の過去〉
おわりに
新聞記者の〈言論の不自由〉を考える
問題とされた『週刊金曜日』連載
「新たな社内規定」問題
その場で「昇格人事」を断った
仕事より「社内の立場」優先の外圧人事
社外メディアで発言することの意味
自らへの批判を許さない「権力としてのメディア」
〈居直りのナショナリズム〉に負けない
始まった新たな戦前
加害者の汚名を逃れて被害者へ
最後のターゲット、憲法九条
言論・報道機関の自殺行為
前書きなど
はじめに
私は一九七三年に読売新聞社に入り、三〇年余り記者として取材・編集・報道に携わった後、「定年」まで五年余を残し、二〇〇三年一二月末、読売新聞社を退社した。退社のきっかけは、二〇〇二年秋の「日朝首脳会談」報道をめぐり、私が『週刊金曜日』誌上で《「拉致一色」報道が隠す日本側の侵略責任》などと批判したことを理由に翌年二月、「記者職」を剥奪されたことだった。
私は入社直後から、「新聞記者であること」に悩んできた。市民の人権を守り、権力を監視する立場にあるマスメディアが、警察情報を鵜呑みにした犯人視・プライバシー侵害報道で市民を苦しめている。私は人権侵害をするために記者になったのではない。なんとかして報道のありようを変えたい——そう思い続けてきた私は一九八五年、報道被害をなくそうと発足した「人権と報道・連絡会」に参加、その世話人として活動してきた。
この活動を通じ、私は社外のメディアで、メディア批判の記事・論文を書くようになった。人権と報道・連絡会で知ったさまざまな報道被害の実態、それに対するメディアの対応、権力側の報道規制の動き。それらのレポートを、月刊誌『法学セミナー』(日本評論社)、『週刊金曜日』、月刊誌『創』、その他のメディアに発表してきた。
一九七四年の「甲山事件」では、犯人視報道が無実の山田悦子さんを二一年間も被告席に縛りつけた。一九八四年の「ロス疑惑」報道は、「銃撃事件」無罪確定後の今も三浦和義さんへの「疑惑の眼差し」をもたらしている。一九九四年の「松本サリン事件」報道は、メディア総ぐるみで河野義行さんに「毒ガス男」の濡れ衣を着せた。
しかし、メディアは「報道加害」を改めず、九〇年代後半以降、オウム報道、神戸・児童殺傷事件、和歌山・毒カレー事件、大阪・池田小事件などで、センセーショナルな犯人探しの特ダネ競争を繰り返し、「地域・取材報道被害」を生み出した。そうした報道への批判を悪用し、権力によるメディア法規制の動きも進行している。
警察情報に依存した事件報道の中で、記者たちの多くがジャーナリストにとって何よりも大切な「権力を疑う視点」をスポイルされてきた。警察・検察、政治家・官僚、大企業などから流される情報に「疑い」の目を向けず、そのまま大量に垂れ流す。そうしたジャーナリズム精神の衰退によって現在進行しているのが、マスコミ報道の「体制翼賛化」とそれを固定する「報道統制」だ。
二〇〇一年「9・ 」事件後のアフガニスタン攻撃、二〇〇二年「9・ 」後の日朝交渉・「北朝鮮」報道、二〇〇三年のイラク侵略とイラク占領をめぐる報道で、メディアの「翼賛化」は目を覆うばかりになった。そのかげで、有事法制という名の戦時体制作りが着々と進行し、自衛隊のイラク派兵が強行された。今や憲法九条は風前の灯であり、「改憲」は現実の政治日程に上っている。
私は九七年八月以来、『週刊金曜日』の「人権とメディア」欄に隔週で報道検証の記事を書いてきたが、二〇〇一年以降は、戦争と侵略をめぐる報道を取り上げることが多くなった。それこそが最大の人権侵害だからだ。私に対する「記者職剥奪」も、そうした中で起きた。
本書では、九九年八月から二〇〇三年一二月末までに『週刊金曜日』に連載した記事を第一部「現場で考えた 〜 報道検証」として収録した。これは九九年に出版した『ニュースの虚構 メディアの真実——現場で考えた 〜 報道検証』(現代人文社)の続編に当たる。
第二部「翼賛化するメディアと記者職剥奪」には、『検証・「拉致帰国者」マスコミ報道』(人権と報道・連絡会編、社会評論社)、月刊誌『創』、季刊誌『ひとりから』に発表した「日朝交渉報道」批判、私に対する記者職剥奪人事などをめぐる論文、レポートを収めた。
「あとがきに代えて」で、二〇〇四年四月のイラク日本人拘束事件で「自己責任論」を展開した読売報道を、「読売新聞への惜別の思い」をこめて批判的に検証した。
日本の大手メディアは「権力の広報機関」化が進み、〈市民の敵〉になりつつある。本書で市民がその実態を知り、報道を批判的に見る視点を培っていただければと思う。同時に、本書が報道現場で悩みつつメディアの「翼賛化」に抗する記者の助けになることを願ってやまない。
著者プロフィール
山口 正紀(ヤマグチ マサノリ)
『ニュースの虚構 メディアの真実』の著者。
「人権と報道・連絡会」世話人、ジャーナリスト。
1949年、大阪府生まれ。1973年、読売新聞入社。宇都宮支局、甲府支局、東京本社地方部、婦人部・生活情報部、情報調査部、データベース部などを経て2003年12月末退社。以後、フリージャーナリストとして活動。
主な共・編著書に、『資料集 人権と犯罪報道』(86年・日本評論社)、『情報の銃弾——検証「ロス疑惑」報道』(89年・日本評論社)、『天皇とマスコミ報道』(89年・三一書房)、『男性改造講座——男たちの明日へ』(93年・ドメス出版)、『匿名報道——メディア責任制度の確立を』(93年・学陽書房)、『報道の人権侵害と闘う本』(95年・三一書房)、『無責任なマスメディア——権力介入の危機と報道被害』(96年・現代人文社)、『テキストブック 現代の人権』(97年第2版、04年第3版・日本評論社)、『〈男らしさ〉と〈男性問題〉——揺らぎ、動き始めた男たち』(98年・広島県女性会議)、『ニュースの虚構 メディアの真実——現場で考えたユ90〜ユ99報道検証』(99年・現代人文社)、『人権読本』(01年・岩波書店)、『検証・「拉致帰国者」マスコミ報道』(03年・社会評論社)など。97年から『週刊金曜日』に「人権とメディア」を隔週連載中。
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