日本人は魚を食べているか
秋谷 重男
発行:漁協経営センター
この版元の本一覧
A5判 133ページ
定価:1,800円+税 総額を計算する
ISBN978-4-87409-025-1(4-87409-025-7) C3062
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奥付の初版発行年月:2006年08月
書店発売日:2006年08月22日
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目次

【第1章】この国には、魚をよく食べる人々と、魚をあまり食べない人々がいる
【第2章】生鮮マグロと生鮮イカにみる共通性と差異性
【第3章】地魚や雑魚・小魚の流通・消費の行方
【第4章】生鮮品目の大半に、世帯主世代間での購入段差・断層がある
【第5章】生鮮イワシと生鮮ブリの購入断層を吟味する
【第6章】ひとり勝ち生鮮サケの普及と浸透の方向
【第7章】塩干魚介や練り製品でも、世代間の購入段差・断層はあるのか
【第8章】外食・中食での「すし」支出と世帯主の年齢階層
【第9章】調理食品「うなぎの蒲焼」は、誰が買っていくのか
【第10章】「天ぷら・フライ」と「サラダ」から
【第11章】「冷凍調理食品」需要は、この国の漁業・水産業を支えられるか
【第12章】総括と展望・この国の魚介消費は分裂し、曲り角にある
【第13章】冒頭の問いかけに戻って、数値と表にひそむ物語を読む
【第14章】魚食の世代間変化から流通・消費対策を考える

前書きなど

【はじめに】
 この国では、平均して年間1人当たりラウンド(尾頭・内臓・骨つき)で65kg前後、可食部分に換算して35㎏前後の魚介類が食用として、消費に向けられている。アイスランドやグリーンランドの人々は、1人当たり日本よりも沢山の魚介を摂取すると言われている。しかしながら、老若・男女合わせて127百万人が、平均して粗食料で60㎏以上の魚介類を食卓に乗せているような国は、日本以外に見当たらない。この国は、世界有数の魚介消費国であり、日本人は、魚をよく食べる人達として知られている。
 本書は、その、魚をよく食べると言われる、平均的日本人像の分裂を扱っている。すなわち、この国の消費者は、最近では、魚をよく食べる人々と、魚をあまり食べない人々とに分裂しつつあり、魚食は曲がり角にあるという事実を明らかにしようとしている。

 本書の各章で述べているところを要約すれば、次のようである。
 1)最近の1/4世紀をつうじて、日本の食生活には、魚介類の購入量や支出額で段差や断層が現れている。
 2)この段差や断層は、家庭内食として購入される生鮮魚介類にとどまらず、水産加工品、調理食品、外食にいたるすべての分野で起こっている。
 3)段差や断層は、目下のところ、収入の差を軸にして、より強く進行している。
 4)世代の差を軸にした段差や断層は、世帯主年齢で団塊の世代以上に属する「魚をよく食べる日本人」の人口減少が顕著化した時点から、魚食全体の需要に停滞をもたらしている。
 5)現在、世帯主年齢階層で50歳未満に属する「魚をあまり食べない日本人」が、総人口の中で、より多数派を形成するにつれて、この国の魚介類購入量や支出額は、トータルとしても、また1人当りでも、減少の速度を速めるだろうと予想される。
 6)魚介類の購入量や支出額を巡る段差や断層は、生産者価格や産地での取引価格に影響する。この国の漁船漁業や養殖漁業は、輸入水産物の大量流入によって困難な状況に立たされているが、それにとどまらず、消費面での魚食の分裂に直面している。したがって、この魚食の分裂を最小限にとどめるための流通対策、消費対策が望まれるところである。

 輸入水産物の増加と自給率の低下が進むなか、それでもこの国の漁業・養殖業は、年間600万トン前後の水揚げを果たしてきている。日本周辺をとりまく海洋とその資源は、管理よろしきを得れば、持続的な水産物の供給を約束する。自国の沿岸や沖合に豊富な食料資源が確保されていて、それを有効利用するということは、遠方からエネルギー・コストの嵩む食料の大量輸入に依存するよりも、21世紀にふさわしい食のあり方だといえる。
 それにつけても、若い世代から中年世代までが「魚をあまり食べない日本人」に移行しつつあることは、国の食料政策としても、地域の産業政策としても、抜本的な対策が必要な局面にさしかかっていると考える。魚介類と食に関心のある多くの方々に読んでいただければ幸いである。

版元から一言

★この本は、平成19年10月25日に姉妹会社『北斗書房』より“増補”という形で2刷版を発行致しました。

『増補 日本人は魚を食べているか』(ISBN978-4-89290-017-4)



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