刑事裁判物語酩酊えん罪 裁かれるべきは誰かPART2
石原 悟, 松井 清隆
発行:現代人文社  発売:大学図書
この版元の本一覧
四六判 256ページ 上製
定価:1,500円+税 総額を計算する
ISBN978-4-87798-168-6(4-87798-168-3) C0036
在庫あり
奥付の初版発行年月:2003年08月
書店発売日:2003年08月13日
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紹介

地裁で有罪判決をくだされた酩酊窃盗被告事件。控訴審へ望みをつなぐ被告人と弁護士たちの闘いがはじまった。はたして無罪は獲得できるのか。

目次

1.決意
2.控訴審
3.証拠調べ
4.逆転無罪
5.資料

前書きなど

はじめに

 この本を書きはじめた最初のきっかけは、裁判中に私自身がこのような本があったならば読んでみたいと思っていたことである。
 つまり、実際に刑事裁判を経験した人(被告人)が全体を通じて思いを述べ、専門家(弁護士)が刑事裁判の流れを解説するといった本がないものかと思っていた。
 裁判が始まった当初の私は、日本の司法、裁判についてほとんど何も知らないという状態だったので一般の人が裁判のありさま、感想を書いた書物があれば是非とも読んで参考にしたいと思っていたのである。
 しかし、実際に探してみると、私の思い描いた本はとうとう見つからなかった。
 漠然と「誰かが書いてくれたらいいのに……」そう思っていた。
 裁判が進んだある日、松井弁護士から
「事件や裁判のすべてを整理するという意味も含め、当事者にしか書けない本を一緒に書いてみませんか」
という言葉をもらったのである。
 たしか一審の終わり頃だったと思うが、当時の私は裁判が進むにつれ「何事も経験」という自分の信条を根底から覆されたような気持になっていた。
「しない方がいい経験」もあるということを思い知ることになり、自分はもう刑事裁判の被告人という立場を経験してしまったのだから、これから先の人生において、その経験を少しでもプラスに変えていくことができたら……。
そんな風に考えていた。
「読みたい本が見つからなければ、自分で書いてみれば」という成澤編集長の言葉も私の背中を押してくれた気がする。
「誰かが書いてくれたらいいのに」から
「俺が書かなきゃ誰が書く!」という心境になるのに時間はかからなかった。
今になって思えば一審で有罪判決を受けたばかりの私を応援し、高裁での無罪を信じて本を書かせてくれたのだから本当に感謝している。
こんな経緯で、世にも珍しい被告人×弁護人の共著という本ができあがったのである。
一巻を読んで下さった方から、
「誰かがやればいいことを、自分からやることに意義があると思います」という言葉をいただいたときは、何だか照れくさかったが本当に嬉しかった。
現在、裁判後の手続きを全て終えた私にとって、この二冊の本の出版は次のステップに向けた最初の一歩であり、全力の一歩になったと思う。
これから先も「しない方がいい経験」が「いい経験」へと変わる日は来ないかもしれない。
それでも、この本を書いたことでいつの日か「貴重な経験だった」と思える日が来たなら、こんなに嬉しいことはない。

二〇〇三年七月  石原 悟

著者プロフィール

松井 清隆(マツイ キヨタカ)

弁護士

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